慢性頭痛を引き起こす原因 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 現在、頭痛の専門家たちは慢性頭痛である緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛はすべて原因はまったく不明とされています。
 前回は、脳のなかに異常のない「慢性頭痛」とは「健康的な生活」を送ることができないことに根本的な原因があることを宣言致しました。
 このなかで述べてきましたように、慢性頭痛を引き起こす原因として、以下の3つがあることを追加して宣言致します。

1.「ホメオスターシスの乱れ」
2.ミトコンドリア、セロトニン神経系
3.「体の歪み(ストレートネック)」
  


「ホメオスターシスの乱れ」
 

 すなわち、慢性頭痛発症の起こり始めは、「ホメオスターシスの乱れ」にあります。生体のリズムを乱す最大の要因はストレスにあります。
 ストレスは、マグネシウム不足と活性酸素の増加を招き、ミトコンドリアの働きを悪化させることに至ります。さらに「脳内セロトニンの低下」を招くことになります。
 このミトコンドリアの働きの悪化、「脳内セロトニンの低下」は、体の歪み(ストレートネック)」を容易に引き起こしやすくする素地になります。
 これが、慢性頭痛発症の起点(スタート)となる緊張型頭痛を発症させることになってきます。


ミトコンドリア、セロトニン神経系


 「健康的な生活を送る」ためには、”ミトコンドリア”が重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。
 すなわち、ミトコンドリアは、私達の体を構成する細胞の中にあり、食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
 このためミトコンドリアは、健康な生活を送るための”基本”ともなるものです。
 そして、私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。


 「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。
 セロトニン神経系は、”大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する、自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心のバランスを保つ”などの重要な働きをし、「健康的な生活」を送るためには欠かせない働きをしています。


 このように、健康な生活を送るためには、ミトコンドリアが正常に働き、セロトニン神経系がまともに機能していることが不可欠な要素になっています。


 片頭痛はミトコンドリアDNAによって先祖代々、継承されます。
 片頭痛の遺伝に関与する「ミトコンドリアDNA」は、「生活習慣の要因」と「外部の生活環境の要因」によって時々刻々変化していくものです。
 こうしたことから、ご家族・親戚に片頭痛の方がいらっしゃれば、「片頭痛予備軍」として考えて対処しなくてはなりません。
 片頭痛の場合、遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在することから、同時にセロトニン神経系の機能が低下してきます。これに生活習慣および食生活の問題から「脳内セロトニンの低下」がもたらされることになります。
 このように、ミトコンドリアの働きは、生活習慣および食生活の問題、外部の生活環境によって悪化してきます。


「体の歪み(ストレートネック)」の関与


 ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「体の歪み(ストレートネック)」引き起こしてきます。
 セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「ストレートネック」を引き起こします。


 私達の生活環境は活性酸素に満ち溢れており、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、脳内セロトニン低下と相まって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしやすい状況にあります。
 すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 こういったことから、現代では、ストレートネックが日常茶飯事にみられるようになってきました。


 私達は、日常生活を送る場面では、日常的に「前屈みの姿勢」を強いられており、このため、当然のこととして、「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしてきます。
 この日常的な「前屈みの姿勢」は緊張型頭痛の原因となり「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることによって緊張型頭痛が増強してくることになります。 


 しかし、頭痛の専門家は、、「国際頭痛分類 第3版β版」を遵守することによって「体の歪み(ストレートネック)」を否定され、片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛であるとは考えることはありません。また「ホメオスターシス」といった考えはまったくありません。このように、すべてを否定されることによって、片頭痛とは”神秘的で・不思議な”頭痛であるといったように”単純な”認識しか生まれないことになります。

 こういったことから、慢性頭痛の原因は不明とされている理由になっています。 
 そして、日常的に感じる極く軽度の頭痛や緊張型頭痛はまさに取るに足らない頭痛とされ無視されることにより、慢性頭痛発症の起点が曖昧模糊となってしまうことから、ただ単に原因不明とされているにすぎません。
 本来、このような日常的に感じる極く軽度の頭痛や緊張型頭痛、さらに片頭痛はすべて一連の連続したものであるはずです。これまでの説明で理解されたはずです。
 片頭痛の場合でも、原因はこの3つにあり、これらは生活習慣とくに食事・姿勢・体の使い方に問題があります。

