「片頭痛のセルフケア」出版にあたって その7 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 片頭痛が現在のところ、学会を主導される方々の見解では、原因不明とされ、このため仕方なく発作時にトリプタン製剤を服用し、たちまち頭痛を緩和させ、発作回数が多ければ予防薬を服用し、発作のトリガーとなるものを見つけ出し、これを取り除きながら、発作が起きなくなる年代まで耐えましょうとされ、予防等は論外とされています。


 片頭痛と同じように原因不明とされている「認知症」ではどのような「対策」が行われているのでしょうか? この点を知っておくことも大事です。


 認知症は現在の医学では残念ながら完治が見込めません。代表的な認知症であるアルツハイマー病は一旦発症してしまうと病状は進行してしまいます。


最も患者さんの多いアルツハイマー型認知症について


 この病気は、患者さんの脳にアミロイドβという異常なタンパクが付着し、徐々に脳神経を壊していく病気です。
 脳のしみ、老人斑などともいわれますが、 脳を壊していくので非常にたちが悪いしみだといえます。
 アミロイドβ沈着によって、患者さんは、それまでできていた能力、記憶や見当識、思考力、判断力などを失います。
 そのため徐々に自立した生活が営めなくなり、介護の助けがないと生きていけなくなります。
 なぜ体内でできたタンパクが、自分自身を傷つけるのかについてはまだ詳しいことはわかっていません。
 ただアミロイドβは、単独ではなく、アルコール脱水素酵素(ABAD)というタンパクとミトコンドリア内部で結合することで毒性が発現し、神経細胞を壊すことがわかってきました。
 この時ミトコンドリアでは、エネルギー生産の低下や二重になっている膜の透過性が下がるなど著しい機能の低下が観察されているため、ミトコンドリアに原因があると考えられるようになりました。
 認知症発症と進行の原因となる異常なタンパク、アミロイドβは、ミトコンドリアの機能低下が背景にあり、その内部で他のタンパクと結合し、細胞を壊す毒性を持つようになったのではないかと考えられています。
 こうして脳の神経細胞がアミロイドβによって壊され、アルツハイマー病が進行していくのですが、現在のところ進行を緩やかにする、あるいは周辺症状を多少改善する薬があるくらいです。

 現代の医学では、原因となるアミロイドβを除去すること自体や毒性を消すこと、さらに作らないようにすることも出来ません。
 しかし、ミトコンドリアの機能が低下することによってアミロイドβが毒性を持ってしまうのなら、ミトコンドリアの機能を改善することでアミロイドβの毒性を抑えることができる可能性があります。

 そこで改善の力となるのが「抗酸化物質」です。
 ミトコンドリアの機能低下はそもそも活性酸素の増加とされ、それを除去する効果があるためです。
 さらに「抗酸化物質」は、壊れた脳神経細胞を修復し、再生する力があるとされているため、ミトコンドリアの活性化がはかれるはずなのです。

 そして、最も大切なことはミトコンドリアそのものを元気にすることです。

 そこで最も良いのは認知症を予防してしまうことではないかという考え方が主流になって来ました。
 認知症の予防は成人病の予防であり、生活習慣の見直しでもあり対策方法はそのままアンチエイジング対策ということになります。


        認知症予防に最も大事な4つの要素


           食生活
           運動
           生活習慣(タバコ・酒・夜更かし)
           頭を使う


 このようにして、認知症は予防が可能とされています。
 このように、アルツハイマー型認知症は、原因不明とされながら、ミトコンドリアの機能を改善することによって、予防の可能性が示唆され、具体的にどのようなことをすべきかが考案され、病態解明が完全に明らかにされない段階から現実に試みられています。


活性酸素


 酸素は地球上のほとんどの動物にとっては、なくては生きていけない大切なものです。しかしその酸素が呼吸によって体内に取り入れられると、その一部が「活性酸素」といわれる不安定な状態になり、近くの物質と結びつこうとします。物質が酸素と結びつくことを”酸化”といいますが、鉄がさびたり、空気に触れたりんごの切り口が茶色になったり、あるいは雨ざらしのゴムホースがぼろぼろになったりするように、活性酸素が体の中でさまざまな「さび」の状態を作るのです。
 活性酸素が過剰になると、物質が酸化によってぼろぼろに壊れてしまうのと同じ現象が、人体の中でも起こってきます。
 その結果、がんや動脈硬化、脳梗塞、心疾患、糖尿病、白内障などの生活習慣病を引き起こしてきます。また、活性酸素はしみやしわなどの原因になり、老化の最大の原因であることも分かってきました。
 現在の研究では、活性酸素は全疾患の90 %以上に何らかの形で関っていると言われています。

 片頭痛でも同じように、この活性酸素が関係しています。
 活性酸素はミトコンドリアがエネルギーを作り出す際に生み出されるものです。
 このミトコンドリアの一部が異常をきたし、機能低下する事で起こる”ミトコンドリア病”があります。
 このようなことから、これまで片頭痛が”ミトコンドリアの機能障害である”という考え方が生まれてきました。
 このような考え方は、これまで下村登規夫先生、Welch KMA, Ramadan NM によって示されていました。これは、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生によって受け継がれています。


 そして、現時点において、学会では片頭痛は”遺伝的疾患”で、原因が不明とされているにも関わらず、このように片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛であると考えることによって、これまで鳥取大学医学部・神経内科の時代に下村登規夫先生は「MBT療法」を提唱され、これを実践された方々の9割の方々の片頭痛を改善に導いてこられました。

 そして、現在では、同様の考えに基づいて、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は「3つの約束」提唱され、実践された方々が片頭痛を克服されている事実を冷静にみつめる必要があります。

