私の論点 その1
先程述べましたように、現在の頭痛学会および学会が認定する頭痛専門医とは全く論点が異なっております。こうした論点が「”公序良俗”に反するもの」とされる点に関して果たして、本当に世間を混乱に陥れる論点かどうか、これからブログの蒸し返しになりますが、明確にさせることが重要と思っております。
それは、学会の考えに従って「頭痛外来」を担当される「頭痛専門医」が、「慢性頭痛でお悩みの方々」に対して患者さんに満足させるような医療が行えてきたのか、というこの1点を私は問題にしております。
確かに「慢性頭痛、片頭痛の本態」は未だ明確にされておりません。
しかし、現時点で得られた先達の業績を基にして、その枠内での「一定の方式」を確立した上で、今後の研究の方向性を決めるべきと思っております。
片頭痛の病態は不明です。しかし、現在得られている知識を基に、現段階において、何をどうすべきかという指針を提示するのが、現時点において「頭痛診療」を預かる医師としての責務と考えております。これに、今後の研究成果を積んでいくだけです。
こうした論点が、現在「片頭痛で苦悩される」方々への「まともな診療のあり方」ではないのでしょうか?
片頭痛が「不思議な・神秘的な頭痛」であるといった「神懸かりの頭痛」として捉えるのではなく、科学的・論理的に自然科学の立場から冷静に判断すべきと考えます。
現在の学会の方法論では、現在「片頭痛で苦悩される」方々は納得されていないはずです。こうした事実をまず認識すべきです。
すべてが解決できるまでは、現状維持というあり方は、どなたに利益をもたらし、どなたに負担をかけるのか、こういったことを考えるのが先決と思っております。
こういったことを、これから、これまでの繰り返しになりますが再度指摘していくことにさせて頂きます。
これは私の論点が、果たして「”公序良俗”に反するもの」かどうかを問い糾すためのものです。
私の論点 その2
再度、繰り返しますが、私の論点を整理しておきます。ブログですので、どなたがどのようにどの論文で述べたものであるかは、述べないことに致します。
どなたの論説かは、「片頭痛の生活習慣の改善」の「引用文献」 に記載してあります。
まず、片頭痛は、”ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であると考えられています。
要するに、片頭痛は全身的な”ミトコンドリアの機能障害”による疾患です。
そして、片頭痛が遺伝に関連したものであることが指摘され、臨床的に、”遺伝素因”が同一であるはずの一卵性双生児の場合、必ずしも2人とも片頭痛を発症することはなく、また、同一の母親から生まれた兄弟姉妹がすべて片頭痛を発症するわけではないことから、遺伝学的には、その遺伝の様式は、メンデル型の遺伝様式でなく、”多因子遺伝”と考えるのが妥当です。(確かに、単一遺伝子から生じるものが存在しますが、すべて単一遺伝子による”遺伝的疾患”であるかのごとく考えてること自体が問題です)
こうした点はこれまで一部の専門医が指摘されて来られました。
このような”多因子遺伝”をする疾患では、遺伝素因が存在しても、これに環境因子が加わらないことには、疾患は発症しないことを意味しています。
このような遺伝形式をとる疾患の代表的なものとして糖尿病があります。
Ⅱ型糖尿病では、糖尿病になりやすい素質(遺伝素因)をもっている人に、”環境因子”として、食べ過ぎや運動不足による肥満、アルコール、精神的ストレス、年をとること、その他多種多様の要因が加わって発症します。
こう考えますと、片頭痛の場合の環境因子が何かということになります。
この片頭痛での環境因子が何かを探る手段として何があるのでしょうか?
