登っても登っても終わりが来ない。

 

 無になる。何も考えない。脚を進めていく。

 

 もうちょっとで終わるかという期待、あとどんだけあるんやという落胆。そんな気持ちの揺れなど無駄だ。どうあがこうと物理的な登りは短くなるわけではなく、長くなるわけでもなく、何も変わらない。

 何も考えない。いや、何も考えないというよりは、別の視点で考えよう。登りは終わらない、登っていることが、日常。なんの変哲もない登り。基本的には登り続ける。

 

 ふと気づくと、いつのまにか終わっていた登り。登りが終わったというだけで、体が楽になったわけではない。ここから、長い長い下りだ。ここから重力に任せて落ちていく。

 

 下り始めたはいいが、昨年と何かが違う。うまく流れがつかめない。違和感を感じつつも、下りはまだ走れている。とにかく耐えるのみ。

 

 川の流れる音が聞こえ、眼下に水面が見え隠れしていく。下界の景色が目に入ると、終わりを期待してしまう。ただ、そう簡単には終わらない。ここからが長い。

 

 アスファルトが見えると、ようやく下りが終わりを告げる。次に待っていたのは、灼熱のロードだった。最後の最後まで、追い打ちをかけてくる。じりじり照り付ける陽射しに、たまらず側溝の流水を浴びる。冷たい水で身体を冷ますと、ラストの登りへと向かっていく。

 

 ゴールが見えると、ラストスパート。無事に戻って来れたことがありがたい。