夜が明けてきた。夜に寝て、朝に起きる。そういう日々を過ごしているだけに、普段起きる時間になると身体も動き出してくる。夜のモノクロから、辺りの景色に色が付きだす。今年は、明るくなるのが、遅かった。小雨の中、曇りがちなのが影響しているのだろう。世間では太陽の恵みなどとも言うけれど、こちらとしては、今はできるだけ会いたくはない。太陽の恵みですら時と場合によるものだ。エイドステーションを重ねていく。バナナ、梅干し、へしこのおにぎりと順調に食べられている。走るリズムも順調。
長―い登りから始まって、登りがあれば、下って、小刻みなアップダウンも繰り返して、進んでいく。
この日を迎えるまで、二十五年かかった。言葉にすると一言で済む、二十五年。一言で済むだけに、重みも感じず、実感が薄い。視点を変えて、始まりの二十五年前を考えてみる。あの頃は、長い距離を走り始めて、そんなに長くはない数年が経っていたか。フルマラソンをボロボロになりながら走り切って、達成感や、充実感に浸っていた。そんな頃に、知人の紹介で、ウルトラの世界を知ってしまうことになる。百キロなど人が走れる距離なのか。四十二.一九五キロですら、あのダメージなのだから、想像を絶する未知の領域。未知なる恐怖の裏側に潜む、期待と羨望。若さとは怖いものだ。