人工呼吸器について・・片頭痛を離れて・・ | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 先日患者さんから相談されました。ご家族が脳梗塞で入院中に急に呼吸が止まり、人工呼吸器を装着されたが、今後回復する可能性を問われました。その返答は、CTの所見を見ないと何ともいえないとお答えせざるを得ませんでした。


 このとき、以前の自分自身が急性期脳梗塞を診ていた時代を思い出した次第です。
 まさに、”笑うに笑えない時代”のこととして、いまだに忘れられません。

 以前から申し上げておりますように、私も”一端(いっぱし)の脳卒中屋”でした。私の診療方針として、まず、脳梗塞で救急で入院された場合、即刻頭部CTを撮影し、所見が見られなければ直ちに脳血管撮影を行い、閉塞部位を確認していました。これにより、内頸動脈起始部、中大脳動脈の基幹部、さらに脳底動脈の閉塞であれば、致死的な経過を辿ることを予測して、これらの所見の説明を行う際に改めて、ご家族から、発症様式(突発的か・緩徐な発症様式か)を確認し、脳血栓症なのか脳塞栓症なのかを厳密に判断します。しかし、このような情報が必ずしも得られるわけではありません。こうした場合、必ず、翌日には再度、頭部CTを取り直して、CT上に出現する「低吸収域」の範囲を確認し、その範囲から、今後、致死的な経過を辿るかどうかを判断していました。このような脳梗塞の場合、脳底動脈の閉塞であればまず助かりませんが、問題は内頸動脈起始部、中大脳動脈の基幹部の閉塞の場合です。こうした閉塞を示され、脳塞栓症の場合、翌日のCT所見から、今後、脳ヘルニアを来して、致死的に至るかどうかを判断していました。それも、致死的となる場合の、呼吸停止に至るまでの日時まで予測しておりました。まず、間違っても1時間前後しか違わないくらいに予測しておりました。こうしたことから、呼吸停止に至った場合、人工呼吸器を装着するかどうかを確認していました。その際、たとえ人工呼吸器を着けたからといって回復する可能性はまったくないことを必ず説明していました。ですから、一度装着してしまえば、心臓が止まるまで延々とこの装着したまま経過をみることになり、途中で外せば「殺人罪」で訴えられることになる旨を説明しておりました。
 ということは、今回、患者さんの相談のようなことにはなりませんでした。

 逆に、今後の経過を説明している段階でも、意識のある患者さんも当然いました。こういった場合、どうして、呼吸停止する日時まで予測できるのに、なぜ救命できないのかと問われるときでした。言われてみれば至極当然のことであり、まさに笑うに笑えない世界であり、時代でした。現在であれば、発症3時間以内であれば、アルテプラーゼといった血栓溶解剤があるのですから、このような場面に遭遇することは少なくなったでしょうが、やはり「発症3時間以内」というゴールデンタイムを過ぎた患者さんも当然おられるわけですから、こうした時間での患者さんへどのように対応されておられるのでしょうか?
 質問された方には、余り、これ以上の説明はしませんでしたが・・


 このような脳梗塞と違って、片頭痛の場合の説明はどうなのでしょうか?


 最近でも、片頭痛の患者さんは、自分で”遺伝的疾患”であり、治らないものと思っておられるようです。先日も、私の母親もお婆ちゃんも皆、死ぬまで片頭痛で苦しんだ。だから治るはずはない、本当に治るのでしょうか、と申されました。私は、現在、片頭痛は遺伝的素因に”環境因子”が加わって発病する病気であって、この”環境因子”をすべてなくしてしまえば、片頭痛は起きなくなります。しかし、また、この”環境因子”が再度、加わればまた起きてきます。糖尿病の場合、食べ過ぎ・運動不足で起きてくる人がいますが、こういった方々は、食べ過ぎを是正し、しっかり運動をしてエネルギーを消費させるようにすれば、元の健康体に戻るが、また 食べ過ぎ・運動不足の生活に戻ってしまえば、糖尿病に逆戻りするのと同じであり、片頭痛の場合も”環境因子”をきちんと毎日是正・管理すれば、発作は起きないと説明し、片頭痛を起きなくするのも起こさせるのも「あなた次第です」と説明しています。
 結局、治すのは、あなた自身であり、「おくすり」をいくら飲んだからといって治るはずはなく、単なる”痛み止め”にすぎません。1錠1,000円もする高価な「痛み止め」を痛いからといって毎回飲まないようにすれば、”蔵が一軒建ちますよ”と説明しています。
 このように説明申し上げれば、必ず、自分で治す努力をされるようです。

 こういったことから、糖尿病治療の際に手渡される「糖尿病治療のてびき」「食品交換表」に準じた「片頭痛治療のてびき」が必要とされ理由があります。こうした生活習慣が身につくまでには”座右の書”とした「治療指針」が必要とされることを痛感しています。