近藤史恵著 「インフルエンス」を読んで | ひさしのブログ

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近藤さんといえば、鮎川賞を受賞した「凍える島」がインパクトあったが、「岩窟姫」や「はぶらし」の様なグロイ小説、更には「天使はモップをもって」などの推理物も書いている

今回の「インフルエンス」は心理サスペンス系のグロイ小説であった

まず出だしからインパクトがあったが、著者自身が登場してこの小説の主人公である戸塚友梨から自分の自伝をモデルにした小説を書いてくれるように要請される

だが著者は躊躇する、ここからは主人公の友梨の語りの場面に入るのだが、友梨には幼少期に親友ともいえる里子という幼友達がいてよく遊んでいた

だがある時、里子が友梨の家に来たとき、「お爺ちゃんと寝てる」という衝撃発言を友梨の祖父が里子から聞いてしまい、其のことが切っ掛けで友情に亀裂が入り疎遠になる

やがて中学になると里子は、不良グループの一員となり細尾というクラスの暴力的リーダーと交際するようになりいじめグループとして頭角を現すようになった

一方で友梨はどちらかといえば、目立たない側についてクラスの中の影の地味な存在のグループと交流するようになる

やがて言語障害のアリサやダウン症の理菜子とも親密になった友梨は、彼女たちを甚振る細尾や里子と対立するようになる

更にそこに真帆という母子家庭の女子が現れると急速に親密になった友梨はあるとき、細尾グループの醜い苛めで理菜子が撲殺される

其のことが切っ掛けで更に里子との関係が悪化するが、ある時、痴漢に真帆が襲われ友梨は思わず刺してしまう

自分が刺したことで警察の目を気にしていた友梨だったが、実際に警察に出頭したのはなんと里子であった

ここから友梨、里子、真帆の三人の間で起こる交換殺人のストーリーが幕を開ける

友梨は身代わりになった里子に負い目を感じるようになるが、そこに付け込んだ里子は自分の祖父を殺害するように要請してくる

やがて時を経て殺害を決断し里子の祖父を殺害に行った友梨だったが自分が手を下さぬうちに、里子の祖父は自宅から転落して死んでしまう

なんとも不可解な事件だったが、実際に殺害したのは、真帆だった

その真帆から不動産関係で住居を占拠している男の殺害を頼まれる

友梨はついに男を刺殺するが、そのやくざ者はなんと細尾だった

全体を通して、本当によく構成されたストーリーで糸のように全てが幼少期の因縁から始まり繋がってた

切っ掛けは「鬼畜ジジイ」の近親相姦だったが、そのジジイも殺され、細尾も殺される

更に暴言を吐いた友梨の祖父も病死した流れで、「悪は成敗された」といった感じで一読してすっきりした

だがこの小説はこのままでは完結しなかった

秋吉さんの小説じゃないけど、やっぱラストのどんでん返しがあった

著者自身が同じクラスの人間!更に語り手の友梨は実は○○(三人の少女の一人)だった

もうラストのどんでん返しは圧巻だった

まあ確かに友梨の正体が判明することで流れ的にすっきりしそうだ

 

里子が痴漢を殺害し刑務所で服役→出所後祖父の殺害を友梨に依頼するがやった真帆は黙認→真帆が細尾の殺害を友梨に依頼→友梨の逮捕

うーんこの流れだ