従来から、一部の頭痛専門医から、片頭痛治療を行うにあたって”これまでの生活習慣の見直し”が叫ばれて参りました。しかし、具体的にどういった点を改善すべきかは明確にされてきませんでしたが、ごく一部の専門医は「セルフケアー自己管理」という観点から具体的に示されて来られました。これらの「セルフケアー自己管理」として現在明らかにされている項目を詳細に検討すれば、これらは、「ミトコンドリア」「セロトニン」「体の歪み」に関連したものです。
これとは、別に、一部の専門医は、片頭痛の環境因子として「ミトコンドリア」と「セロトニン」を挙げておられ、これをもとに食事療法によって片頭痛の改善方法を提唱されてこられ、実績を積まれて来られました。
こうした点を踏まえて、私は「片頭痛の環境因子」として、「ミトコンドリアを弱らせる”環境因子”」「脳内セロトニンを低下させる”環境因子”」「体の歪み(ストレートネック)を引き起こす”環境因子”」の3つを挙げました。そして、これらの3つの”環境因子”の係わり方・比重は人それぞれです。
とくに「脳内セロトニン」と片頭痛の関与は以下のことから容易に推測されるはずです。 片頭痛発作の時はセロトニンと呼ばれる脳内物質が減少あるいは機能が低下することが知られています。片頭痛発作の時に、セロトニン様作用をもつトリプタン製剤がよく効くのは、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップするためです。
また、片頭痛の共存症としてうつ病、パニック障害、不眠症、冷え性、睡眠時無呼吸症候群、肥満、等々が挙げられますが、これらはいずれもセロトニンに関連したものです。
「脳内セロトニンの低下」により脳が過敏になり、本来は痛くない刺激を痛みと感じるアロディニア(異痛症)が、片頭痛発症後5年くらい経過して出現することがあります。
このように「脳内セロトニン」は「トリプタン製剤」との関連だけでなく、片頭痛そのものと密接な関与をしていることは明白です。
「ミトコンドリア働きが悪い」と、脳の神経細胞の場合、「セロトニン神経」が選択的に「ミトコンドリアの働き」の影響を受けやすく、セロトニンを産生しにくく、セロトニンの合成やその合成のための酵素も充分な量を生成できなくなってしまいます。その結果、「脳内セロトニン不足」が引き起こされてきます。
このように、片頭痛の場合、生まれつき「ミトコンドリアの働き」の悪さが存在します。このためさらに「セロトニン神経」の働きの悪さを引き起こしてくることになります。この両者の働きの悪さのため、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”へ関与し、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与して「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしてくることになります。
脊柱のS状の湾曲が形成される過程で、この両者が関わってくることを意味しています。
こうしたことは、成人に至って、前屈みの姿勢を強制される作業環境に、ミトコンドリアを弱らせる因子・脳内セロトニン低下をもたらす生活習慣(食生活も含め)が重なることによっても引き起こされることを意味しています。
このようにして、ミトコンドリア・脳内セロトニンの問題から、「体の歪み(ストレートネック」が形成されて、これも片頭痛の”環境因子”として関与することになります。
そしてこの「ミトコンドリア」「脳内セロトニン」「体の歪み」の3つの環境因子はお互い密接に関連しあい切っても切れない関係にあります。
いずれにしても、慢性頭痛の起点(スタート)は体の歪み(ストレートネック)にあります。起こり始めは、まず緊張型頭痛から始まり、ここから片頭痛の発症につながっていくものと考えるべきです。
このように、片頭痛の大半は”多因子遺伝”によって起きる”謂わば生活習慣病”と考えるべきです。そうであれば、糖尿病と同様に「予防的観点」から治療が進められるべきです。片頭痛そのものの治療は「薬物療法」と同時に「環境因子」の是正が必要です。
