片頭痛は全身的な”ミトコンドリアの機能障害”による疾患です。
ミトコンドリアは、細胞のエネルギーを産生する「発電所」の働きをしています。
片頭痛では、ミトコンドリアの”酸化燐酸化の障害”があり、ミトコンドリアの働きの悪さにマグネシウム不足が加わって、”脳過敏”を強めて片頭痛発作を発現させます。
ミトコンドリアの働きの悪さを是正すれば、片頭痛にならないということになります。
片頭痛は遺伝するの???
片頭痛は、あたかも「遺伝」しているような「印象」はあります。しかし、その大半の遺伝の様式は、メンデル型の”単一遺伝子異常”の優性遺伝でなく、”多因子遺伝”の様式で、親や祖父母から受け継がれます。この”多因子遺伝”とは、複数(3つ以上)の関連遺伝子をもとに、これに環境因子が加わって病気が発症してくるものを言います。ということは、”遺伝的素因”が存在しても、これに”環境因子”が加わらないと、片頭痛は発症しないということです。これにはミトコンドリアDNAが関与しています。
”遺伝素因”が同一であるはずの一卵性双生児の場合でも、必ずしも2人とも片頭痛を発症することはありません。あなたの兄弟姉妹がすべて片頭痛を発症しているのでしょうか。
片頭痛の大半は、その遺伝素因である「ミトコンドリア働きの悪さ」に、”環境因子”として、食生活が原因で「さらに、ミトコンドリア機能の低下」を来して「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質)を形成することにより引き起こされる生活習慣病と考えられています。これに、さらに片頭痛の”環境因子”として「ミトコンドリアを弱らせる”環境因子”」「脳内セロトニンを低下させる”環境因子”」「体の歪み(ストレートネック)を引き起こす”環境因子”」の3つがあります。これらの”環境因子”の関わり方は患者さんそれぞれ異なっています。
言い換えますと、片頭痛という頭痛は、皆さんのこれまでの生活習慣とくに食生活・姿等の問題が原因となり、いわば、あなたの”生きざま”すべてが関与して起きてくるものです。これらは、いずれも日常生活を送る上で、”何気なく無意識に”行ってきた「食事・姿勢・体の使い方」が原因となっていることを意味しています。これが片頭痛が、あたかも”遺伝的疾患”であると誤解された理由でもあります。
片頭痛とは、どんな頭痛?
先程も述べましたが、片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛です。
ミトコンドリアの働きが悪ければ、当然のこととして同時に「セロトニン神経系の機能低下」が引き起こされ、これに生活習慣の問題点が加わることによって「脳内セロトニンの低下」がもたらされることになります。そして、この「ミトコンドリアの機能障害」と「脳内セロトニンの低下」の2つが重なることによって「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こされやすくなります。
私達は、日常生活を送る場面では、日常的に「前屈みの姿勢」を強いられており、このため、当然のこととして、「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしてきます。
この日常的な「前屈みの姿勢」は緊張型頭痛の原因となり「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることによって緊張型頭痛が増強してくることになります。そして、これに「脳過敏」の要因が追加され、片頭痛へと移行する際の原因になってきます。
そして、この「ミトコンドリアの機能障害」と「脳内セロトニンの低下」と「体の歪み(ストレートネック)」3つの要因が「脳過敏」を引き起こす原因となっています。
これらが片頭痛の基本病態となっています。
”脳過敏”を引き起こす要因
1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
2.脳内セロトニンの低下
3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
これら、「ミトコンドリアの機能」と「脳内セロトニンの量」と「体の歪み(ストレートネック)」の3つは、生活習慣の問題点によって影響を受けています。
このように様々な要因が加わることによって、「脳過敏」が増強されることから、片頭痛が発症してくることになります。ミトコンドリアの働きを悪くさせ、脳内セロトニンを低下させ、「体の歪み(ストレートネック)」の生活習慣は以下のようなものがあります。
1.ミトコンドリアの働きを悪化させる要因
ミトコンドリアの働きを悪化させる要因としては、
1.睡眠不足
2.マグネシウムの不足
3.有害物質・・活性酸素の問題
4.薬剤による影響
2.「脳内セロトニンを低下」させる要因
以下のような生活習慣があります。
日光を浴びることが少ない、朝は出かける直前まで寝ている、昼夜逆転生活になっている、固いものをあまり食べない、階段を使わずエレベーターやエスカレーターを使う、30分以上続けて歩くことができない、運動不足である、デスクワークが多い、朝食をとらない、ごはんやパンなどの炭水化物をあまり食べない、魚より肉をよく食べる、ダイエットのため食事制限をしている
