これからの頭痛医療のあり方 その4 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

専門家とド素人の考え方の相違


 ブログの性質上、最新の記事がトップ・ページにくることから、初めての読者のためにこれまでの繰り返しですが、改めて専門家とド素人の考え方の相違を整理します。


頭痛の専門家は・・・


 頭痛の専門家は、片頭痛という病気を、片頭痛が、単一遺伝子から生じるものがあることから、すべて単一遺伝子による”遺伝的疾患”であるかのごとく考え、原因不明の”不思議な・神秘的な頭痛”とされ、一生、お付き合いすべきとされ、高価なトリプタン製剤と予防薬の併用を行う「薬物療法」を適切に行うべきとされます。
 このような頭痛専門家の考え方の基本は、国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類第3版 β版」にあり、この国際分類とエビデンスに基づいて「慢性頭痛診療のガイドライン」を日本独自で作成されておられ、これがすべての頭痛診療の治療指針となっています。
 こうしたことから現在の「頭痛外来」を担当される専門家の考えの基本は、「国際頭痛分類 第3版β版」はロードマップであり、「慢性頭痛の診療ガイドライン」は道先案内人とされ、いずれも必携の資料とされます。これに頭痛ダイアリーが必要とされます。
 この「国際頭痛分類 第3版β版」は、”360種類以上もある頭痛”を分類したものであり、皆さんが頭痛を訴えて医療機関を受診されますと、この国際分類に従って、頭痛診断が行われることから、場合によっては、一人の患者さんが”4つも5つも頭痛”を持つことも当然あります。具体的に説明しますと、この分類では、片頭痛が、「前兆のあるもの」と「前兆のないもの」に分類されていますが、現実には同一の患者さんが、ある時は前兆を伴い、また別の発作時には前兆を伴わないこともあります。さらに、緊張型頭痛と片頭痛が明確に区別・定義されていますが、片頭痛の患者さんでも、発作初期には緊張型頭痛のような軽い頭痛で始まり、次第に増悪してきてあたかも片頭痛へと移行していくような発作を示すこともあります。このように1回の頭痛発作のなかでも、緊張型頭痛→片頭痛へと移っていく場面があるということを意味しています。軽い場合は緊張型頭痛の状態で終わってしまうということもあり得るということです。
 結局のところ、この「国際頭痛分類第3版 β版」の真の目的とすることは、片頭痛を明確に定義することによって”片頭痛と間違いなく診断”して、この片頭痛に対して”トリプタン製剤を処方する”ためのものです。ここにこの分類の本来の目的があります。
 このような分類に基づいて診断をしていることから、慢性頭痛のなかには複雑化して錯綜したものとなって、諸種の頭痛が混在する場面もみられることから、こうした錯綜とした頭痛を診断する目的で、「頭痛ダイアリー」が利用され、頭痛の謎解きをされます。
 そして多忙を極める「頭痛外来」の頭痛診療を行う現場では、問診表が利用され、患者さんが”現在最も困っている頭痛”に焦点を絞って、ということは”片頭痛を見逃さないような”問診の形態”がとられることになっています。こうしたことから、医療機関を受診する以前に経験された極く軽度の緊張型頭痛があったとしても、全く問題にされることはなく無視されているということを意味しています。このため、緊張型頭痛と片頭痛は全く別の頭痛であり、緊張型頭痛と片頭痛は厳然と区別されなくてはならないとされています。しかし、現実には、先程も述べましたように、発作初期には緊張型頭痛のような軽い頭痛で始まり、次第に増悪してきてあたかも片頭痛へと移行していくような発作を示すことも日常茶飯事にみられることは皆さんも経験されることです。