となれば、最初に「頭痛」を自覚・経験した段階・時点から、片頭痛予防対策を念頭に置いた考え方が必要とされるはずです。このようにして、片頭痛そのものを発症させないことが重要と思っています。
「国際頭痛分類」の診断基準に従って「頭痛診断」を行うだけでは、「片頭痛を熟成させている」としか言えないと考えています。そして「薬物療法」だけの治療によって現在どのような結果になっているのかを反省すべき時期にあると思っております。
このように「体の歪み(ストレートネック)」は日常の姿勢・体の使い方の習慣に関連し、「ミトコンドリア」及び「脳内セロトニン」は殆どが食生活に関連したものです。このため”正しい食事のあり方”がどういったものなのかをまず知ることが重要になってきます。例えば、単に、マグネシウム、トリプトファンのみに拘っては問題が生じてきます。
蛇足ではありますが、当ブログにおいて専門医の方々は、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」はまったくエビデンスなしとされます。以上のように考える限り、「体の歪み」は慢性頭痛の起点となっているはずが、これを否定することによって原因不明となってしまいます。この点は頭痛専門医以外の先生にも指摘されてきたはずです。頭痛専門医は、そんなに偉いのでしょうか?もし、そうであれば、これに対する反論を提示すべきではないでしょうか。
私の論点 その3
私が、平成2年に当地で診療を開始した当時は、ここ田辺地区には「神経内科」も「脳神経外科」もありませんでした。このため、頭痛患者さんは当医院をよく受診して頂きましたが、このなかで最も困惑させられた頭痛患者さんは「片頭痛を”一発で”治してくれ」 と「群発頭痛の方には、群発期にアルコール(お酒)を飲んでも、頭痛が起きないようにしてくれ」というものでした。
とくに、トリプタン製剤が使えるようになった段階では、新聞・テレビで「トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”」と大々的に宣伝されたこともあったためか、ますます 「片頭痛を”一発で”治してくれ」という希望のもとに片頭痛患者さんが殺到されました。
このため、こうした方々には「トリプタン製剤といえども、高価な”鎮痛薬”に過ぎない」と説明し、基本的に「正しい生活習慣:食事と規則正しい生活」が最低限必要であると説明しようとも、テレビでは偉い先生が「トリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”」と説明していたと私がごとき説明を聞き入れてもらうことは不可能でした。
さらにしばらく経過した段階では、今度は「いくら”トリプタン製剤を服用しても、片頭痛がいつまでも起きてくるが、本当に”特効薬”なのか」との不満をぶつけられ、さらに飲んでも飲んでも、反って発作回数が増えてくるが、どうしてくれるのか、ということでした。また群発頭痛では、トリプタンの注射薬で”一発で治るといった誤解をされる方々にも閉口させられました。これもマスコミのためです。
もっと、マスコミ報道は、「まともなことを言うべき」と恨めしく思いました。
こうしたことから、「トリプタン製剤が販売」されて以来、片頭痛治療における「生活習慣」の改善の仕方を説明するための冊子の作成を繰り返してきました。
診察時に、このような「生活習慣」の改善の仕方を口でいくら説明しようとも、無駄と判断したためでした。確かに、このような冊子を渡しても、大半の方々はたちまちトリプタン製剤が効けば、ほとんどの方々は目を通されることはありませんでした。
しかし、中にはこの冊子に従って、生活習慣を改善させることによって、発作回数が激減した方のお話を患者さん同士でされることが、少しずつ増え、現在では生活習慣を改善することが日常茶飯事・当たり前になりつつあるようです。