ストレスによる影響
疲れなどで、体に乳酸が溜まったとき
基礎代謝が低いことや、生活のリズムが乱れ自律神経が乱れること
生理周期との関連
食事はバランスが大事で、偏食は「脳内セロトニン低下」の原因になります
運動不足
3.体の歪み(ストレートネック)の要因は
1.”前かがみ””うつむき”が元凶
2.車の追突事故をはじめとした交通事故・・ムチウチ
3.ミトコンドリアの働きの悪さ
4.脳内セロトニンの低下
5.歯の噛み合わせの悪さ
6.外反母趾、指上げ足(浮足)、扁平足など足裏の異常
このように片頭痛の病態を形成しているものは、ミトコンドリアの働きの悪さ、脳内セロトニンの低下、体の歪み(ストレートネック)の3つが主なもので、この3つが「脳過敏」の原因となり、これらは先述のようにさまざまな生活習慣によって影響を受けています。
活性酸素の問題
ミトコンドリアは細胞のなかにある小さな器官で、糖と酸素を利用してエネルギーをつくり出す、いわばエンジンのような役割を果たしています。ところが、このミトコンドリアは、エネルギーを出すとき、同時に排気ガスのような「活性酸素」を発生させます。自動車に例えるとわかりやすいと思います。ガソリンを使ってエンジンを動かしたら、排気ガスが出ます。同じように、ミトコンドリアも、エネルギーを作り出したら、排気ガスと同じようなものが出てしまうのです。それが、活性酸素です。
例えば、360ccの軽自動車をブンブンふかしていたのではダメで、エンジンを大きくして(=ミトコンドリアを増やして)少ないガソリンで効率よくエネルギーを出し、排気ガス(活性酸素)の少ない良質なエンジンを積んでおくことが重要になってきます。生活環境の影響や年齢を重ねると、このミトコンドリアの数が減少していき、さらにミトコンドリアの働きも低下していきます。ガソリンばかり食ってあまりエネルギーが出ないような質の悪いエンジンになってしまうわけです。
ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。
身の回りの活性酸素を生み出す要因
活性酸素は、「呼吸をする」、「食事をとる」、「運動をする」など、ごく普通の生活をしているときにも発生します。酸素を取り込み、エネルギーを作る過程で必ず発生するからです。そのほか、白血球が細菌を殺傷するとき、生理活性物質が作られるとき、有害物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、抗がん剤、アルコール、タバコ、大気汚染物質、医薬品など)を解毒するとき、止まっていた血液が再び流れ出すとき(再濯流)、紫外線や電磁波(レントゲンなど)を受けたとき、強い精神的ストレスを受けたときなど、さまざまな要因により発生します。
もちろん活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
そのため、私達の体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”抗酸化作用(抗酸化力)”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。
このため、平素から活性酸素を消去する抗酸化食品を積極的に摂取する必要があります。
「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こしてしまう状態のことをいいます。
このように、片頭痛は、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、”環境因子”として、生活習慣(特に食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより、引き起こされる疾患(頭痛)と考えられています。
「酸化ストレス・炎症体質」は長い間の生活習慣などにより起こり、特効薬を飲んだからといって直ぐに治るようなものではありませんし、また特効薬などはありません。
「酸化ストレス・炎症体質」を改善するためには
「酸化ストレス・炎症体質」を改善するためには、その根底にある次のような問題を解決する必要があります。
1)毎日の食事とともに摂取される有害物質をとらない
2)乱れた腸内環境を整える
3)解毒(デトックス)および解毒代謝能力を向上させる
4)生理活性物質(エイコサノイド)のバランスの乱れを正す
5)インスリンノ過剰分泌を抑える
これらの根本的原因を解決しない限り「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質ともいいます)を改善することはできません。
生活環境により、さらに毎日食事とともに摂取される有害物質、さらに食事の摂取のしかたから、腸内環境が乱され、さらに有害物質が体内に蓄積することにより「酸化ストレス・炎症体質」が作られてくることになります。このため、腸内環境を整え、デトックスを日々意識して行っていく必要があります。
この部分を解決しないことには、片頭痛を根本的になくしてしまうことは不可能です。
片頭痛における痛みの発生機序
