日常的に感じる極く軽度の頭痛、緊張型頭痛は、どのようにして起きるのでしょうか?
脳のなかに異常のない「慢性頭痛」は「健康的な生活」を送ることができないことに根本的な原因があり、”慢性頭痛”とは、「不健康な生活を送っている」という生体の警告の信号”サイン”です。
健康的な生活とは、生まれつき体に備わっている「生体リズム」に沿った生活ということを意味しています。この生活のリズムは「ホメオスターシス」によって維持されます。
「生体リズム」とは、脳の視交叉上核にある「体内時計」によって刻まれ、睡眠と覚醒のリズム、体温のリズム、行動のリズム、ホルモン分泌のリズムなどです。
そして、「体内時計」は、ミトコンドリアとセロトニンによって制御されています。
経験的に、ストレスは慢性頭痛を増悪させる原因と知られています。
そして、このストレスが、「ホメオスターシス」を乱す根源になります。
ミトコンドリアは体内のほとんど全ての細胞内にある細胞小器官です。「細胞小器官」とは細胞内で特別な機能をもつ器官のことで、ミトコンドリアは細胞のエネルギーを供給する重要な仕事をしているのです。
ミトコンドリアは私たちが空気を呼吸して取り入れた「酸素」と食事をして取り入れた「ぶどう糖」や「脂肪」を、「二酸化炭素」と「水」と「エネルギー」に変える働きを持っています。エネルギーは体温を保ったり、運動したり、物事を考えたり、その他の化学合成をする時などに使われます。つまり、ミトコンドリアがないと、私たちは生きていけない非常に大切な細胞内の器官なのです。ミトコンドリアは「生命エネルギーの製造工場」とも呼ばれています。
このように「ミトコンドリア」は、私達の”生命の根源”ともなるものです。 このため、ミトコンドリアの機能がまともに働かなければ「健康的で・健全な生活」は送れないことになります。
しかし、不健康な生活をしていますと、ミトコンドリア・セロトニン神経系に悪影響を及ぼし、体内時計を乱し、「ホメオスターシス」を乱してきます。
「ホメオスターシスの三角形」を構成する、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系はホルモンと”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めております。
この「ホメオスターシスの三角形」は”以下のような、さまざまな生活習慣の問題点”によって”歪み”を引き起こしてきます。
”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
内分泌ホルモンに相当する”生理活性物質”は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。
必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。
”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。
このように、「ホメオスターシス三角」を構成する”この3つ”の柱(三角)は、生活習慣とくに食生活・ストレスによって影響を受けています。
「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの”一角”に問題を生じてくれば、”極く軽度の頭痛”が出現してくることになります。
さらに、現代社会は、”活性酸素”に満ちあふれた生活環境にあります。これらがすべてミトコンドリアの働きを悪くさせてきます。このような外部の生活環境の要因があります。
これらが「酸化ストレス・炎症体質(頭痛体質)」を形成してくることに繋がってきます。
こうした背景をもとにミトコンドリアの働きが悪くなると同時にセロトニン神経系の機能が低下しているところに”生活習慣の問題”が加わって「脳内セロトニンの低下」が引き起こされ、この両者によって「体の歪み(ストレートネック)」が引き起こされやすい状況を作ってくることになります。
慢性頭痛の発症の起点は”前屈みの姿勢”
日常生活を送る上で、私達は前屈みの姿勢をとる生活環境に置かれています。 特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的にとっています。
さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことになります。仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。
こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉に負担をかけることになります。
さらに、イスに座るとつい脚を組んでしまう、ヒールの高いクツを長時間履いている、立っている時は大抵どちらかの足に体重を乗せている、横座りをする、立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い、いつもどちらかを下にして横向きに寝ている、または、うつ伏せになって寝ている、長時間座りっぱなしの仕事、イスやソファーに浅く座ってしまう、バッグなどはいつも同じ方の肩にかける、重たい物を持つ仕事をしている、赤ちゃんをダッコしていることが多い、などの無意識に”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎( 背骨)の歪みが生じてきます。
仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及び、ひいては頸椎にまで及んで、「体の歪み(ストレートネック)」を最終的に引き起こしてきます。
このようにして「体の歪み(ストレートネック)」が作られてくることになります。
まず、スタートとなる”緊張型頭痛”の起こり方
人間の背骨(脊柱)はS状の弯曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下方の背骨全体にかかることにより、すぐに下部の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないように脊柱はS状の弯曲を呈しています。S状の弯曲によって体重の掛かり方を分散させています。ということは頸椎は前に弯曲を示していることになります。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いておれば、バランスがとれず後頸部の筋肉の片側だけに過剰な張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。これが、専門家が”とるに足らない頭痛”と言っている緊張型頭痛です。このように頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いている(捻れている)ことが、重要なポイントになってきます。
以上のように、最初の起点となるストレスが、「ホメオスターシス」を乱す根源になります。
このように、ストレスにより「ホメオスターシスを乱す」ことによって、まず、”極く軽度の頭痛が出没する”ことになります。
このような初期の段階の頭痛は、「国際頭痛分類第3版 β版」ではどのように分類されているのでしょうか。
強いて、当てはめようとすれば、”緊張型頭痛の範疇”にあるのでしょうか?