このため、より完璧な「生活習慣改善」のための解説書を目指して、改編に改編に努めてきました。大分”年季”が入ってきたように思っております。
最近思うことですが、「正しい食生活とは何か」ということです。この基準は患者さん各様のような印象をもっています。欧米化した食事が「正しい食事」と思いこんでおられるように思っています。こうした、本来の「正しい食生活とは何か」という考え方が、片頭痛治療と直結しないように思われる傾向があり、この点にも工夫をこらす必要があるように思っています。
このような経験から、「片頭痛での生活習慣の改善のしかた」についての指導書は、片頭痛治療上必要不可欠のものと考えております。
このような指導書が一般化されることを祈るばかりです。
私の論点 その4
前回は、片頭痛治療上の生活習慣の改善の仕方のついての解説書が一般化されるべきと述べました。しかし、現在このようなものは、日本ではありません。なぜなのでしょう。
これまで、1990年代には、ある大学の神経内科の先生が、食生活からの生活習慣の改善策として、以下の5項目を掲げました。
1 マグネシウムの補充
2 セロトニンの改善
3 ミトコンドリアの機能改善
4 フリーラジカルスカベンジャーの増加
5 自律神経の安定
この5つを行うことにより、片頭痛の改善率は9割とされていました。
また、神経内科関連の先生方は、「セルフケアー自己管理」を完璧に行いさえすれば、これも9割の方々は改善に導かれると豪語されます。
さらに、ある先生は「セロトニン生活の励行」を提唱されます。
このように改善率が9割もあるとされるにも関わらず、こうした解説書が一般向けに出されることはまったくありません。
なぜなのでしょうか? 私は、永年頭痛診療を行ってきて、まさに信じられない思いがしております。確かに、多くの片頭痛の一般向けの啓蒙書が出版されてきましたが、いずれもトリプタン製剤の宣伝目的のためとしか思われない記述しかなく、「生活習慣の改善」についての考えが述べられたものは見たことがありません。
私の論点 その5
私が昭和43年に広島大学医学部を卒業した当時は「インターン闘争」の終結した年度でした。インターンが廃止され約1年間、43青医連広島支部を結成し、「医局講座制」廃止を訴え活動し、昭和45年から国家公務員等共済組合連合会・呉共済病院で18年間、急性期脳卒中診療と頭痛診療に明け暮れました。最終的には「神経学」の習得が目的で、日本全国各地を渡り歩きました。 このため出身教室はなく、なんの制約もなく、臨床研究に邁進してきました。
こうした時代的な背景をもとに私の「頭痛学」が開始されました。当時の日本では「頭痛学」の教科書と称されるものは何ひとつなく毎月発刊される「医学雑誌」の頭痛特集であり、現在の日本頭痛学会の前身である「頭痛懇話会」が作成された「頭痛」という単行本でした。
この書籍は、当時から片頭痛治療薬の主流であったカフェルゴットの販売会社のサンド薬品が発行したものでした。このなかに鳥取大学医学部の高橋和郎教授の「頸椎症と頭痛」があり、この頃から「頭痛と頸椎」に注目していました。これ以降は鳥取大学の神経内科の諸先生方の論文には逐一注目し、全て読ませて頂きました。とくに竹島多賀夫、下村登規夫先生の論文はすべて私の「文献ファイル」に大切に保存されています。こうしたことから私の頭痛学は、鳥取大学の神経内科の諸先生方の考え方そのものと言っても過言ではありません。これが、私の論点に全て貫かれております。こうしたことからMBT療法(DASCH diet)には注目しておりました。さらに、片頭痛が「多因子遺伝」という考え方にも興味を持っていました。
しかし、2004 年に「国際頭痛分類第2版」に改訂され、日本頭痛学会が作成された「慢性頭痛診療ガイドライン」には、こうした鳥取大学神経内科のこれまで積み上げられてこられた業績は、たったの2,3行の記述にしかされず、片頭痛が「多因子遺伝」であり、その発症要因として「ミトコンドリア」「セロトニン」の2つが関与するといった考え方は全く採り入れられることはありませんでした。このような事実は何を意味しているのでしょうか?