 そして、この「国際頭痛分類第3版 β版」は、国際頭痛分類はその起源を辿れば、国際頭痛学会が作成されたとされてはいますが、現在、片頭痛治療の主流となっているトリプタン製剤が1980年代に開発された段階で、これを実際の患者さんに使う場合に、当然、臨床治験といって”果たして有効な薬剤かどうか”のテスト(試験)を行う必要があります。このために作られたのが「国際頭痛分類 初版」です。これを作成したのが欧米のトリプタン製薬メーカーとトリプタン御用学者と称される方々です。こうした”果たして有効な薬剤かどうか”のテスト(試験)を行う場面で、”明らかな片頭痛”だけでテストする必要がありました(こうしたことから、同じ、片頭痛でも複雑化した片頭痛は片頭痛でないような基準になってしまいました)。このような基準でテストが行われたことから、当然のごとく、トリプタン製剤が片頭痛に有効とのエビデンスが確立されました。このようにして、欧米では日本に先立つって10年前の19991年から臨床応用され、極めてトリプタン製剤が片頭痛に有効であったことから、頻繁に服用される方々がみられるようになり、その結果トリプタン乱用による薬剤乱用頭痛が多発したことから、2004年に、この国際頭痛分類は、「国際頭痛分類 第2版」へと改訂されました。日本では2000年に初めてトリプタン製剤が認可されるようになり、学会を主導される方々は、トリプタン製剤の販売促進を目的として、この「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲する形で、「慢性頭痛の診療ガイドライン」が作成されることになりました。「国際頭痛分類 第2版」を作成したのが欧米のトリプタン製薬メーカーとトリプタン御用学者と称される方々であったことから、当然のごとくトリプタン製剤が片頭痛治療の第一選択薬とされることになりました。この「慢性頭痛の診療ガイドライン」は作成されると同時に、日本全国津々浦々の医療機関にトリプタン製薬メーカーから配布される程徹底したものでした。
 そして、学会および患者団体が一致団結してトリプタン製剤の宣伝を行ってきました。 それまで、頭痛患者さんは当時からCTが普及するようになっていたことから脳神経外科を受診され、片頭痛と診断しても単なる鎮痛薬を処方されていたことから、このような脳神経外科への宣伝活動が活発に行われていました。当時は、現役のバリバリの脳神経外科医に対して、リタイヤ・現役から離脱したメスを捨てた脳神経外科医が脳神経外科関係の学術総会で講釈をたれるといった茶番劇が多くみられた程、異常な時代でした。
 このようにして、片頭痛医療の世界はトリプタン製剤一色となってしまいました。それまでの有効とされていたセデスG、カフェルゴット、が次々と姿を消していきました。


 これだけで済めばよかったのですが、学会を主導される方々は、「国際頭痛分類 第2版」を単なる”頭痛分類”でしかない診断基準を、頭痛診療および研究の絶対的基準とまでされるまでに至りました。こうしたことから、これに反するものは絶対に認めない姿勢を示されるようになり、これが「国際頭痛分類第3版 β版」に改訂されても同様です。


 その結果、2000年以前には、頭痛と頸椎との関連を重視されていましたが、2004年以降、このような考え方は、尽く否定されることになってしまいました。
 こうしたことから、現在、頭痛専門医は、この「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」の関係については、全くエビデンスなし、とされ、即ち「関係なし」とされております。
現在、頭痛専門医が、この「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」をエビデンスなし、とされる根拠は、2点です。
 その1点は、「体の歪み(ストレートネック)」は、現代では、”日常茶飯事にみられる所見”であり、特別取り立てて論ずることでない、とされます。
 もう1点は、2004年の「国際頭痛分類 第2版」にあります。この改訂以来、それまで頭痛と頸椎の関与を考慮されておられた、寺本純、竹島多賀夫先生以下大半の先生方は、”右へ習え”で、口を揃えてエビデンスなし、とされるようになりました。
 それを証明するものは、第38回の日本頭痛学会総会における、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の御指摘を、まったく無視され現在に至っております。
 このように、現在の頭痛専門医は、「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」をエビデンスなし、とされています。ところが、片頭痛のセルフケアのなかの指導項目として「姿勢を正しくしましょう」という事項が歴然としてあります。これは、「体の歪み(ストレートネック)」に関連した指導項目のはずです。こうした矛盾を矛盾として認識されません。そして、頸椎X線検査上みられるストレートネックの診断基準がありません。
 頭痛と関連のあるストレートネックが、どのようなものかが理解されておらず、すべて”一緒くた”に、混同して考えていることに問題があります。
 そして、「頭痛と関連のあるストレートネック」に対する治療手技がまったくありません。こうしたことから、慢性頭痛の方々の多くが、医療機関を敬遠され、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々の施術を求めて、受診される現実があります。