 こうした要因を一切念頭に置かないことから、片頭痛が単純に”遺伝的疾患”であり,原因不明とされているにすぎません。


 このため、頭痛の専門家は「国際頭痛分類 第3版β版」に従って、あくまでも症状から慢性頭痛を診断し、慢性頭痛ガイドラインに従って、適当な薬剤を処方します。
 

 一次性頭痛のなかには、インドメタシンという鎮痛薬が極めて有効な頭痛があります。
 絶対的に有効な頭痛としては、発作性片側頭痛と持続性片側頭痛です。
 有効とされる頭痛としては、一次性穿刺様頭痛、一次性咳嗽性頭痛、一次性運動時頭痛、性行為に伴う一次性頭痛、睡眠時頭痛、貨幣状頭痛があります。
 これらは、「その他の一次性頭痛」のなかに分類されるものです。
 そして、発作性片側頭痛、持続性片側頭痛、一次性穿刺様頭痛、貨幣状頭痛の4つの病態は、いまのところ詳細には分かっておらず、全く不明とされ、あくまでも症状の上から診断し、インドメタシンを投与することになっています。
 そして、群発頭痛は、症状は典型的であり、一般の方々でもネット検索で自分で診断される程診断に苦慮することなく、対処策も一応確立されています。 残りの慢性頭痛の9割を「緊張型頭痛と片頭痛」が占めています。
 そして、緊張型頭痛はまさに取るに足らない頭痛とされ、筋弛緩剤・抗不安薬などが適当に処方され、相手にされません。
 結局のところ「国際頭痛分類第3版 β版」の真の目的とすることは、片頭痛を明確に定義することによって”片頭痛と間違いなく診断”して、この片頭痛に対して間違いなく”トリプタン製剤を処方する”ためのものです。

 このようにすべてが薬物療法で対処され、片頭痛でもトリプタン製剤を処方することによって辛い頭痛が緩和されれば、それで解決したと考えられています。
 苦しい頭痛という痛みだけをトリプタン製剤で取り除いていますと、その根底にある病態(酸化ストレス・炎症体質)は次第に増悪してくることになります。(トリプタン製剤は専門家は片頭痛の”特効薬”とされますが、突き詰めれば市販の鎮痛薬と同様に鎮痛薬に過ぎないということです)。


 このため、先程述べた以下の3つの要因を点検し、慢性頭痛を根本的に治していく必要があります。
 
1.「ホメオスターシスの乱れ」
2.「体の歪み(ストレートネック)」
3.ミトコンドリア、セロトニン神経系


 

 この3つは、生活習慣とくに食生活・姿勢・体の使い方・ストレスによって影響を受けています。

 このような具体的な要因については、診察の場では一々詳しく述べればよいのですが、時間的に制約があることが問題になってきます。
 慢性頭痛とくに緊張型頭痛、片頭痛はまさしく生活習慣病とも言える頭痛です。
 このため、糖尿病では、その治療指針として「糖尿病治療のてびき」と「食品交換表」 があります。患者さんは、自宅でこれを独自でご覧になられて、これを実際の生活に組み込まれていくことになっています。
 こうしたことから、片頭痛でも同様のものが必要とされます。
 現在、「慢性頭痛診療のガイドライン 市民版」が存在しますが、片頭痛が生活習慣病であるとの観点から記載されていないことから極めて不適切なものです。


 このため、以下のようなものを暫定的に作成しています。


  新・臨床頭痛学 前編
   http://taku1902.jp/sub394.pdf

  新・臨床頭痛学 後編
   http://taku1902.jp/sub395.pdf


 片頭痛は、これまでの生活習慣の問題点によって起きてきた頭痛です。このため、自分の頭痛が、どのような問題点から起きてきたものかを自分で点検する必要があります。
 自分の片頭痛が、どのようにして発症してきたのかを、冷静に振り返ってみることです。