こうした現実は、日本の頭痛学を主導される方々がいかに従来の「医局講座制」にとらわれ、まさに前時代的な考え方かを如実に示しております。具体的には、日本の頭痛学を主導される方々は”慶応系”の学閥で占められ(今回の”Headache Master School Japan (HMSJ) -Osakaがこの点を如実に示しています)、国立系の医学部とは距離をおき、とくに受験に際しての二期校と称される国立系の医学部は歯牙にもかけない対応を示されます。このようなことは、2005年に学会が作成された「慢性頭痛診療ガイドライン」で明確に示され、それまでの鳥取大学神経内科グループの業績は何一つ取り入れられることはありませんでした。そして「国際頭痛分類第2版」の考え方を無条件で採用された点は、欧米の論文を無作為に”エビデンス”ありとして、優先的に「ガイドライン」に組み込まれました。こういった経緯から、片頭痛が”多因子遺伝”であり、その環境因子として「ミトコンドリア・脳内セロトニン」が関与するといった日本独自の業績は、全く取り入れられることもなく、ましてや”環境因子”が何かという研究は一切なされることはありません。
こういうことから、いまだに「片頭痛は”遺伝的疾患”であり、原因不明の”神秘的な不思議な頭痛である」ということが貫かれています。
そして、各大学の教室には、片頭痛の各研究テーマがそれぞれ存在し、お互いが独自に研究を進めてきましたが、その大半は欧米の論文の二番煎じでしかありません。
こういったことから、日本では「片頭痛とは、どういった頭痛なのか」といった考え方はまったく存在しません。このため片頭痛に関する”総説”はまったくありません。
これまでも多くの頭痛に関する書籍は出版されてきましたが、すべて”分担執筆”が原則であり、”総括した考え方”はまったくないのが現状です。
こうしたことから、頭痛専門医は、「国際頭痛分類第3β版」と「慢性頭痛診療ガイドライン」がすべてであり、これに記載されないものは、すべて”エビデンス”なし、とのことです。こういったことが逆に、頭痛研究を阻害していることをどなたも認識されません。
このような点の典型的なものは「頭痛とストレートネック」に関する考え方でした。
私のOCNのブログ「頭医者のつぶやき」でも再三再四取り上げました。こうしたことは「ミトコンドリア」「セロトニン」の2つの観点から考えれば容易に因果関係が理解されるはずです。しかし、「頭痛専門医」はなぜか、「頭痛とストレートネック」はエビデンスなし、と何ら根拠もなく否定されます。このような馬鹿なことがあってよいものか、といった考えで昨年11月に文芸社から「片頭痛治療の考え方・進め方」を出版し、これを皆さんに問いかけしました。この出版の準備中に、昨年2月に分子化学療法研究所の後藤日出夫先生が「お医者さんにも読ませたい片頭痛の治し方」(健康ジャーナル社)を出版されました。
先生は、医師でなく工学博士の立場から、分子化学的な側面から片頭痛という病気を考察され、これまで「片頭痛が”遺伝的疾患”」とされていることに対して、遺伝ではなく「代謝異常」とされ、まさに「生活習慣病」そのものであると主張されます。
私は、ある時偶然ネット上で「低気圧が来ると自律神経が乱れて片頭痛が起きるという嘘!」(Ph・ドクターG の健康塾)を眼にして、高名な先生とも知らずに無謀にも、これに噛みついた縁で、知り合いになることが出来ました。このことから先生の著書を拝読する機会に恵まれ、これまでの下村登規夫先生のMBT療法(DASCH diet)の記憶がまざまざと思い出されるようになりました。そして故人となられた樋口真秀先生とともに作成した「片頭痛治療の新たな視点」をさらに進化させた形で、後藤日出夫先生にお願いして、昨年は「読んで治す片頭痛」を作成させて頂くことができました。これ以降、推敲に推敲を重ね、今回の「片頭痛の生活習慣の改善」を作成させて頂くことになりました。
この書籍を作成した目的は、現在、頭痛専門医は、片頭痛が”多因子遺伝”という観点から臨床研究を進める方々がおられず、「医局講座制」という大学間の”しがらみ”から重箱の隅をつつくような研究しかされない現状を憂えて、これまでの業績を踏まえた上で、今後の片頭痛の臨床研究のあり方を問うと同時に、現実に片頭痛で悩まれる方々へ”生活習慣の改善”がいかに重要であり、具体的にどのようなことに注意すべきかを述べたものです。
私の論点 その6