 さらに、片頭痛の前兆である閃輝暗点と「体の歪み(ストレートネック)」 の関連性がカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々によって指摘されるにも関わらず無視されます。頭痛専門医は、閃輝暗点発作時の血流低下の状態をSPECTもしくはMRIで確認されますが、これは”閃輝暗点発作時”の結末を観察しているに過ぎないと考えるべきもので、あくまでもその引き金となるものは、頸部の異常な筋緊張”「体の歪み(ストレートネック)」”にあるものと考えるのが妥当のようです。
 しかし、頭痛専門医は、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」はエビデンスなし、とされる以上は、このような論点に至ることはあり得ないようです。
 とくに閃輝暗点発作時の血流低下の状態をSPECTもしくはMRIで確認されますが、片頭痛研究をされる先生の中には脳循環異常しか念頭にない思い込みがあるためか全体像が把握できない人もおられるようです。


「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こす根本的な原因は


1.前屈みの姿勢や俯きの姿勢などを長時間続けるような生活習慣
2.「ムチウチなどの外傷」により、首の筋肉組織を痛めたりする


 にあり、これから「体の歪み(ストレートネック)」を来すことにあります。
 当然のこととして、これに「ミトコンドリアの働きの悪さ」と「脳内セロトニンの低下」 が関与してくることは言うまでもありません。
 こうしたことから、「体の歪み(ストレートネック)」をエビデンスなし、とされることによって、慢性頭痛の起点(スタート)を見失うことになり、挙げ句の果ては、「慢性頭痛すべて」が原因不明とされ、何時までも頭痛研究が進展しない理由となっています。


 最近の片頭痛研究領域では,片頭痛の発症機序の考え方に、片頭痛前兆の研究や片頭痛特効薬トリプタンの作用メカニズムなどから、現在では血管の疾患ではなく、大脳の深い部分にある間脳あるいは脳幹と呼ばれる器官の付近に「片頭痛発生器」があると考えられるようになってきています。つまり片頭痛は「中枢神経疾患」であると考えられています。 こうしたことから、中枢神経性の要素を考慮することがすでに近年の研究の主流になってきており,片頭痛の予防の考え方も中枢神経の興奮性(脳過敏)の抑制に変化しつつあり,片頭痛の予防薬の開発目標は、皮質拡延性抑制をいかに抑える薬を見つけるかが鍵になっています。そして、今後の新薬の開発に躍起になっている現状が存在します。
 この中枢神経の興奮性(脳過敏)の抑制を目的として、脳過敏症候群なる説も輩出され、専ら「抗てんかん薬のデパケンで治療する」のが原則とされ、これに従わない医師は「ヤブ医者」呼ばわりされている現状があり、デパケン以外の「抗てんかん薬」の新薬が多数検討されるに至り、さらに片頭痛は進行性疾患とされるに至っております。


 これは、「脳過敏」を来す要因の検討が全く無視されているための当然の結果です。


             ”脳過敏”を引き起こす要因


        1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
        2.脳内セロトニンの低下
        3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続


