精神科病院で看護師が暴行か逮捕! | ブルーアイランド

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(2023年2月21日FB記載)

2月15日、「東京 八王子 精神科病院を捜索 患者に暴行か 看護師を逮捕」という記事がNHK WAVE NEWSに掲載されるのを見て、またかと思う。

 

東京・八王子市にある精神科病院「滝山病院」の50代の男の看護師が患者に対する暴行容疑で逮捕されるという内容の記事である。

度重なる虐待事件が起きることに憤りを感じる。

 

古くは、1984年に宇都宮病院事件、1993年に大和川病院事件において患者リンチによる死者や無資格診療など不祥事が報道され、検証委員会などの報告が提出されるが、それ以降も虐待事件が起きるという現状である。

 

つい3年前に神戸市にある神出病院における虐待事件があり、メディアが取り上げたのであるが、何故、精神科病院において虐待事件が度々起きることを防ぐことができないのか、再発防止はできないのか、関係者として遺憾に思っている次第である。

 

民間企業であればコンプライアンスを推進して法令を守り、倫理観、公序良俗などの社会的な規範に従い、公正・公平に業務をおこなうことをモットーに社員教育をして、コンプライアンス意識も高め自ら自浄効果を発揮することで違反行為を無くす取り組みをするのであるが、精神科病院は如何なものか。

 

神出病院における虐待事件において第三者委員会が設置され、事実調査、原因分析、再発防止策・改善策の提言を目的に「虐待事件等に関する調査報告書」【公表版】が2022年5月に公表される。

 

多くの虐待が日常的に行われている実態が浮き彫りになり、患者の人権・利益を守ろうとする意識が希薄化した風土からこのような虐待事件が生じたという点で共通している、という結論に達していたのである。

 

また、相模原のやまゆり園事件の起きた施設において、県の調査委員会が、2022年9月に報告書を発表し、過去に虐待と認定されたケースや不適切な行為も含めると、問題のある事例は2015年度以降だけでも41件に上った。76人もの職員の関与が認められ、調査委員会は「日常の衣食住全てで不適切な対応が横行していた」と指摘した。

 

閉ざされた病院や施設において、何故このような行為が日常化するのか、ドラスティックに問わなければならない課題である。

 

閉鎖空間によって医療者と患者という限られた立場の人間が長期間の入院によって日々同じ空間で同じスケジュールを繰り返す生活スタイルによってマンネリ化になってしまい、弊害として、患者に施設症という無気力状態や自主性を失う症状が現れたり、医療スタッフにも無意識のうちに差別意識が生じてきて、当事者やその家族に対し、その尊厳を傷つけたり、人権をないがしろにしたりする言動や行動が出てくるものと思われる、と欧米の研究によって報告されているのである。

 

また、医療者と患者という上下関係のパターナリズムによって、少ない看護師で管理することがメインの精神医療である以上、一人の人間としての尊厳や意思を尊重することなく、日常的に患者の意思を無視して従わせる援助を行うことがメインの精神科医療になっている。

 

このような現状を改善するには、療養型による長期入院は避け、患者はすべて退院を目標に社会機能低下を避けるための入院を目指すことで、日々目標を持って過ごすことを支えることが、看護者としてスキルアップを目指すことになり、マンネリ化及び施設症を避けることにつながると思える。

 

特に精神科特例(医者・看護師が少なくてよい)の療養型の病棟を撤廃して、急性期病棟に転換することで、医療者が他科と同じ水準で対応できるようにすることによって患者を管理する医療から自立させる医療へと転換できると思える。

 

医療の本質は、病気を回復させ社会生活に戻すことがメインであるはずが、精神科においては自立ではなく隔離する医療が行われていることによって、虐待など不祥事が後を絶たない現状である。

 

精神科病院において、虐待防止のための研修で職員の意識改革を推進されている病院もあるが、今の医療状況が続く以上再発を避けるのは難しいので、根本的な改革(閉鎖性解除、パターナリズム解消、特例撤廃)を医療関係者が率先して推進する必要があると思える。