頭痛専門医は、「国際頭痛分類 第3β版」をもとに「片頭痛」をあくまでも「症状」の上から捉え、個々の現象を”総合して”考えることなく、バラバラであるということです。
この点は、間中信也先生が開設されるホームページ「頭痛大学」に象徴されます。
確かに、膨大な論文が掲載されてはおりますが、これらがお互いどのように関連しているのかという”総括”が全くありません。これをご覧になられる読者の判断にすべて、”おまかせ”されているようです。
これと同じことが、頭痛研究の場でも、存在するようです。例えば、片頭痛の領域においては、「女性の片頭痛」「小児の片頭痛」「片頭痛の発生機序」・・それぞれの分野には、昔から”大家”と称される先生方がおられ、独立した形で全てが説明され、お互いは、それぞれの”独立性”を厳守され、お互いの領域を侵さない方針のようです。
こうしたことから、慢性頭痛全般、片頭痛全般を”総括”される先生はどなたも、これまでいらっしゃいませんでした。この点は、頭痛関連の特集号をご覧頂ければ、一目瞭然です。こうしたことは、統一した研究指針が存在しないことを意味しています。要するところ、一貫性がなく、一本筋が通っていないということになります。
また、頭痛を研究される先生方には、脳神経外科、神経内科医、小児科医、産婦人科医、麻酔科医・・と多岐にわたっています。そして、何故だか、各科の先生方は、脳神経外科医の考えに対しては、特別の感覚を持たれておられるように見受けられます。
慢性頭痛が、「脳のなかには異常のない頭痛」とされながら、旧態依然として、二次性頭痛の”頭痛の発生機序”の観点から説明を試みられます。その代表が、片頭痛は”中枢神経疾患”であるという考えで、これは「片頭痛発生器」の存在を根拠とされます。同様に、「脳過敏症候群」もこのような観点が貫かれているようです。これらの詳細は、”片頭痛は医療機関では治らない”のシリーズで述べたばかりですので、繰り返しません。
こうした考え方は、脳神経外科医が提唱されるが故に、脳外科医以外の大半の先生方は無批判に容認されておられる傾向があるようです。まさに、ベンケーシーの時代感覚が、現在でも受け継がれているというのでしょうか?
そして、トリプタン製剤が販売されて以降、片頭痛研究は、トリプタンの作用機序を中心として行われているようです。これ以外には、全く関心がないようです。
こうした時代において、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生の出現は、青天の霹靂以外何物でもなかったのではないでしょうか?
このような分子化学の立場から論じられる先生は、以前の下村登規夫先生以来ではないでしょうか? 今後、これに対してどのような対応を示されるのか見物です。
このような観点の相違を認識した上で、後藤先生の著書をご覧になられれば、現在の「頭痛専門医」との考えの相違が理解されるのではないでしょうか?
私の観点は、これまでも繰り返しましたが、頭痛専門医の基準とされる「国際頭痛分類」を離れて、現実の「慢性頭痛」の方々の”生涯経過”がどのようになっているのかという観点から、片頭痛という病気がどのようなものかを、考えたものです。
このように3者とも、片頭痛という病気を考える際の”基準”が全く異なるということです。
昨年の学会の「頭痛診療」の均てん化の理念はどこにあったのでしょうか? 外国の理念を徹底させることが、すべてなのでしょうか? まさに”神学”の世界としか、表現できません。学問の世界は、それこそ、泥にまみれた、根気を必要とする世界ではなかったのではないでしょうか? きれいごとだけではないはずです。私には、全く理解不能の世界としか思えません。
この本来の目的は、「ガイドライン」を徹底させるということなのでしょうか?
こうした意味で、頭痛医療の原点をもう一度、振り返る必要があるようです。
そうすれば、その真の目的が理解できるのではないでしょうか。
参考記事
”片頭痛は医療機関では治らない” 第3回 頭痛医療の原点を探る
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2014/01/post_bf2f.html
”片頭痛は医療機関では治らない” 第4回 片頭痛は「中枢神経疾患」である ???
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2014/01/post_dc0b.html
”片頭痛は医療機関では治らない” 番外編 脳過敏症候群
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2014/01/post_2763.html
食事から考える頭痛治療法「MBT」
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/05/mbt_e85d.html
MBT療法(第2弾)
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/05/post_10eb.html