現在の国際頭痛分類第二版(ICHD Ⅲβ)による緊張型頭痛の診断基準(一部省略)を示します。
【緊張型頭痛の診断基準(一部省略)】
A.頭痛の頻度は、
2.1:稀発反復性緊張型頭痛:1ヵ月に 1日未満 ( 年間 12日未満 )
2.2:頻発反復性緊張型頭痛:1ヵ月に1日以上14日まで(年間 12日以上 180日未満
2.3:慢性緊張型頭痛: 1ヵ月に 15日以上 ( 年間 180日以上 )
B.頭痛は 30 分~ 7 日間持続する (稀発反復性、頻発反復性)
(慢性緊張型頭痛の場合は、頭痛は数時間-数日間、または絶え間なく持続する)
C.以下の4つの特徴のうち少なくとも 2 項目を満たす
1.両側性
2.性状は圧迫感または締めつけ感 ( 非拍動性 )
3.強さは軽度~中等度
4.歩行や階段の昇降のような日常的な動作により増悪しない
D.以下の両方を満たす
1.悪心や嘔吐はない
2.光過敏や音過敏はあってもどちらか一方のみ
E.ほかに最適なICHD-3の診断がない
このように、稀発反復性緊張型頭痛→頻発反復性緊張型頭痛→慢性緊張型頭痛へと移行していくと考えるべきです。
片頭痛の”緊張型頭痛”はsmall migraine
片頭痛
big(true)migraine
連続体
緊張型頭痛 緊張型頭痛
small migraine (脳内セロトニンの関与)
緊張型頭痛と片頭痛の基本的な相違点は、「ミトコンドリアの働きの悪さ」という”遺伝素因”を持っているかどうかだけの差でしかありません。
このように、緊張型頭痛、片頭痛は、一連の連続したものです。
片頭痛は、緊張型頭痛の上に重畳したような形になっています。
そして、体の歪み(ストレートネック)を緊張型頭痛・片頭痛ともに基本骨格としており、緊張型頭痛では84%に、片頭痛では95%の高頻度で、体の歪み(ストレートネック)が認められることになっています。
このように、日常的に感じる極く軽度の頭痛は、このような要因から発症してくることになります。
片頭痛は”未病”の段階にあり、緊張型頭痛を起点として、さまざまな生活習慣の問題点が重なることによって、「いろいろな段階の片頭痛」へと進行し、最終的に「慢性片頭痛」という難治な段階に至ることになりますので、常に自分の生活習慣に気を配り、何か問題があれば、その都度改善に努める必要があります。このように進行性疾患です。
このような初期の頭痛、日常的に感じる極く軽度の頭痛、に対して、市販の鎮痛薬を連用すれば、ミトコンドリアの働きを悪化させ、脳内セロトニンの低下を引き起こすことになり、頭痛が増強されてくることになり薬剤乱用頭痛を併発し、遺伝素因があれば、片頭痛への移行を加速させることになってきます。
こうしたことから、初期の頭痛、日常的に感じる極く軽度の頭痛、緊張型頭痛を無視した考え方では、片頭痛へと知らぬ間に移行させることになります。
学会の考え方では、緊張型頭痛を無視することによって、あたかも片頭痛への移行を黙認し、さらに片頭痛を”熟成”させることに繋がってきます。
このようなことは、トリプタン製薬メーカーにとっては、堪えられない状況を作ることになり、笑いが止まらないことになってしまいます。
このように、ここでも学会を主導される方々とトリプタン製薬メーカーの二人三脚ぶりの実態が明らかになってきます。
速さ、効きめ、やさしさを同時に考えたプレミアム処方の鎮痛薬「〇〇〇〇〇®Sプレミアム」 であったとしても、先々を考えれば何ら有益なものではありません。日常的に感じる極く軽度の頭痛、に対しては、このように考えて対処すべきで、早期から片頭痛への移行を阻止する必要があります。
頭痛の悩みに決然と立ち向かうためには、このような知識が必要とされます。 このように「頭痛改革」は進められなくてはなりません。
さらに詳しくは・・・
「慢性頭痛を理解するために」・・慢性頭痛を起こす各種の要因
http://taku1902.jp/sub424.pdf
このように、日常的に感じる極く軽度の頭痛を引き起こす原因は
1.「ホメオスターシスの乱れ」
2.「体の歪み(ストレートネック)」
3.ミトコンドリア、セロトニン神経系
にあり、これら3つの要因はすべて、ミトコンドリアと関連しています。
この「ミトコンドリアの働きの悪さの程度そのもの」は、「ミトコンドリアDNA」によって先祖代々継承されます。
緊張型頭痛の場合、”ミトコンドリアの働きの悪さ”が極く軽度のために、頭痛の程度は、片頭痛ほどは激しくならないということです。
片頭痛の場合、生まれつきミトコンドリアの働きの悪さが存在するため、”ミトコンドリアの働きを悪くし、セロトニン神経を弱らせる要因”の影響を、とくに受けやすいことになります。このため、こうした要因が加わることによって、”極く軽度の頭痛(緊張型頭痛)”から難治の”慢性頭痛”・片頭痛へと進展していくことになります。