 「最初に頭痛」を自覚してから、この頭痛が、現在のように”日常生活に支障を来す程の頭痛”に至るまでの間に、生活習慣・生活環境にどのような変化があったかを冷静沈着に内省することです。

 このような指導は、大半の現在の頭痛外来では行われることができないため、自分自身で行う必要があることを認識しておかなくてはなりません。
 このことから、どういった問題点が浮上してくるかを点検することです。
 このように何か生活習慣・生活環境に変化があったかが分かれば、これを糸口に「あなたの片頭痛の要因」が探れることになってきます。

 その大半は、「食生活」・「体の使い方」・「姿勢」にあります。

 そして問題点が分かれば、これを是正するだけのことです。発作時にはトリプタン製剤を服用せざるを得ません。そして、発作回数が多ければ、たちまちは予防薬を併用しなくてはならないかもしれません。しかし、必ず、平行して、見つかった生活習慣上の問題点を同時に是正しなくてはならないということです。
 ミトコンドリアおよびセロトニン神経の活性化には、最低3カ月は必要とされます。
(仮に、予防薬を服用されようとも、この程度の期間は必要とされています)
 また、「体の歪み(ストレートネック)」の是正にしても、毎日の首を労るための配慮が必要であり、背骨伸ばしのストレッチと仙腸関節のストレッチは最低限必要とされます。
 食事に対する配慮は毎日行う必要があります。とくにマグネシウム不足は、普通のひとでも容易に不足しやすい生活環境に置かれていることを認識する必要があります。そして、食生活上の嗜好の問題もあります。油の摂り方にも共通した配慮が必要とされます。
 このように、毎日の日常生活を行う上での思わぬことが、あなたの片頭痛の要因になっていることを認識しなくてはなりません。
 しかし、このような配慮は、片頭痛改善だけでなく、「健康的な生活」と「美容」上欠かせない重要な項目となっているはずです。


 現在の頭痛の専門家の作成される「慢性頭痛診療のガイドライン」では、マグネシウム補充とビタミンB2を摂取することだけしか記載されず、片頭痛治療のメインとなる食事療法については記載がなく、「体の歪み(ストレートネック)」の是正については全く記載されていません。
 さらに「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、リラックスするように」といった基本事項すら記載されていません。


 規則正しい生活とは、生まれつき体に備わっている生体リズムに沿った生活という意味で、最も自然で健康的な生活と言えます。生活のリズムは恒常性(ホメオスターシス)によって維持されています。

 

 「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。


 ”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
 このようにセロトニン神経は「ホメオスターシス三角」で重要な位置を占めています。
 ”生理活性物質”は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、局所ホルモン(エイコサノイド)(プロスタグランジン)のバランスを乱すことになります。結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。また、痛みを感じやすくなってきます。
 ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。家畜に投与された抗生物質が食肉を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。このようにして腸内環境は悪化してきます。
 ”腸内環境”の悪化は「頭痛を引き起こしやすい状態」を形成してくることになります。
 こうした諸々の要因は「ホメオスターシス三角」そのものの釣り合いを乱す原因ともなり、頭痛を引き起こしやすい状態を形成してくることになります。

 生活のリズムは、体内時計によって刻まれ、この生体時計は、さらにミトコンドリアとセロトニンにより制御されています。


 「食事をバランスよく摂る」ことは、ミトコンドリアがエネルギー産生を行うためと、脳内セロトニン産生を行うために必須の条件になります。
 「睡眠を充分とる」ことは、日中に傷ついたミトコンドリアの修復に不可欠であり、早寝・早起きはセロトニン神経の活性化に大切になります。
 「姿勢を正しくし、背筋を伸ばす」ことはミトコンドリアを活性化させます。
 「リラックスする」ことは、自律神経を調整するために必要で、ストレス耐性の体づくりにはセロトニン活性化が不可欠となってきます。


 このような基本的なことすら「慢性頭痛診療のガイドライン」には記載がないということは、現在の頭痛の専門家は何を考えているのでしょうか。
 こうしたことをきちんと認識しておく必要があります。