これまで「頭痛診療」では、痛みがあれば、まず市販の鎮痛薬を、これでダメなら病院での鎮痛薬NSAIDs、これで効かなければエルゴタミン製剤を、これでも効かなければトリプタン製剤が勧められてきました。
このように段階的に、”鎮痛薬”の服用が推奨されてきました。
そして、最後の”砦”とされるトリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とされてきました。
このように片頭痛治療の場面では、各種の諸々の薬剤によって、ただ単に”頭痛という痛み”さえとれば、これで解決したと安易に考えられてきました。
しかし、信じられないかもしれませんが、皆さんは、頭痛の際に服用される”頭痛薬”すべてが頭痛の原因となることをご存じでしょうか。皆さんが現在服用されるトリプタン製剤も例外ではありません。
このため、頭痛の際に服用される頭痛薬が頭痛の原因となることから、病院で処方される”おくすり”だからといって決して安心してはなりません
現在、テレビでは毎日のように、”頭痛にハイ〇〇〇”とコマーシャルが流れています。 このように、日常的に感じる極く軽い頭痛に対して市販の鎮痛薬が宣伝されています。
そして、専門家は、「国際頭痛分類 第3版β版」に従って、脳のなかに異常のない頭痛を、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛・その他の一次性頭痛の4つに分類され、あたかも頭痛の起こり始めから、このような大きく分けて4つのいづれかの頭痛のタイプで発症し、あたかも、これらが全く別個の頭痛であるかのごとく考え、これを厳密に区別すべきとされます。このため、日常的に感じる極く軽い頭痛は、「国際頭痛分類 第3版β版」の分類にはないことから、”野放し”になっているのが実情です。しかし、この「日常的に感じる極く軽い頭痛」こそは、慢性頭痛の原点(出発点)になるもので重要なものです。
また、このような”極く軽い頭痛”でなく、片頭痛という”辛い頭痛”でさえ、こうした市販の鎮痛薬が繁用されております。
専門家は、片頭痛に対して、市販の鎮痛薬を服用する弊害を次のように説明されます。
市販の頭痛薬や痛み止めの大部分は”みかけの痛み”のみを取り払い、水面下で起こっている脳の神経細胞の興奮症状を置き去りにしています。
当然、毎回の片頭痛発作のたびに起きている脳の血管周囲の炎症に関しても放置されたままになっています。
この興奮状態の放置により、片頭痛の回数や程度がだんだんとひどくなってきて、市販の頭痛薬の用法や用量の規定範囲を超えるようになってきたり、飲む回数が増えてきたりします。
このようなことから、片頭痛にはトリプタン製剤を服用するのが”適切”な治療とされます。すなわち、この薬剤は市販の鎮痛薬とは異なり、片頭痛発作の際に脳の血管周囲に張り巡らされた三叉神経から、炎症蛋白が放出されるのをブロックすると同時に、膨れあがった脳の血管を元の大きさに戻す作用を持ち合わせる、いわば根本から片頭痛を断ち切る薬であるといえます。
このようにトリプタン製薬メーカーが聞けば泣いて喜ぶような説明をされてきました。
ところが、このように対処しているにも関わらず、片頭痛の3割の方々は、慢性化して増悪し、なかにはトリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とされることから、トリプタンによる薬剤乱用頭痛に陥り、対処が極めて困難な状態が多発するようになり、問題になっています。
しかし、専門家は一切こうした問題点を私達には明らかにされることはありません。
慢性頭痛診療のガイドラインでは、片頭痛治療上、トリプタン製剤が第一選択薬とされていることから、最近では一般開業医でも安易に処方されるようになっています。
このように、片頭痛に対してトリプタン製剤を服用するのが常識とまでされています。
この点が最も問題視されなくてはなりません。
このような状況に至った理由は、頭痛専門医が、片頭痛の病態をすべてトリプタン製剤の作用機序から説明してきたことに原因があります。
これまで、我が国にトリプタン製剤が導入される以前から、下村登規夫先生、Welch KMA, Ramadan NM によって、片頭痛が”ミトコンドリアの機能障害である”という考え方がありました。
そして、最近では、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生によって、片頭痛の大半は、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、”環境因子”として、生活習慣(特に食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより、引き起こされる疾患(頭痛)とされています。
