「慢性頭痛」は「生体リズム」の乱れから | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 これまで、頭痛の専門家は、脳のなかに異常のない「一次性頭痛(慢性頭痛)」とは何か、といった命題を考えることは、これまで全くありませんでした。
 このような海図・羅針盤にも等しい「命題」を考えることなく頭痛研究をされます。
 それも「国際頭痛分類 第3版β版」を絶対的な頭痛研究の基準とされるだけです。
 慢性頭痛は、この分類に従って、緊張型頭痛・片頭痛・三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)・その他の一次性頭痛の4つに分類されています。
 学会を主導される方々は、これらをそれぞれを全く別個のものとして頭痛研究が行われ、国際分類の改訂のたびに、診断基準である”定義”の解釈の論議しかこれまでされませんでした。決して、本質論を論ずることはありませんでした。
 このように頭痛の専門家は、慢性頭痛とは何かという「命題」を明確にすることもなく、「国際頭痛分類 第3版β版」を遵守することによって「体の歪み(ストレートネック)」を否定され、片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛であるとは考えることはありません。
 このように、すべてを否定されることによって、片頭痛とは”神秘的で・不思議な”頭痛であるといったように”単純な”認識しか生まれないことになります。
 そして、片頭痛にトリプタン製剤が極めて有効であることから、片頭痛の病態はすべてトリプタン製剤の作用機序からしか説明されず、生まれて初めて経験する極く軽度の頭痛は「国際頭痛分類 第3版β版」では定義されないことから無視され、さらに緊張型頭痛は取るに足らない頭痛とされ、まったく問題にしません。
 しかし、このような生まれて初めて経験する極く軽度の頭痛や緊張型頭痛は、片頭痛を発症させるスタートになるはずのものです。これらはすべて一連の連続したものであるはずです。これを無視することによって、発症様式が極めて曖昧模糊となってしまい、結局のところ”不思議で・神秘的な頭痛”と短絡的に考えているのが、頭痛の専門家と考えなくてはなりません。


「慢性頭痛」は「生体リズム」の乱れから


 本来、脳のなかに異常のない「慢性頭痛」は「健康的な生活」を送ることができないことに根本的な原因があり、”慢性頭痛”とは、「不健康な生活を送っている」という生体の警告の信号”サイン”と考えなくてはなりません。

 健康的な生活とは、生まれつき体に備わっている「生体リズム」に沿った生活ということを意味しています。この生活のリズムは「ホメオスターシス」によって維持され、体内時計により刻まれ、ミトコンドリア・セロトニンにより制御されています。
 経験的に、ストレスは慢性頭痛を増悪させる原因と知られています。
 そして、このストレスが、「ホメオスターシス」を乱す根源になります。
 先程の「恒常性(ホメオスターシス)」の維持には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深く関わっており、それはストレスなどに大きく影響されます。例えば、ストレスは自律神経を失調させ、内分泌系を乱し、免疫力も低下させてしまいます。
 このように、慢性頭痛のスタートは、「生活のリズムが乱れる」ことによって起きると考えるべきです。


 このように、脳のなかに異常のない「慢性頭痛」とは「健康的な生活」を送ることができないことに根本的な原因があることを宣言致します。


 規則正しい生活を送りましょう。幼い頃から、何度も聞いた言葉ではないでしょうか?
 規則正しい生活とは、生まれつき体に備わっている生体リズムに沿った生活という意味で、最も自然で健康的な生活と言えます。
 しかし、現代の生活環境は、健康的な生活を崩す要因が多く、24時間営業の飲食店や夜通しの娯楽、コンビニやテレビ・パソコンなどの普及により急激に変化しています。このような変化により、体の生体リズムにも悪影響が及んでいます。
 生体リズムを無視した不規則な生活を送ると、頭痛を初めとして、様々な不調を感じるようになります。生体リズム、自律神経、ホルモンはすべて連帯しているため、生体リズムが乱れると自律神経やホルモンバランスにも悪影響が及んでホメオスタシス機能を乱すのです。


 生体のリズムは「ホメオスターシス」によって維持されています。
 ホメオスタシス・恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、それはストレスなどに大きく影響されます。例えば自律神経を失調させるストレスは内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。
 3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角形」と呼ばれます。


 「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。


 ”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
 内分泌ホルモンに相当する”生理活性物質”は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。
 ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。


 このように、この3つは、生活習慣とくに食生活・ストレスによって影響を受けています。この「ホメオスターシスの乱れ」が慢性頭痛を起こしやすい状態を作ってきます。


 「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの”一角”に問題を生じてくれば、極く軽度の頭痛が出現してくることになります。
 そして、これに更に、新たに”別の一角”の要因が加わればさらに頭痛の程度も増強してきます。
 最終的に、この”三角”とも全てに問題が起きることによって「生体のリズムの乱れ・歪み」を来すことに至り、難治の”慢性頭痛”を発症させます。


 片頭痛の患者さんでは、緊張型頭痛の場合と異なって、遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在することから、ミトコンドリアの働きを悪くし、セロトニン神経を弱らせる要因の影響を、とくに受けやすいことになります。 このため、こうした要因が加わることによって、”極く軽度の頭痛(緊張型頭痛)”から片頭痛へと進展していくことになります。


 そして、片頭痛のように「ミトコンドリアの活性低下」という遺伝素因がなくても、普通の人でも、「ミトコンドリアの働きが悪さ」と「脳内セロトニンの低下」を来す生活習慣が継続してくることによって、片頭痛とまったく同じような頭痛が引き起こされることになります。そうなれば最終的には緊張型頭痛であれ片頭痛であれ同じような「難治性の頭痛」に移行することになってしまいます。


片頭痛では、どのように考えるべきでしょうか


 片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢性化して増悪してきます。
 自然治癒した3割は、ホメオスターシス、すなわち”恒常性を維持するための「環境に対する適応力」により治癒したものです。


 ”セロトニン神経系””生理活性物質””腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態(発作がいつまでも繰り返される)が持続することになります。
 すなわち、脳内セロトニンの低下を引き起こす生活習慣があったり、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活があったり、腸内環境を悪化させる要因が持続するような生活習慣が継続していることを意味しています。


 「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続された状態に、さらに「ミトコンドリアの問題」、「脳内セロトニンの低下」、さらに「体の歪み(ストレートネック)」等々の脳過敏・慢性化の要因が加わることによって、2~3割の方々が慢性化に至ってきます。


 このように片頭痛は”未病”の段階にあり、緊張型頭痛を起点として、さまざまな生活習慣の問題点が重なることによって、「いろいろな段階の片頭痛」へと進行し、最終的に「慢性片頭痛」という難治な段階に至ることになりますので、常に自分の生活習慣に気を配り、何か問題があれば、その都度改善に努める必要があります。このように進行性疾患です。


 このような頭痛に対して、市販の鎮痛薬を連用すれば、ミトコンドリアの働きを悪化させ、脳内セロトニンの低下を引き起こすことになり、頭痛が増強され、薬剤乱用頭痛を併発させ、さらに片頭痛への移行を加速させます。


 このようなことから、脳のなかに異常のない「慢性頭痛」とは「健康的な生活」を送ることができないことに根本的な原因があります。


 

     「ホメオスターシス」
      http://taku1902.jp/sub401.pdf

   

    生理活性物質
      http://taku1902.jp/sub404.pdf

  

    腸内環境
      http://taku1902.jp/sub405.pdf


  

     「慢性頭痛を理解する」
      
http://taku1902.jp/sub396.pdf