 脳過敏は、こうした3つの要因を考慮すべきです。


 さらに、慢性頭痛の慢性化の要因は、細かなことはいろいろな面から検討されます。頭痛専門医の方々は、慢性化の要因として薬剤乱用と加齢を挙げています。


 しかし、基本的には以下の5つの観点から、まず大雑把に考えるべきです。


1.体の歪み(ストレートネック)の関与
2.「セロトニン神経系」の関与
3.ミトコンドリアの関与
4.ホメオスターシスの関与
5.生理活性物質の関与 脂肪酸の関係


 こうした5つの要因があることを以前にも述べました。
 トリプタン製剤は効くひとには絶大な効果を発揮します。問題は、苦しい頭痛という痛みだけをトリプタン製剤で取り除いていますと、その根底にある病態は次第に増悪してくることになります。このため、自然と服用回数が増えてくることは避けることができません。このため、必然的に服用回数が増加して最終的には「トリプタン製剤による”薬剤乱用頭痛”」に至ります。
 このようになれば、現時点では”対処が極めて困難な状態”になりかねません。
 頭痛発作回数が多ければ、予防薬の服用が勧められますが、このような「トリプタン製剤による”薬剤乱用頭痛”」によって引き起こされた頭痛回数の増加した状態では、現在の「予防薬」の効果は全くありません。

 このようにして、必然的に2~3割の方々が片頭痛を慢性化させていくことになります。


 以上のように頭痛の専門家は、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入されたことによって片頭痛の病態をすべてトリプタンの作用機序から説明され、治療体系は確立されたと申され、先述のような片頭痛の予防薬の開発目標は、皮質拡延性抑制をいかに抑える薬を見つけるかだけに腐心され、現状把握ができていないように思われます。
 しかし、現状は問題点が山積されていることを忘れてはなりません。


ド素人はこのように・


 皆さんは、片頭痛が、”遺伝する病気”と思い込んで諦めておられないでしょうか。
 片頭痛は、あたかも「遺伝」しているような「印象」はあります。しかし、その遺伝の様式は、メンデル型”の”単一遺伝子異常”の優性遺伝でなく、”多因子遺伝”の様式で、親や祖父母から受け継がれます。この”多因子遺伝”とは、複数(3つ以上)の関連遺伝子をもとに、これに環境因子が加わって病気が発症してくるものを言います。ということは、”遺伝的素因”が存在しても、これに”環境因子”が加わらないことには、片頭痛は発症しないということです。これにはミトコンドリアDNAが関与しています。
 このことは、”遺伝素因”が同一であるはずの一卵性双生児の場合、必ずしも2人とも片頭痛を発症することはありません。あなたの兄弟姉妹がすべて片頭痛を発症しているのでしょうか。もし、そうであれば極めて特殊なケースと考えるべきです。あなたの家族全体の食生活・食習慣に問題があるものと推測されます。
 このような”多因子遺伝”をする病気としては、身近なものとして、生活習慣病であるⅡ型糖尿病があります。Ⅱ型糖尿病は、糖尿病になりやすい素質(遺伝素因)をもっている人に、”環境因子”として、食べ過ぎや運動不足による肥満、アルコール、精神的ストレス、年をとること、その他多種多様の要因が加わって発症します。
 こうしたことから、糖尿病の治療方針として、この環境因子の是正に努めるべく「食事療法」と「運動療法」がまず行われ、これに「薬物療法」が追加されます。


 これに対して、片頭痛の大半は、その遺伝素因である「ミトコンドリア活性の低さ」に、”環境因子”として、食生活が原因で「さらに、ミトコンドリア機能の低下」を来して「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質)を形成することにより引き起こされる生活習慣病と考えられています。
 さらに片頭痛の”環境因子”として「ミトコンドリアを弱らせる”環境因子”」「脳内セロトニンを低下させる”環境因子”」「体の歪み(ストレートネック)を引き起こす”環境因子”」の3つがあります。これらの”環境因子”の関わり方は人それぞれです。このような”環境因子”としてどのようなものがあるかを知ることが片頭痛改善・予防のための必須の項目になります。
 片頭痛という頭痛は、皆さんのこれまでの生活習慣とくに食生活・姿勢等の問題が原因となり、謂わば、あなたの”生き方(ざま)”すべてが関与して起きてくるものです。これらは、いずれも日常生活を送る上で、”何気なく無意識に”行ってきた「食事・姿勢・体の使い方」が原因となっていることを意味しています。このために、あたかも”遺伝的疾患”であると誤解された理由でもあります。