片頭痛の大半は、その遺伝素因である「ミトコンドリア活性の低さ」に、”環境因子”として、主に”食生活”が原因で「さらに、ミトコンドリア機能の低下」を来して「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質)を形成することにより引き起こされる生活習慣病です。
その”環境因子”としては、さらに「ミトコンドリアを弱らせる”環境因子”」「脳内セロトニンを低下させる”環境因子”」「体の歪みを引き起こす”環境因子”」の3つが考えられます。
そして、この遺伝素因は、大部分の片頭痛では”多因子遺伝”形式によって、親や祖父母から受け継がれます。ということは、”遺伝的素因”が存在しても、これに”環境因子”が加わらないことには、片頭痛は発症しないということです。
片頭痛治療を行う場合、片頭痛が慢性頭痛のなかで、どのように発症してくるのかを、まず理解する必要があります。これは先日掲載しました「片頭痛の生活習慣の改善」の第4章に詳しく記載致しました。こちらをご覧下さい。
慢性頭痛の起点(スタート)は体の歪み(ストレートネック)にあります。起こり始めは、まず緊張型頭痛から始まることを意味しています。
こういったことから、生まれて初めて経験する「頭痛」は”緊張型頭痛”です。いきなり、激しい頭痛から始まることもありますが、まず例外的と考えるべきです。
いずれにしても、最初に自覚した「頭痛」に対してどのように対処すべきか問題になります。現在、テレビではしきりに「頭痛、生理痛に〇〇」と宣伝されています。
こうした「市販の鎮痛薬」の殆どはアスピリンが含まれています。このような鎮痛薬を服用されれば、いずれ「ミトコンドリアの働き」を悪くさせ、ひいては「セロトニン神経の働き」まで悪化させることになります。そして、前屈みの作業の環境下に置かれ、この両者が重なることによって「体の歪み(ストレートネック)」を来すことによって、さらに緊張型頭痛が増強されてくることになります。これに対して、さらに「市販の鎮痛薬」を繰り返すことによって、この悪循環が繰り返されることになります。
“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンの低下」が引き起こされることになります。これに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により、さらに「脳内セロトニンの低下」が増悪することになり、結果的に「痛みを感じやすく」なってきて、さらに鎮痛薬の服用回数が増加することになります。
その上、ご家族に片頭痛の方がいらっしゃれば、「片頭痛の”遺伝素因”」を有することになり、片頭痛へと発症してくることになります。ここにマグネシウム不足が加われば、さらに片頭痛への移行が早まってくることになります。
このように、慢性頭痛発症には、「ミトコンドリアを弱らせる”環境因子”」「脳内セロトニンを低下させる”環境因子”」「体の歪みを引き起こす”環境因子”」の3つが関与しています。
大雑把にいえば、このような発症様式をたどってきます。このなかで片頭痛がどのように発症してくるのかを、まず理解することが極めて重要になってきます。こうしたことを理解して頂くために、今回「片頭痛の生活習慣の改善」を作成致しました。
ここでも述べていますように、糖尿病と同様に片頭痛も生活習慣病です。ただ、たちまちは、鎮痛目的で「市販の鎮痛薬」もしくはトリプタン製剤を服用せざるを得ませんが、頭痛を初めて自覚した段階で、今後、この頭痛がどのような経過を辿っていくのかを想定して対処すべきです。その考え方を示したものです。
片頭痛は、生活習慣病ですので、治すのは「あなた自身です」。医師ではありません。仮にカリスマ医師といえども治すことは不可能です。このようなカリスマ医師に診てもらえば治るといった幻想は直ちに捨てるべきです。まず捨てないことには治るべきものが治らないことになってしまいます。ここが重要な点です。
片頭痛の診断は、自分でもできるはずです。繰り返される頭痛で、日常生活をおくる場合、支障があると感じれば、「片頭痛と考えて」まず間違いありません。ただ、最初は、念のため画像診断を受けておくことも考えるべきかもしれません。
いずれにしても、片頭痛は起こり始め、とくに緊張型頭痛の段階で芽を摘んでしまうことが極めて重要になってきます。こうした場合、頭痛が緊張型頭痛か片頭痛かは余り問題ではありません。緊張型頭痛の段階で、鎮痛薬を使わないで、日常生活の注意点を守り、ストレッチ・体操などでなくしてしまうことです。