片頭痛発症の根幹には「酸化ストレス・炎症体質」が存在し、このために、活性酸素や遊離脂肪酸が過剰に産生されやすく、このため血小板凝集が引き起こされ、これが引き金となって血小板から”生理活性物質”であるセロトニンが放出されることによって、片頭痛発作につながっていきます。トリプタン製剤をいくら服用しても、根幹にある「酸化ストレス・炎症体質」を改善させることはできません。こういったことから、片頭痛を慢性化させ、慢性片頭痛へと移行させてきます。
このように考えれば、トリプタン製剤といえども、片頭痛の”特効薬”でもなんでもなく、市販の鎮痛薬よりは病態のピンポイントに作用はしていますが、単なる”極めて有効な鎮痛薬”にすぎないということです。
このような市販の鎮痛薬、病院での鎮痛薬NSAIDs、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤はすべて、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせることによって、片頭痛を増強させます。
また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、痛みの閾値を下げるため痛みを感じやすくさせるために、薬剤乱用頭痛を引き起こしてくることになります。
このようにすべての頭痛薬は、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、脳内セロトニンを低下させることの2つのが関与して、「薬剤乱用頭痛」を引き起こし、頭痛薬によって、かえって頭痛をひどくさせる原因になってきますので注意が必要です。
このように、慢性頭痛発症・増悪過程には、「ミトコンドリア」、「脳内セロトニン」が関与しています。
とくに片頭痛の大半は、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」が存在します。このミトコンドリアの働きの悪さが存在すれば、同時に「セロトニン神経系」の機能低下が起きています。ここに生活習慣の問題があれば、脳内セロトニンの低下がもたらされることになり、この2つによって「体の歪み(ストレートネック)」を容易に引き起こしやすくなってきます。
この3つの要因が片頭痛を引き起こし、増悪することに関与してきます。
このように慢性頭痛の発症様式を根源的に見直す必要があります。
話をもとに戻すことにします。
専門家は、「国際頭痛分類 第3版β版」に従って、脳のなかに異常のない頭痛を、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛・その他の一次性頭痛の4つに分類され、あたかも頭痛の起こり始めから、このような大きく分けて4つのいづれかの頭痛のタイプで発症し、あたかも、これらが全く別個の頭痛であるかのごとく考え、これを厳密に区別すべきとされます。
しかし、これらの4つのタイプの慢性頭痛は起こり始めからこのように歴然と区別された形で発症しているのでしょうか?
すなわち、緊張型頭痛も片頭痛も一連の連続したものであるということです。
こういったことから、日常的に感じる極く軽い頭痛→緊張型頭痛→片頭痛→慢性片頭痛(トリプタン乱用による薬剤乱用頭痛)→群発頭痛様の睡眠時頭痛(目覚まし時計頭痛)へと移行してくることを意味し、トリプタン乱用による薬剤乱用頭痛は片頭痛の謂わば”終着駅”にあたるものです。
片頭痛とは”未病”の段階にあり、極く軽い頭痛・緊張型頭痛を起点として、さまざまな生活習慣の問題点が重なることによって、「いろいろな段階の片頭痛」へと進行し、最終的に「慢性片頭痛」という難治な段階に至ることになりますので、常に自分の生活習慣に気を配り、何か問題があれば、その都度改善に努める必要があります。このように進行性疾患です
このため”未病”に相当する片頭痛に対して、トリプタン製剤を安易に繰り返し服用することは、もはやどうにも対処できない薬剤乱用頭痛に至ってしまい、頭痛地獄をみることになり、”ご愁傷様”となってきます。
「緊張型頭痛も片頭痛も一連の連続したものである」ということは、とくに、小児の頭痛を考えれば理解されるはずです。小児の頭痛は、発症当初は、緊張型頭痛とも片頭痛とも区別ができないものがほとんどです。
専門家は、「国際頭痛分類 第3版β版」に従って無理矢理診断しようとされます。
当初は、緊張型頭痛から始まり年と共に片頭痛のような形に移行しているはずです。
また、女性になぜ慢性頭痛とくに片頭痛が多く、なぜ年と共に増悪するのかを考えればおおよその見当はつくはずです。それは、脳内セロトニンの関与、「体の歪み(ストレートネック)」の関与、マグネシウムの関与、生理周期の関与、腸内環境の関与、ミトコンドリアの関与、食事生活・・女性特有の嗜好の問題、貧血の問題の関与の要因から考えれば、いかに生活習慣の問題が関わっているかが理解されるはずです。
にも関わらず、専門家は「国際頭痛分類 第3版β版」からしか考えることはありません。
このように、女性の片頭痛を男性と対比して、どこがどのように異なっているのかを一切考察されることはありません。