 片頭痛は、私達の体を構成する細胞の中にある”ミトコンドリアの機能障害”による頭痛です。ミトコンドリアは食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出していて、エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
 そして、私達が日中活動している際に常時、活動している神経系統がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
 「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。

 ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「体の歪み(ストレートネック)」引き起こしてきます。
 セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「ストレートネック」を引き起こします。
 このように、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 片頭痛の場合、「ミトコンドリアの働きの悪さ」に「脳内セロトニン低下」が加わることによって、姿勢保持が困難となり、前屈みの姿勢が長期間に渡って持続することによって、容易に体の歪み(ストレートネック)を形成してくることになります。


 慢性頭痛の代表格とされる緊張型頭痛と片頭痛は、一連の連続した頭痛です。


      片頭痛
    big(true)migraine
  連続体

緊張型頭痛          緊張型頭痛
small migraine       (脳内セロトニンの関与)


 人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下方の背骨全体にかかることにより、すぐに下部の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないようにS状の湾曲を呈しています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。S状の湾曲を示すことによって体重の掛かり方を分散させています。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いておれば、後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。これが、専門家が”とるに足らない頭痛”とされる緊張型頭痛です。

 このようにして、日常生活を送る際の”何気ない姿勢(とくに前屈みの姿勢)や動作”などが長期間持続することによって「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることになります。そうなってきますと、さらに、緊張型頭痛が増強されることになり、さらに「体の歪み(ストレートネック)」を基盤として片頭痛になる可能性のある方は、生まれつき「ミトコンドリアの働きの悪い」”遺伝素因”があり、頭痛を訴える度にアスピリンを含んだ鎮痛薬を服用し続けたり、ミトコンドリアをさらに弱らせる抗生物質の服用・マグネシウム不足・有害物質の摂取等々の生活習慣等によって、さらに「ミトコンドリアの働きが悪く」なって来ます。これとは別に“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することになり、これがさらに増強されてきます。こうした「ミトコンドリアの働きの悪さ」があるところに、さらに「マグネシウム」の不足が持続してきますと、「脳過敏」を引き起こしてきます。そして先ほどのストレートネックが持続すれば、頸部の筋肉が絶えず刺激を受けることになり、この刺激は三叉神経核に絶えず送られることによって、さらに「脳過敏」を増強させます。これに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により「脳内セロトニンの低下」の要因が追加されて、「脳過敏」を増強させ、さらに症状を多彩なものとさせます。

 片頭痛も緊張型頭痛も共通して「頸部筋肉群の疲労」を基盤として発症すると考えられます。この根拠として、両頭痛に共通してストレートネックが認められる点です。
 片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)のない場合は、首の筋肉のこりは、大後頭神経に痛みのみ起きることによって、純然たる「緊張型頭痛」を発症します。
 片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)があれば、片頭痛の場合は、「セロトニン神経が働きが悪くなって「痛みの感じやすさ」が存在するところに、首の筋肉のこりの刺激が、大後頭神経から三叉神経に絶えず刺激が送られ続けます。このため、「痛みの感じやすさ」がさらに増強され、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していきます。
 片頭痛の基本的な病態は「脳過敏」(脳がちょっとしたことで反応しやすくなることです)にあるとされます。               