「片頭痛体質(酸化ストレス・炎症体質)」を基盤として、”ちょっとしたこと”で(ストレスなど何らかの理由で)「活性酸素」や「遊離脂肪酸」が過剰に発生することによって、血小板が凝集することによって、血小板から血管外へセロトニン(生理活性物質としてのセロトニンです)が放出され、血管を収縮させます。その後、役割を果たしたセロトニンは減少しやがては枯渇し、今度は逆に血管を拡張させます。
血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きます。 さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が放出され、血管を刺激して痛みが出てきます。この二つによって、片頭痛が起きてきます。
片頭痛の引き金となる活性酸素
健常人では問題となることのない血流の変化であっても、片頭痛持ちの人は元来ミトコンドリアの働きが悪く、わずかな血流の増加であっても活性酸素を発生しやすい状態になっています。
同じようなことは、運動をすることや飲酒、入浴などによって急に血行が良くなる場合や、早朝の自律神経の切り換えにともなう血流の変化やホルモンの分泌量の変化にともなう僅かな血流の変化も片頭痛持ちの人では活性酸素の発生の要因となってしまいます。
低気圧や人ごみ(酸素濃度のわずかな低下)や季節の変化(寒暖にともなう血流の変化)もミトコンドリアの働きの悪い片頭痛持ちの人ではミトコンドリアの代謝機能の低下と、それに引き続きおきる血流の回復により過剰の活性酸素が発生してしまうことになります。
また、小麦などに含まれるタンパク質の成分であるグルテンに過敏な人では免疫系のマクロファージ(白血球の一種)がグルテンを異物として排除するときにも多くの活性酸素を発生することになり、片頭痛の発作の原因となります。
風邪を引いた場合にも同様に風邪ウイルスに対する免疫系からの過剰な活性酸素が発生し片頭痛の引き金となることもあります。
なお、風邪ウイルスは直接的に筋肉細胞や血管細胞を攻撃し、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質をも発生させます。
このようにして、ストレスや運動、飲酒、入浴、風邪などの要因が活性酸素を発生させ片頭痛を引き起こしていくことになります。
しかし、このような片頭痛発症要因にさらされる片頭痛持ちの人であっても、仮に「ミトコンドリアの働きの悪さ」を改善し、「酸化ストレス・炎症体質」を改善すれば活性酸素も異常に発生することはなくなりますので、片頭痛の発症へとは進まないということになります。
いわゆる、片頭痛持ちの人は常に活性酸素が発生しやすく炎症を起こしやすい体質「酸化ストレス・炎症体質」であることと、細胞の活力を支配する「ミトコンドリアの働きの悪さ」に問題があります。
活性酸素が発生しやすい「酸化ストレス・炎症体質」に加え「ミトコンドリアの働きの悪さ」が重なれば非常にわずかな刺激であっても活性酸素が過剰に発生されてしまうのです。
片頭痛に女性間の家族性が高いのはこの「ミトコンドリアの働きの悪さ」が母性遺伝することも一因であるといえます。これには、ミトコンドリアDNAが関与しています。
しかし、「酸化ストレス・炎症体質」や「ミトコンドリアの働きの悪さ」については日々の食生活のあり方などにより誘発されるもので、それらを改善することにより片頭痛は発症しなくなります。
また、「酸化ストレス・炎症体質」では体内で過酸化脂質が生成されやすく、過酸化脂質も活性酸素を過剰に発生させる原因物質となります。
ただし、過酸化物質については実際に体内で脂質が酸化され生成されること以上に加工食品などの過酸化脂質をすでに含む食品を摂ることの方が現実の問題としては大きいように思われます。
遊離脂肪酸はどのようにして生じる?
精神的なストレスによりアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)は上がり、体脂肪も分解され始めるため体脂肪からの遊離脂肪酸が生成されるようになります。
本来、これらの体の変化は獣(外敵)などに襲われた時に人間が外敵と戦ったり逃げたりする時にエネルギー不足を起こさないための緊急的体勢の備えとして身に付いたものと考えられます。
通常、体脂肪のエネルギーへの利用は空腹時(食事を摂らない時)にエネルギーの不足分を補うために生じ、生成した遊離脂肪酸は直ちに体に必要なエネルギーとして使用されます。
しかし、エネルギーとして必要性がほとんどなく、単に精神的なストレスだけによる緊張のためだけに生成した遊離脂肪酸は血中の遊離脂肪酸濃度を高めるだけの結果となります。ストレスから開放されると消費されるあてのない遊離脂肪酸は一時的に血中の濃度を高めるだけの結果となってしまうのです。
その結果、血小板に直接作用して血小板の凝集を促進することや脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させるなどの現象を引き起こすと考えられます。
このため、ストレスを受けている時に発症するのではなくストレスから開放された時に片頭痛を発症しやすくなるのです。
また、植物油(リノール酸)の摂りすぎやトランス脂肪酸を摂ると、体内での脂質代謝が遅延することになりますので、血液中の遊離脂肪酸濃度をいつも高い状態にしてしまうことになります。