そして、食生活を中心として、正しい食事の摂りかたがどのようなものかを知った上で、ビタミン・ミネラルを過不足なく摂取し、マグネシウム不足に陥らないようにします。そして、植物油の取り方に注意し、インスリン過剰分泌を来さない食事のとりかたをマスターします。いずれにしても、片頭痛への移行を阻止するには食生活が極めて重要です。
安易に、市販の鎮痛薬とかトリプタン製剤で対処するだけでは、いずれ頭痛は悪化の一途をとり続けることをまず認識し、早期から対処すべきです。
このように考える限り、今回のような「片頭痛の生活習慣の改善」のような実用書は必ず必要と考えます。ただ、今回のものが完璧なものではないことは確かです。この内容は、神経内科医関係の専門医の先生方が提唱される「セルフケアー自己管理」とまったく同じ内容です。こうした先生方は、「セルフケアー自己管理」を完璧に行いさえすれば9割は改善されるとされます。どこの医療の世界でも改善率9割との治療成績を示すものはないはずです。
どうして神経内科医関係の専門医の先生方が”「セルフケアー自己管理」を完璧に行いさえすれば9割は改善される”と豪語しながら、このような「片頭痛の生活習慣の改善」を作成され、片頭痛で苦しまれる方々に提示・公開されないのでしょうか?
ここが全く理解に苦しむ点です。皆さんはどのように思われるでしょうか???
ただ、推測されることは、仮に有名な「神経内科医関係の専門医の先生」が、私が掲載したような「片頭痛の生活習慣の改善」を出した場合、どうなるでしょうか?
まず、市販の鎮痛薬の製薬メーカーおよびトリプタン製薬メーカーからのクレームがつくことは必定です。ドラッグストアでは、鎮痛薬が山のようにして売られ、日本では8%の人が片頭痛持ちといわれ、概算で約1000万人が片頭痛持ちということになり、製薬メーカーにすれば気の遠くなるほど”嬉しい市場”となっているようです。
こうした状況のなかでは、軽はずみなことが言えないと思われているのでしょうか???
私の論点 その7
片頭痛が起きるメカニズムは2つあります。
血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きる、というのが一つ。
さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が分泌され、血管を刺激して痛みが出てくる、というのが一つ。
このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、トリプタンという薬は、セロトニンと同じような作用を持っています。そのためセロトニンの代わりに血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
さらにセロトニンは三叉神経に取りついて、痛み物質のサブスタンスPなどが分泌されるのを抑制する役割がありますが、ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。
このようにトリプタンは脳の中でセロトニンとして働き、血管を収縮させ、サブスタンスPなどの分泌を抑制する、という2つの役割を果たすことにより、片頭痛の起きる原因そのものを排除します。つまりトリプタンは、片頭痛という病気のより本質に近いところに作用して痛みを取るため、効果が高いというわけです。
トリプタンが出る前に使用されていた鎮痛剤や市販の鎮痛薬は、本質的な痛みの部分に作用しているのではなく、痛みの伝達を途中でブロックして感じなくしているだけです。
最近の考え方では、さらに「一般の鎮痛薬で片頭痛の痛みを抑えていると、一部の脳の活性が高まり、そこにつながる血管が異常拡張して、痛みが生じ、血管の異常拡張がさらに脳の活性をもたらし、それが再び血管の異常拡張へとつながり、つまり、悪循環が終わらなくなり、それによって常に片頭痛がある状態になり、血管の拡張が繰り返されると、血管自体に炎症やむくみが残って、さらに頭痛を起こしやすくなる」ことによって、「易興奮性が増大する」というものです。
結局、頭痛発作時に「トリプタン製剤を使っていないと、脳の興奮性が増大してくるということで、”片頭痛の適正な治療”とは、トリプタン製剤によって行うということに尽きるということを強調されてきました。
このように頭痛専門医はトリプタン製剤の作用機序を説明されます。このため現実に「片頭痛の方々」はどのように受け止めておられるのでしょうか?