結局、緊張型頭痛も片頭痛も起点(スタート)は、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”にあります。このため、先日も述べましたように、明らかに片頭痛と診断できる状態で仮に来院されたとしても、このスタートになる”日常的に感じる極く軽度の頭痛”の出現時期を確認し、その後、どのような生活習慣や生活環境の問題から片頭痛へと移行してきたのかを、お聞きすることが今後の治療方針を決める上で重要になってきます。このことが片頭痛治療上最も重要な点であり、皆さんもこの点を理解しておく必要があり、これまでの自分自身の頭痛の起こり始めから現在までの経過をきちんと整理しておく必要があります。これさえ確認できれば、以後の治療方針の建て方が極めてスムースにいき、的確な指導に繋がっていくことになります。
このように緊張型頭痛と片頭痛の基本的な相違は生まれつきミトコンドリアの働きの悪さの程度のみということになります。
ところが、片頭痛のように「ミトコンドリアの活性低下」という遺伝素因がなくても、緊張型頭痛でも、「ミトコンドリアの働きが悪さ」と「脳内セロトニンの低下」を来す生活習慣が継続してくれば、片頭痛とまったく同じような頭痛が引き起こされることになります。そうなれば最終的には緊張型頭痛であれ片頭痛であれ同じような「難治性の慢性頭痛」に移行することになってしまいます。緊張型頭痛でも発症要因そのものは同じです。
生まれつき存在するミトコンドリアの働きの悪さは、ミトコンドリアDNAによって先祖代々継承され、「ミトコンドリアDNA」は、「生活習慣の要因」と「外部の生活環境の要因」によって時々刻々変化していくものです。
ということは、先祖代々継承される「ミトコンドリアの働きの悪さ」の程度は、生まれた際には、各個人それぞれであり、一律ではないはずです。
それが生後、「生活習慣の要因」と「外部の生活環境の要因」によって時々刻々変化して・悪化していくことになります。
こういったことから、日常的に感じる極く軽度の頭痛を感じた際には、このようなことを念頭におかないといけないということです。
日常的に感じる極く軽度の頭痛に対する対処の仕方”如何”によって、以後、どのような結末を迎えるかは、言うまでもないことです。
これほどまでに、日常的に感じる極く軽度の頭痛は重要なものです。
これを放置することは、「健康と美容」を損なうことになってきます。
学会を主導される方々の申されるように決して”取るに足らない”頭痛ではなく、これこそ極めて重要な頭痛と考えなくてはなりません。
ですから、安易に、市販の鎮痛薬は服用すべきではないということです。
こうしたことから、速さ、効きめ、やさしさを同時に考えたプレミアム処方の鎮痛薬「〇〇〇〇〇®Sプレミアム」 であったとしても、このような薬剤を常用すれば、痛みに悩む多くの方々のQOL(生活の質)向上に貢献してゆくことはなく、逆に、益々、QOL・生活の質を低下させていくことになります。
このような鎮痛薬は確かに、飲み始めは効いているように感じます。このため、つい毎回、服用することになり、気がつけば”片頭痛”にまで進展していたということが日常茶飯事に経験されることを決して忘れてはなりません。慢性頭痛が薬剤で完璧に治った例はないことを知らなくてはなりません。慢性頭痛を治すには生活習慣の問題点を改善する以外にはありません。現在の薬剤はただ単に頭痛を抑え込んでいるに過ぎないことを認識しておく必要があります。そのためには、日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階から、対処することが極めて重要になってきます。ややこしい頭痛に至るまでに治せば、簡単に治るはずで、そのためには「慢性頭痛」がどのような頭痛であるのかを理解することが重要になってきます。こうした知識そのものは、健康と美容上、共通したことであり、さらに生活習慣病・老化予防、さらに認知症予防に繋がっています。このように私達の健康を考える際に、日常的に感じる極く軽度の頭痛こそは、健康を損なうような生活をしているという警告サインと捉えて、日々の生活習慣を見直していくことが、大切になってきます。決して、難しく考えず、単純に考えればすむことです。これが現代の「健康志向」のありかたです。
今こそ、鎮痛だけを考えるような「頭痛学」とは一切、決別しなくてはなりません。
このように”日常的に感じる極く軽度の頭痛”に対する認識を改めることが最大の「頭痛改革」につながるものです。