私の最大の疑問・・頭痛研究の”深淵なる謎” | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 現在、頭痛研究者は、片頭痛は”遺伝的疾患”として、その関連遺伝子の探索に日夜
を費やされます。しかし、これまで述べて参りましたように、遺伝素因とされる「関連遺伝子」は果たして、確認できるものなのでしょうか?


 生まれつき存在する「ミトコンドリアの働きの悪さ」が存在するところに、いろいろな状況が加わってくることによって「活性酸素」が過剰に産生されることによって、さらにミトコンドリアを傷つけることによって、ミトコンドリアの状態は変化してきます。こうしたことは時々刻々と変化しています。さらに母親から受け継がれた”生まれつき存在する「ミトコンドリアの働きの悪さ」”は各人各様であり、”さまざま”なはずです。
 こうしたものを「遺伝子異常」として、捉えようとしていることを意味しています。
 単純に考えても、このように各人各様であり、さらに状況によって、ミトコンドリアの状態は変化しています。こうしたものを遺伝子異常として捉えることには無理があります。
 
 また、別の観点からみれば、細胞の代謝には、細胞内外に存在するカルシウムやナトリウム、カリウムやマグネシウムといったミネラルイオンが大きくかかわっています。
皆さんは高血圧の治療薬として用いられる「カルシウム措抗薬」というのをご存知でしょうか? 細胞膜にはミネラルイオンが通過できる小さな「穴」があり、透過できるイオンの種類によって、「ナトリウムチャネル」とか「カルシウムチャネル」といった名がつけられています。これを使って必要なミネラルを自在に出入りさせることで細胞内のミネラルイオン濃度の調整をするのです。カルシウム措抗薬にはカルシウムチャネルをふさぐ働きがあり、カルシウムイオンが細胞内へ流入するのを防ぎます。
 ミトコンドリアには、細胞内のカルシウムイオン濃度を適正に調整する作用があります。
 ところが、細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎると、ミトコンドリアの調整機能は破壊されてしまいます。調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまいます。
 このように、ミトコンドリアのエネルギー産生やミトコンドリア自体の生死には細胞内のカルシウムイオン濃度が強くかかわっており、カルシウムイオン濃度は片頭痛の発症に
も非常に大きな原因となります。
このように、細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎて、ミトコンドリアの調整機能は破壊され、調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまうのです。
こういった死滅した状態にある「ミトコンドリア」を捉えて「関連遺伝子」とみなしているのかもしれません。このため、死滅した状態は「ミトコンドリアの働きの悪さの程度」と「細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎた程度」はそれぞれ異なっているということを意味しており、このようにして、カルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎて死滅したミトコンドリアを偶然発見しているのに過ぎないのかも知れません。このように、遺伝子同定の難しさがあるのではないでしょうか?


 このような気の遠くなるような「関連遺伝子」の探索の結果を待つよりは、もっとすべきことがあるはずです。


 それは、大半の片頭痛は”多因子遺伝”であるという考え方が存在します。
 こうしたこれまでの研究業績を根拠として、片頭痛が”多因子遺伝”であり、その”環境因子”として、ミトコンドリアとセロトニンが関与するという下村登規夫先生の論説が存在します。
 そして、このような根拠をもとにMBT療法を提唱され、実績を積まれました。


 一方、Ⅱ型糖尿病も、片頭痛と同様に”多因子遺伝!であり、これまで糖尿病学会は、糖尿病になりやすい素質(遺伝素因)をもっている人に、”環境因子”として、食べ過ぎや運動不足による肥満、アルコール、精神的ストレス、年をとること、その他多種多様の要因が加わって発症することを明らかにされました。我が国の糖尿病患者の95 ~ 97 %がこの糖尿病です。”糖尿病になりやすい素質”は”多因子遺伝”の形式で、受け継がれて、これに”環境因子”が加わり発症します。
 そして、糖尿病学会では、日本頭痛学会にように「関連遺伝子」の探索はされるものの、片頭痛の領域のように、これは全てとは考えていないようで、最近では”活性酸素”の観点から、糖尿病の病態の研究が進められています。
頭痛領域の考え方とは全く異なっております。これが、なぜでしょうか???

 まさに、深淵なる謎というしかありません。


 下村先生は、片頭痛での”環境因子”が、ミトコンドリアおよび脳内セロトニンの関与を指摘され、これに従う限りは、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。このことから容易に「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしてくるはずです。
 これとは別に、ムチウチの後に、ストレートネックを併発してくることは、これまで東京脳神経センターの松井孝嘉先生が指摘されておられ、これまで私も同様に確認してきました。
 どうして、このような推測および事実がありながら、「頭痛とストレートネック」はエビデンスなし、とされておられるのでしょうか?
 しかし、頭痛専門医は、頑として「頭痛とストレートネック」はエビデンスなし、と頭ごなしに否定されます。

 このように、頭痛専門医は、頑として「頭痛とストレートネック」はエビデンスなし、と頭ごなしに否定される根拠は、すべて「国際頭痛分類 第3版 β版」にあるようです。


 本年7月20日に行われた、Headache Master School Japan (HMSJ) -Osaka でも、受講者に、この「国際頭痛分類 第3版 β版」が徹底的に叩き込まれ、いかに頭痛専門医にとって絶対的なものかを思い知らされました。専門医にとっては、「国際頭痛分類 第3版 β版」という”共通の言語”で論議しない限り”学問”とはみなされず、サイエンスではないようです。
 「国際頭痛分類 第3版 β版」は、元を正せば欧米の”トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成したものであり、本来の活用方法は、トリプタン製剤を処方する際の基準にすぎないはずです。これが、日本の頭痛専門医では、いつの間にか「頭痛研究・診療」の絶対的な基準にまでなってしまったことです。


 こうした考え方で、学会を主導される先生方は、(HMSJ) -Osakaでも示されるように、頭痛専門医を量産し、”いまだトリプタン製剤の恩恵に浴していない片頭痛患者が多く存在する”、といった考え方で、今後も啓蒙活動が進められるようです。
 そして、頭痛専門医の方々は、こうした方針に何ら疑うこともなく、客寄せパンダとして”頭痛専門医”の称号さえ得られれば、後はどうでもよいようです。

 なぜ、ここまでになってしまったのか、まさに”深淵なる謎”そのものとしか言いようがないと私は思っております。


 これが、頭痛研究の世界のようで、まさに”深淵なる謎”としか表現できず、暗澹たる気持ちにさせられます。