こうしたことから、最近では、片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛であり、その大半は”多因子遺伝”によって先祖代々受け継がれると考えられています。
このような”多因子遺伝”による疾患は、生活習慣病の代表格の糖尿病があります。
そして、片頭痛も糖尿病と同様に”生活習慣病”の一種とされるようになりました。
こうしたことから、環境因子を取り除くことによって、片頭痛を改善させようとする試みが一部の方々で行われるようになってきました。学会は無視されていますが・・
このように、女性と男性は生活習慣が基本的に異なっています。
片頭痛発作時にはトリプタン製剤を、発作回数が多ければ、予防薬を服用するに際して、生活習慣の問題点を改善しながら、同時進行で行う必要があります。
そうしませんと、片頭痛を徐々に慢性化させ、最終的には慢性片頭痛へと移行させ、対処不能の状況を作ってくることになります。
にも関わらず、学会を主導される方々はこのようなことには全く無関心で、「慢性頭痛診療のガイドライン」にも「生活習慣の問題点を改善」の項目はありません。
このため、生活指導も行うことなく、安易にトリプタン製剤が処方されることで、片頭痛患者さんを苦しめることになっています(当座の、痛みは緩和されましたが・・)。
学会がこのような対処をされないため、私達は、私達自ら自分で対処しなくてはならないのが実情です。
こうした理由から、私達で自衛策を講ずる必要があることから、一般の方々のために、「片頭痛のセルフケア」(ルネッサンス・アイ)を出版させて頂くことに致しました。
専門家の方々は、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の作成される「国際頭痛分類 第3版β版」を金科玉条のものとされ、ということは”メーカーの利益を優先”され、このような考え方は一切されることはありません。
私達は、何でもない極く軽い頭痛から緊張型頭痛へ、さらに片頭痛へ、そして、慢性片頭痛へ、群発頭痛のような睡眠時頭痛へと移行していく現実を直視することにより、片頭痛を如何にして予防していくか、という観点から考えなくてはなりません。
にもかかわらず、従来行われてきたように、痛みがあれば、まず市販の鎮痛薬を、これでダメなら病院での鎮痛薬NSAIDs、これで効かなければエルゴタミン製剤を、これでも効かなければトリプタン製剤をと、段階的に、”鎮痛薬”の服用が推奨され、そして、最後の”砦”とされるトリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とされ、このように片頭痛治療の場面では、各種の諸々の薬剤によって、ただ単に”頭痛という痛み”さえとれば、これで解決したと安易に考えられてきました。
このような考え方をされるが故に、頭痛専門医は頭痛専門医としての価値を見出し、ここに威厳を求めてきました。それは、慢性頭痛そのものを錯綜とさせ、複雑なものとさせたからに他なりません。
このような対処の仕方をする限り、最終的にはトリプタンによる薬剤乱用頭痛に移行していく宿命にあることを認識しなくてはなりません。
ですから、何でもない極く軽い頭痛の段階で、市販の鎮痛薬でお茶を濁しておれば、行き着くところまでいくしかないことになっています。
このように、片頭痛を一途に熟成させる道を歩ませてはいけないということです。
最近、ブログに以下のような興味ある投稿を頂きましたので、ご紹介致します。
中学生の頃から頭痛に悩まされていました。その頃は月に3,4回、市販の鎮痛薬を飲む程度だったのですが、実家が調剤薬局だったため、服用薬もサリドンで、それでなければ効かない気がしていました。
薬科大学に進み、薬局とは別の仕事に就きましたが、頭痛は相変わらずで、薬はサリドンからセデスGに変わっていきました。結婚してから服用量がだんだん増え、SG顆粒に代わった今でも1日4~6包飲む有り様です。いけないとは思いながら実家に頼めば買えるので、つい少しの頭痛でも服用してしまいます。
頭が重く、頭痛がひどくなるかなと思うとそれが怖くてすぐ飲んでしまいます。
昨年思い切って地元の神経内科を受診し、実情を話しました。診断の結果は前兆のない片頭痛と緊張型頭痛の混合で、トリプタノール10mgを1錠、就寝前服用という処方が出ました。ところが、これが眠くて、翌朝目覚ましを止めたことも憶えていないことが続いて、やめてしまいました。
これって、明らかに効果が発現する前にやめてしまったということですよね。
家庭の状況で午前1時頃就寝、朝は5時起床と睡眠時間が少ないですが、パートで薬剤師をしている日以外は日中なるべく休むようにしています。
現在、56才。鎮痛剤を服用するようになって20年、SG顆粒4~6包/日。ほぼ毎日この状況です。
成人検診の結果はDr.から「昨日はお酒飲んだのかな?」と毎回聞かれるので、肝臓に何らかのダメージが出ているのかと思います。
やはりトリプタノール服用を再開しなければいけないのでしょうか?