 このように少なくともこうした3つの「脳過敏」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、”緊張型頭痛”から”片頭痛”にまで進展していくことになります。だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。この点に関しては、女性は健常男性より 約52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少する、と言われています。
 女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月経周期でその分泌量は大きく変わります。
 特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質であるセロトニンも急激に減ります。
 その時に頭の中の血管が拡張することで片頭痛が起こると考えられています。
 このエストロゲンが減少するのが排卵日や生理の初日前後です。
 つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすいということなのです。
 
 以上のように、だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。こうした年代に女性の場合は、片頭痛を発症してきます。
 そして、発症当初は、発作の程度も頻度も少ないのですが、これが結婚を契機として出産・育児を経験することになり、これまでの生活習慣は一変します。具体的には、睡眠時間が、育児に際して、十分に確保できなくなることを意味しています。片頭痛の場合、睡眠時間が確保できませんと、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、ひいてはセロトニン不足に繋がってきます。根底にあるストレートネックは経験的に30歳までに改善させませんと、固定化してきます。こうしたことから、概して女性の場合、30歳を超えてきますと、とたんに頭痛の頻度も増え、程度も酷くなってきます。

 このため30~40歳代の苦難の時期を迎えてしまいます。さらに特に女性の場合、さまざまなストレスが加わることにより、「脳内セロトニン」不足が持続することになります。
 こうした時期になると、鎮痛薬やトリプタン製剤の服用も月に10回を超えるようになり、これがさらに「化学的ストレス」となって(見方を変えれば、鎮痛薬やトリプタン製剤も私達の体には異物です。異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。このため発作を起こりやすくします)、益々「脳内セロトニン」低下を倍増させてきます。これに対して抗てんかん薬(特に、デパケンは注意が必要です)を追加されることにより、一時的には発作回数は軽減されることはありますが、長期間連用しますと今度は「ミトコンドリア」を弱らせる結果、さらにトリプタン製剤の服用を減らすことができなくなるといった”泥沼の状態”を引き起こしてきます。まさにエンドレスの状態に至ってしまいます。さらに、更年期を過ぎてきますと、若い頃のように血管の”しなやかさが失われ”反応性も乏しくなり、片頭痛本来の拍動性頭痛でなく、緊張型頭痛のような鈍い頭痛に変化してきます。 これは、ストレートネックがそのまま持続しているためです。そして、頭痛に加えて、イライラ、不眠、めまいなどの不定愁訴が加わってきます。これが、東京女子医科大学脳神経外科の清水俊彦先生が提唱される「脳過敏症候群」そのものであり、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の提唱される「頸性神経筋症候群」に相当します。こうしたことから、うつ状態・めまい・冷え性等々のさまざまな”共存症”を合併することになります。


 男性の場合は、ストレートネックに加えて、食生活の問題から「ミトコンドリアの働き」が悪くなり、これに生活習慣の不規則により、また仕事上のストレスが重なることによって「慢性的な脳内セロトニンの低下」が引き起こされることによって、片頭痛へと発症していきます。


 このように、慢性頭痛発症の根底には、まず、体の歪み(ストレートネック)が存在します。このストレートネックは早い人では子供の頃から既に存在します。遅い場合は、前屈みの姿勢を強いられる作業環境に置かれ続けた場合、後天的にも形成されてくることになります。こうした方々は、片頭痛の発症時期は当然遅くなってきます。30歳以降に発症してくることも多いように思われます。
 また、ムチウチの事故に遭遇しますと、その後、ストレートネックが形成・増悪してきて、このために緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛のいずれの形でも頭痛が引き起こされてきます。しかし、国際分類では、ムチウチ後7日までに出現しませんとムチウチとの関連性は否定されます。しかし、現実には、ムチウチ後、かなり時間が経過してからムチウチと同じ症状が出現してくることは日常茶飯事ですが、この点は、国際分類では極めて曖昧な形になっています。これは、頭痛と頸椎病変に関する取り決めが極めて曖昧なことによります。こういう点から、ムチウチからストレートネックが形成されてくるという松井孝嘉先生の主張を頭痛専門医は全く受け入れることなく、片頭痛の”慢性化の治療不可能な要因”として”頭部外傷・頸部外傷”を挙げています。
 また、群発頭痛の場合、最初は片頭痛のようなパターンをとりながら、ある時期から群発頭痛へ移行したり、片頭痛と群発頭痛との間を行ったり来たりする場合も経験されます。 群発頭痛は「体内時計」の乱れによって起きてくることが従来から指摘されています。体内時計は、ミトコンドリア、セロトニンと関係があります。こうして考えれば、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛の慢性頭痛は、一連のものと考えなくてはなりません。


