精神疾患者の問題を浮き彫りにしている書籍2冊! | ブルーアイランド

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近頃、興味のある書籍が2冊出版されたので購入して読んだ感想を掲載します。

 

1冊は、朝日新聞記者の永田豊隆氏が精神疾患の妻との日々を綴った「妻はサバイバー」という書籍と、もう1冊は、東洋経済新聞社の「ルポ・収容所列島~ニッポンの精神医療を問う~」という書籍で、どちらも日本の精神医療や福祉を問うた記者としての渾身のノンフィクション作品である。 

 

永田豊隆氏の「妻はサバイバー」は記者であると同時に夫としての葛藤が赤裸々に記載された私的なルポルタージュですが、他人ごとではすまされない普遍的な精神疾患者の問題を浮き彫りにしている作品だと思える。

 

誰もが家族の異変を感じた時に早期に対処する術を教わっていないし、理解されていない、という精神疾患の抱えている理解促進の問題であり、偏見によってより一層そのような病気であること自体を受け入れられない状況でもある。

 

そのような中、家族として適切な対応ができない状況が続くことで精神的に疲弊して時として悲劇を想起してしまうことが記載されているけど、そのことは私も想起したことのあることで、どの家族も一度は頭の中を巡ってしまうことで、今の精神疾患者を抱える家族の生き辛さを辛辣に問うている作品であると思える。

 

如何にその時その時に適切な支援が受けられるか、それが可能になる社会を作るかは、他人ごとでなく自分ごととして考えられるかが、この生き辛さを解決できる道だと思える作品なのだ。

 

現実に抱えた問題を如何に適切に支援できるかを考えるテキストとして最適な作品なのだと思える。

 

もう1冊は、「ルポ・収容所列島~ニッポンの精神医療を問う~」は、日本の精神医療の根源的な問題を赤裸々に記載した書物である。

 

以前記載した通り、先進国の中で日本は、精神科の病床数が飛び抜けて多く、OECD(経済協力開発機構)の統計によると、人口千人あたりの精神科病床数は日本が2,59、他の加盟国は独1,31、仏0,82、米0,25など、加盟35か国の平均は0,7床です。世界から日本は入院大国と揶揄されている現状である。(数字は2018年)

 

そのような精神科病院の多さから生まれる日本の精神医療が抱える深い闇として「長期強制入院」「精神科移送」「身体拘束」「薬漬け」「薬物依存」「虐待」などを、閉鎖病棟からの退院を望む患者の手紙をきっかけに取材した記録である。

 

精神医療が家族にとって最適な回復への道と思っていたが、上記のように逆に回復から遠ざける医療になっていることを直視することで精神医療の改革が必然であることを訴えているルポである。

 

当然、精神科病院協会という公的な組織があるけど自助作用を発揮して改革を推進する組織であることを標榜してほしいし、より回復を目指す医療を推進することが求められているけど、現執行部は旧態依然の守旧派が多く実権を握っていることから改革どころか、市民を犯罪者から守るために私たちは彼らを隔離しているのだという、本末転倒な考えを持った保守的な精神医療者が多いのも現実である。

 

精神科病院協会の1949年の設立趣意書に「常に平和と文化の妨害者である精神障がい者に対する文化的施設一環」として位置付けていることが今でもまかり通る組織であるとこに時代錯誤を感じて憤ってしまうのである。

 

世界は、閉鎖から解放へ、病院から地域へ、脱病院という時代に、閉鎖を続けて自立を奪うことが許されるのか、問うている書籍に共感するとこである。

 

「妻はサバイバー」にしても「ルポ・収容所列島~ニッポンの精神医療を問う~」にしても、家族なり人として共感する書籍を得ることによって、今何をなすべきか、問われている現実なのだ。

 

「妻はサバイバー」

https://note.com/asahi_books/n/n79fe4dfc87c0

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「ルポ・収容所列島~ニッポンの精神医療を問う~」

https://str.toyokeizai.net/books/9784492224045/