以上、「その他の一次性頭痛」について述べて参りました。
4.1 一次性咳嗽性頭痛
4.2 一次性運動時頭痛
4.3 性行為に伴う一次性頭痛
4.4 一次性雷鳴頭痛
4.5 寒冷刺激による頭痛
4.5.1 外的寒冷刺激による頭痛
4.5.2 冷たいものの摂取または冷気吸息による頭痛
4.6 頭蓋外からの圧力による頭痛
4.6.1 頭蓋外からの圧迫による頭痛
4.6.2 頭蓋外からの牽引による頭痛
4.7 一次性穿刺様頭痛
4.8 貨幣状頭痛
4.9 睡眠時頭痛
4.10 新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)
このうち、雷鳴頭痛のように二次性頭痛と考えるべきものもあり、さらに「性行為に伴う頭痛」「咳嗽性頭痛」「運動時頭痛」のように二次性頭痛の可能性を念頭において、診るべき頭痛もありますが、これらの”二次性頭痛”が除外されたものは”純然たる慢性頭痛”と考えてもよいようです。
そして、これらは「インドメタシン」が有効なものが多いのも特徴のようです。
こうしたものは、緊張型頭痛や片頭痛のような一次性頭痛にみられるような「以下の基本的な病態」が共通して存在するように思われます。
1.ミトコンドリアの関与
2.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
3.体の歪み(ストレートネック)の関与
4.ホメオスターシスの関与・・ストレス
5.脂肪摂取の問題
しかし、「国際頭痛分類 第3版 β版」といった基準に基づいて”症候論”からのみ、慢性頭痛を論じる限り、その本質に迫ることは困難と思われます。
「睡眠時頭痛」のところでも述べましたが、「脳幹には、痛みを感じるとそれを抑える物質を出す役割があります。しかし市販薬を大量に飲み続けることで痛みが強制的に抑えられ、脳幹が本来の役割を必要ないものと勘違い。その機能に異常が発生したのでした。」
こういった見解を学会を主導される頭痛専門医はされ、決して、「セロトニン神経系」と「脳内セロトニン」の観点から考察はされることはありません。
また、「新規発症持続性連日性頭痛」に関連した「薬剤乱用頭痛」を説明する際に、「痛み止めを多く飲み過ぎると、脳の痛みの調節系は働く必要がなくなり、脳の痛みの番人がさぼってしまいます。ちょっとした痛みにも、さらに痛み止めを飲むことになり、悪循環になります。痛み調節系の機能低下により頭痛が毎日くるようになったと思われます。」とこのような説明に終始され、決して、「セロトニン神経系」と「脳内セロトニン」の観点から考察はされることはありません。
ここが最大の疑問とすべき点です。あくまでも”神経科学の面”から考えるべきです。
先程も述べた「インドメタシン」の作用機序でも述べましたように、これは慢性頭痛の起こり方に関連して、プロスタグランジンがたくさん出来ないような工夫することが頭痛の治療にとって重要であるはずです。
このような「非ステロイド性抗炎症薬NSAID」は”鎮痛薬の基本”とすべきものであるはずです。こういったことから、片頭痛治療の場面において、もし薬が必要とされる場合は、まず、市販の鎮痛薬か「非ステロイド性抗炎症薬NSAID」を使うべきであるはずです。
これで不十分であればエルゴタミン製剤を使うべきです。それでも効果が得られなければトリプタン製剤を使用するようにします。これが国際的な基本的な考え方です。
日本では、なぜ、片頭痛の早期から、発作の都度トリプタン製剤を推奨されるのでしょうか? まったく理解できない点です。トリプタン製薬メーカーの回し者なのでしょうか。
そして、今回取り上げた「その他の一次性頭痛」のなかの多くの頭痛がインドメタシンといった「非ステロイド性抗炎症薬NSAID」が奏功するものがあるということは”片頭痛の初期段階”に位置しているものと考えるべきなのかもしれません。このように「その他の一次性頭痛」と現在されているものの大部分は緊張型頭痛・片頭痛の境界領域にあると考えるべきものではないかとも思われます。
こういったことから、「ミトコンドリア」「脳内セロトニン」「体の歪み(ストレートネック)」「ホメオスターシス」「脂肪摂取の問題」という5つの基本的な病態から論ずるべきと思われます。