ああ、でもあの瞬き出来ないほどの頭痛は怖いです。私みたいな中毒患者さんはいますか?
長文、失礼しました。
これが、現実の頭痛診療の実態・縮図と考えなくてはなりません。少なくとも、頭痛を最初に自覚した時点で何をどのようにすべきなのか、さらに市販の鎮痛薬でお茶を濁しておれば、将来どのような結末に至るのか、といった初期の段階でどのように対処すべきであるのかが、「慢性頭痛診療のガイドライン」では明らかにされることはありません。
ただ、片頭痛ではトリプタン製剤を第一に服用すべきとだけされ、頭痛初期の極く軽い頭痛は「国際頭痛分類 第3版β版」では、どのような頭痛なのか定義されないものは、取るに足らない頭痛(緊張型頭痛ですら”取るに足らない”頭痛とされ、大切な頭痛は片頭痛であり、まさにトリプタン製剤を売らんがためのことしか念頭にないようです)とされ、まったく無視されることから、このため患者さんは市販の鎮痛薬で対処されます。
このような「国際頭痛分類 第3版β版」で定義されない”頭痛初期の極く軽い頭痛”の段階を最も重要視されなくてはならないはずです。
こうしたことから、頭痛専門医のように、片頭痛の病態をすべてトリプタン製剤の作用機序から考えるのではなく、片頭痛が”ミトコンドリアの機能障害であり” ”多因子遺伝”による生活習慣病であると考えさえすれば、片頭痛の病態すべてが説明できることになります。このような観点から、慢性頭痛の発症様式を考えていく必要があります。
「国際頭痛分類 第3版β版」は、片頭痛を明確に定義し、片頭痛であればトリプタン製剤を処方させるだけの価値しかなく、慢性頭痛を根本的に解決させるものではないということを認識しておかなくてはなりません。
そして、「国際頭痛分類 第3版β版」をまったく離れて、慢性頭痛を根源的に考えることが重要になってきます。専門家は、「国際頭痛分類 第3版β版」がすべてとされ、ここに根本的な問題が存在すると考えなくてはなりません。
このように考えさえすれば、頭痛薬による弊害は避けることができます。
このような考え方で、今回の「片頭痛のセルフケア」は作成されています。
こういったことから、頭痛治療は、”薬剤乱用頭痛との戦い”といっても過言ではありません。このような”頭痛薬によって頭痛が引き起こされてくる”というジレンマがあることを理解しなくてはなりません。
このことが、頭痛治療を行っていく場面で最も大切な点です。
こういったことを念頭に置いた上で、頭痛を最初に自覚した時点で、自分で、何をどうすべきかを考えた上で、自分なりに対策を講ずるべきです。ということは、最初の時点で、安易に市販の鎮痛薬に手を出さないことが必須ということです。そうしなければ、次々に、作用の強い鎮痛薬に変えざるを得なくなり、挙げ句の果ては、トリプタン製剤にまで行き着いてしまうということを意味しています。
このようなことは、学会を主導される方々は一切、指導されることもなく、野放し・放任されたままです。その結果が、どうなるかは言うまでもないことです。
まさに、片頭痛をひたすら”熟成させていく”ことになります。
このようなことから、最初に頭痛が感じた場合、安易に「市販の鎮痛薬」を服用することなく、頭痛を緩和させる”スベ”を会得することが大切になります。ある専門医は、頭痛体操がすべて、とされますが、これだけでは到底不可能と考えなくてはなりません。
このため、先程の慢性頭痛を引き起こす原因が、あなたの生活習慣のなかに存在しないかどうかを点検しなくてはなりません。このように根本的に改善させておくことが重要になってきます。こうした要因はすべて、あなたの生活習慣のなかにあります。
これを突き止めるためには、これまでのあなたの「生活習慣」を振り返ってみることによって、問題点を見つけ出すことが重要になってきます。このような自分の生活習慣を振り返ってみることができるのはあなたしかいません。このため、あなた自身で振り返ってみて、その問題点を見出すことで、自分で改善しなくてはなりません。するのは医師でなくあなた自身です。これができなければ、慢性頭痛の改善はできないことになります。
このような「生活習慣」を振り返ってみることによって、問題点を見つけ出すための考え方を提示するのが今回の「片頭痛のセルフケア」の目的です。
このようにして、”頭痛薬の弊害”を予防・阻止しなくてはなりません。
このことが、片頭痛の改善に直結することになります。