 下村登規夫先生の「MBT療法」では、片頭痛の改善率は9割とされていました。現代医学の世界に、改善率9割という治療法は、どこにもないはずです。
 このような成績が出されていたにも関わらず、学会を主導される方々は、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤を導入して以来、こうした「MBT療法」をまったく無視され、辛い頭痛がトリプタン製剤によって緩和されたことだけを自画自賛され、逆に、3割前後の方々を慢性化させ、頭痛地獄へと導いてこられました。
 にもかかわらず、学会を主導される方々は、「国際頭痛分類 第3版β版」を金科玉条のものとされ、片頭痛をミトコンドリアの機能障害による頭痛であるとは、一切考えることはありません。このため、トリプタン製剤によって辛い頭痛そのものは緩和されましたが、幾度も幾度も頭痛発作が繰り返され根本的に治ることはありません。
 このため、「イミグラン錠・副作用なして偏頭痛を治しちゃえ」の開設者の小橋雄太さんに、「治せぬ医者に用はない」「まだヤブ医者にかかってるの?」「医者さえそんなにあてにならないくらいだし」等々とあからさまに批判される始末です。


 先程述べたように、現在の研究では、活性酸素は全疾患の90 %以上に何らかの形で関っていると言われているとされ、さらに片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛であるという考え方が存在するにも関わらず、学会を主導される方々は、このようには一切考えることはありません。
 片頭痛が原因不明であることは理解できますが、MBT療法のような改善率9割という治療法が存在するにも関わらず、一切歯牙にもかけないことは何を意味しているのでしょうか?

 その根底には、昨日も述べたように「製薬メーカーの利益を優先する」ためなのでしょうか。少なくとも、慢性頭痛患者さんの”安寧”を目的としたものではないようです。
 認知症の世界では、根治療法がない時点においてさえ、予防という観点から、いろいろな試みがなされているにもかかわらず、片頭痛の世界では、どうしてこのような対応の仕方をされないのでしょうか?

 私達は、この点を真剣に考えていく必要があります。


 学会が、このような考えであることから、片頭痛患者の医療機関への受診率は相変わらず低いようで、Sakai, Igarashiの調査によると、片頭痛患者の医療機関の受診率は、定期的に受診している2.7%、ときどき通院する12.3%、過去に通院したことがある15.6%。これらを足しても、片頭痛で受診したことがあるのは30.6%で、69.4%は一度も医療機関を受診したことがないことが1997年のトリプタン導入以前に示されていましたが、トリプタン導入後どのように改善されたのでしょうか???

 このような調査はトリプタン製剤導入後、全国規模でされることは一切ありません。


 学会が、体の歪み(ストレートネック)を無視していることから、多くの片頭痛患者さんはカイロプラクター・整体師・鍼灸師の施術を求めて受診されます。そして、多くの方々が、片頭痛を改善されてこられた事実が存在します。
 また、ムチウチに遭遇された方々の大半は、頭痛外来を受診することなく、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の施術を求めて受診されます。にも関わらず、このような現実・実態を把握することなく、ムチウチが片頭痛の慢性化の要因にならないといった馬鹿げたデータを出すことによって”得意げ”にされる専門医もいることに驚かされます。


 また、巷のネット上では、自分の片頭痛を改善させた体験から作成された「片頭痛改善マニュアル」が多数販売され、これらを実践された方々の喜びの声が掲載されています。
 さらに、これとは別に個人的に創意工夫をされ、片頭痛を克服されています。


 このようにしてみますと、学会の提唱される「薬物療法」というのは、このような片頭痛治療の一つの”手段”と考えるべきなのかもしれません。それも、片頭痛発作時の痛みをとるための謂わばレスキュウー的な意味合い、として考慮する価値しかないとするのが、現段階では最も”適切な”利用方法ではないのでしょうか?


 このように、片頭痛を取り巻く”治療方法”は、学会の提唱される「薬物療法」を中心とした考え方を”反面教師”として、カイロプラクター・整体師・鍼灸師、片頭痛改善マニュアルの考案者の方々、さらに個人的に片頭痛を克服された方々、それぞれの考え方を統合・総括したものとして、今後、片頭痛治療の治療体系を構築していくべきと思われます。
 それも、慢性頭痛患者さんの”安寧”を目的とするものでなくてはならないということです。決して、トリプタン製剤の製薬メーカーの利益追求のためでは、あってはならないということです。このことを肝に銘ずるべきと考えております。


 この目的のためには、「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛研究の絶対的基準としてはならない、ということです。この基準は、「頭痛の分類」としての価値しかないからです。
 ただ、診断だけは、厳密に下すことは必須のことであることから、この場面では「国際頭痛分類 第3版β版」を活用するということだけです。


 このような考え方で、今回の「片頭痛のセルフケア」は作成させて頂きました。


 今後は、さらに内容を充実させていくことが必要であり、最終的には、生活習慣病の代表格とされる糖尿病の治療指針である「糖尿病治療のてびき」「食品交換表」に引けを取らないような治療指針が必要とされます。
 今回は、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生のご指導のもとに、私独自で作成したことから、後藤日出夫先生の意に沿わない部分が多々みられたことが反省させられます。
 これは、私のような一介の開業医の限界ともいうべきものと思っております。頁数の制限もあり、今回のものは極めて荒削りのものでしかなく、残念な限りです。
 頁数に余裕があれば、原文のまま出版したかったのではありますが、現時点で思うことは二冊に分けるべきであったかもしれません。


 今後、私のようなズブの素人の一般開業医の立場からではなく、片頭痛界の名医とされる先生方と後藤日出夫先生との共著の形で、医師向けで、こうした「片頭痛の治療指針」が作成されることを期待しております。
 といいますのは、「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の絶対的な基準とされるような医師集団には、なにも期待はできないからです。