以前にも、当ブログでも御紹介させて頂きましたが、まったくトリプタン製剤の効かない(トリプタン・ノンレスポンダー)の方が、発作の都度トリプタンを服用しても全く鎮痛効果がないにも関わらず、トリプタンを服用していないと「常に片頭痛がある状態になり、血管の拡張が繰り返されると、血管自体に炎症やむくみが残って、さらに頭痛を起こしやすくなる」ということをまともに受け止めて、服用を持続される方がいらっしゃいました。まさに”笑うに笑えない”悲惨な患者を生み出してきました。
確かに、トリプタン製剤は片頭痛の痛みの原因に対してピン・ポイントで作用しますが結局、片頭痛発作時には、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップしているにすぎません。
先程のように頭痛発作の都度、トリプタン製剤を服用しましょうということは、トリプタン製薬メーカーの論理であって、医師自らが述べることではないはずです。
このようなことを平気で勧めることは「製薬メーカー」の回し者と言われても仕方ないと思われます。本来、医師たるものは、片頭痛治療の焦点は、「脳内セロトニン」をいかにして増やすか、におくべきです。こうしたことは一切提唱することはないようです。
この「易興奮性が増大する」原因は、確かに鎮痛薬も関係しているかもしれません。
あくまでも、アスピリン含有の鎮痛薬によってミトコンドリアの働きを悪くするからという理由をつけるべきです。
「易興奮性が増大する」原因は、これだけではないはずです。ミトコンドリアをさらに弱らせる抗生物質の服用・デパケンの服用・マグネシウム不足を来す生活習慣等によって、さらに「ミトコンドリアの働きが悪く」なり、増大してきます。
“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なり、不規則な生活習慣・ストレスの持続により、「脳内セロトニンが低下」することにより、増大します。 また体の歪み(ストレートネック)が持続すれば、頸部の筋肉が絶えず刺激を受けることになり、この刺激は三叉神経核に絶えず送られることによって、さらに「易興奮性が増大する」ことになります。
このように「易興奮性が増大」には、「ミトコンドリア」「脳内セロトニン」「体の歪み(ストレートネック)」の3つが当然関与しているはずです。
しかし、頭痛研究者はこうした観点から片頭痛を見ずに、片頭痛特効薬トリプタンの作用メカニズムなどから、現在では血管の疾患ではなく、大脳の深い部分にある間脳あるいは脳幹と呼ばれる器官の付近に「片頭痛発生器」があると考え、つまり片頭痛は「中枢神経疾患」であると考えを改めるようになっています。こうしたことから、中枢神経性の要素を考慮することがすでに近年の研究の主流になってきており,片頭痛の予防の考え方も中枢神経の興奮性(脳過敏)の抑制に変化しつつあり,片頭痛の予防薬の開発目標は、皮質拡延性抑制をいかに抑える薬を見つけるかが鍵になっています。いずれにしても、全てクスリで解決しようとします。
このようにあくまでも片頭痛研究は、”片頭痛特効薬トリプタンがすべて”のようです。
「ミトコンドリア」「脳内セロトニン」「体の歪み(ストレートネック)」の3つの観点から片頭痛を考えようとは一切されないようです。
これは、なにを意味しているのでしょうか? ここまで述べれば、皆さんはお分かり頂けることと思っております。
ダイレクトに指摘すれば、それこそ”公序良俗”に反するとのご批判を受けることになりかねませんので、この辺で止めておきます。