このように、血液中の遊離脂肪酸濃度が常に高い状態であれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても血小板の凝集や活性酸素の発生が起こり易くなると考えられます。
一方、糖飲料などを飲みすぎにより急激に血糖値が上がりすぎますと、血糖の急激な上昇を抑制するためにインスリンが過剰に分泌されることになります。
過剰に分泌されたインスリンは血糖を下げすぎることになります。
血糖値が下がりすぎると、血糖を適正なレベルに戻そうとするからだの仕組みが働き、体脂肪から遊離脂肪酸がエネルギー源として放出されるようになります。
体脂肪からブドウ糖などエネルギー源としての生成とその消費がバランスしていれば問題を生じることはありませんが、急激な血糖値の変化にそのバランスが崩れてしまうと血液中の遊離脂肪酸濃度を高めることになります。
特に片頭痛持ちの人はミトコンドリアの活性が低く(冷え性や低体温症など)、ブドウ糖の生成とその消費のバランスは乱れやすい傾向にあります。
糖飲料の摂りすぎ以外にも、過激な運動や絶食(長い間の空腹)なども糖への代謝とその消費のバランスを乱しますので血液中の遊離脂肪酸の濃度を高めることになります。
このようにして放出された遊離脂肪酸が血小板に直接作用して血小板の凝集を引き起こすことにより、片頭痛を発症すると考えられます。
または、遊離脂肪酸が脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させ、その活性酸素が三叉神経や脳細胞を傷つけることにより片頭痛を発症させると考えることもできます。
脂質のとり過ぎが活性酸素の発生原因に!
ところで、「酸化ストレス’炎症体質」の人は、体内で過酸化脂質が生成されやすく、これが活性酸素を過剰に発生させる原因物質となっています。
過酸化脂質というのは、コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化されてできたものです。これらは体内で作られるのですが、それ以上に、そもそも過酸化脂質を多く含む加工食品などを過剰にとる食習慣のほうに問題があると考えられます。
ポテトチップスなどのスナック菓子、インスタントラーメン、ピーナッツ、マヨネーズ、マクロの缶詰(缶を開けたあと)、黒くなった古い油分には注意が必要です。また、新しいものでもチキンフライなどの揚げ物を電子レンジで加熱すると、とがった部分や角の部分が過酸化されることがあります。
精神的なストレスを受けてアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を高めるために体脂肪が分解されます。このとき、体脂肪から遊離脂肪酸が生成され、血液中に溶け出して全身に送られます。
通常、体脂肪は空腹時のエネルギー不足を補うために分解されます。ところが、精神的なストレスからアドレナリンが分泌されて遊離脂肪酸が生成されると、エネルギーとして消費されることがほとんどありませんので、その後ストレスから解放されると、血中の遊離脂肪酸濃度だけが高くなった状態になってしまうのです。この遊離脂肪酸は、血小板の凝集を促進したり脳血管壁を傷つけたりしますから、これが活性酸素を発生させる原因となってしまいます。
遊離脂肪酸には細胞毒性(細胞を傷つける性質)が強いという特徴があります。通常は血液中のアルブミンというタンパク質成分と結合して毒性が弱められた状態で存在しているのですが、遊離脂肪酸が毒性を発揮して細胞を傷つけるということは、アルブミンとの結合可能な限界量(間値)を超えてしまっているということです。
このような状態を招く原因は、間違った日々の食習慣なのです。特に、植物油(リノール酸)やトランス脂肪酸を多くとり過ぎると、体内での脂質代謝が充分に行われず、血液中の遊離脂肪酸濃度が高い状態になることがわかっています。
このような状態になれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても、片頭痛の引き金となる脳血管内の血小板凝集が起きてしまいます。
以上、片頭痛を起こさないためには、日頃の生活習慣とくに食生活が極めて重要になっていることがお分かり頂けたと思います。
皆さんの片頭痛がなぜ、これまで改善できなかったかが理解されたはずです。
現在の頭痛専門医の行う「頭痛外来」では、せいぜい「マグネシウムとビタミンB2」の補充を指導された程度でしょう。このような指導ではダメなのです。
片頭痛治療上、「食生活」が最も重要な役割を果たしています。このように重要なものでありながら、日本の最先端とされる頭痛診療施設とされるところでは「栄養部門」が存在しないことからみても、日本の頭痛診療を主導される方々の考えていることが推測されるはずです。
このような施設を見習うことなく、慢性頭痛とくに片頭痛という頭痛は理論的に考えるべき頭痛であることを如実に示しているといえます。
統計学的手法から作られたエビデンスのみを云々する時代は、過ぎ去ったと考えるべきで、新たな理論的考察を基にして構築された「臨床頭痛学」の時代に突入したと考えるべきです。これまでのあり方が、日本の臨床頭痛学の低迷を象徴しているはずです。