 このように慢性頭痛の発症には、「体の歪み(ストレートネック)」「ミトコンドリア」「セロトニン」の3つの要因が関与しています。根本原因は、「ミトコンドリアの働きの悪さ」にあり、この3つがお互いに、密接に関与し・影響しあっています。
 この3つが片頭痛の”環境因子”となっていて、これらの関与の仕方の比重は各人・各様であり、どの要因のスペクトラムが色濃く関与しているかの違いと思われます。
 こうした観点から予防・治療の対策を考えなくてはなりません。そして、根底には「酸化ストレス・炎症体質」が潜在的に形成されていることから、このような体質にならないよう配慮するとともに、これを改善しませんと根治には至らないということです。

 このような基盤ともとにして、これまで言われてきたような、誘因(引き金・・トリガー)が加わって、容易に、「片頭痛」発作が引き起こされるものと思われます。
 この際、トリガーとなるものが、どの程度重なるかで、片頭痛発作の程度が決まってきます。


 このように片頭痛という頭痛は決して”不思議で・神秘的な頭痛”でもなんでもありません。極めて極くありふれた日常茶飯事にみられる頭痛であり、遺伝素因を持っておれば、どなたでも不規則な生活習慣を継続される限り、誰でも経験する頭痛であるということを理解しなくてはなりません。


 以上を要約すれば、こうしたことから、基本的な考え方は、学会を主導される方々とは正反対の立場をとっています。それは、以下のようなものです。


 まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
 さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
 片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。
 そして、片頭痛の大半は、”多因子遺伝”です。
 その”環境因子”として、以下の6項目を現段階において”暫定的”に考えております。 今後、新たな知見が出てくれば、さらに追加されることになります。


1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
2.免疫(腸内環境)の関与
3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
4.体の歪み(ストレートネック)の関与
5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
6.ミトコンドリアの関与


 以上のように頭痛の専門家は、片頭痛を単一遺伝子から生じるものがあることから、すべて単一遺伝子による”遺伝的疾患”であるかのごとく考え、これに対してド素人は、片頭痛を”多因子遺伝”と考えることに根本的な相違があります。
 そして、頭痛の専門家は「国際頭痛分類第3版 β版」を頭痛診療および研究の絶対的基準とされます。しかし、ド素人は、こうした基準はあくまでも”頭痛の分類”に過ぎないと考えています。こうしたトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の作成する「国際頭痛分類第3版 β版」を絶対的基準とされることから、トリプタン製剤がすべてとなっている現実を見据える必要があります。ここに本質的な見解の相違があります。
 
 自然科学の世界に”絶対的基準”を持ち込むこと自体が不自然であるはずでありながら、こうした不自然さを理解されない頭痛の専門家の頭の中はどうなっているのでしょうか?


 このような不可解な世界が、頭痛診療および研究の世界と心得なくてはなりません。

 こうした事実を皆さんに知って頂くために、敢えて繰り返しに過ぎませんが、再度述べさせて頂きました。このような不条理の世界です。どのように思われますか????

 片頭痛はあくまでも機能性頭痛であり、相対的なものであり、ここに”絶対的な基準”を持ち込むことによって、片頭痛本来の姿が見失われることになり、トリプタン製薬メーカーの思う壺に陥っていることを反省すべきです。