実は問われている「電位差」への理解

 

前回からの続きです。

前回の記事で,風船の例えでオームの法則をとらえました。

 

しかし,電流とは実際は金属中にある自由電子の流れのことであり,

「電池の中に電気のもとが詰まっていて,それが水と同じように吹き出してくる」のはすこし違います。

ただ,反比例の理解にはこのイメージがわかりやすいということで,

「電圧=抵抗×電流」 という関係が頭にはいったら,いったん風船のイメージは忘れましょう。

 

 

 電圧とは「電位差」のことである

 

「電位差」という言葉はそのまま電圧と読み替えてもいいのですが,テキストには普通出てきません。

しかし,電流の振る舞いを表す言葉としては,「電位差」のほうが正しいと言える部分もあり,イメージが掴めてくると,この言い方がしっくりとくると思う人も多いと思います。

 

回路の中の電流の動きは,こんなイメージです。

 

この子達は,回路の中を動き回る電流のつぶつぶです。(電子クン)

エレベータが電池です。

高い位置にあるときが10V(ボルト),地面にいるときが0Vと考えて下さい。

 

① エレベータで高い所に上がる=エネルギーの高い状態(電位が高い)

② 滑り台を下りる=仕事をする(このとき,下にあるボタンを勢いよく押すことで何らかの仕事をする(光ったり,温めたり)

③ 地面に下りたら再びエレベータにのって高い所に上る

 

これを繰り返します。電池が切れると,エレベータが動かなくなるので,電流の流れも止まります。

前回のブログで「電圧」が電気を送る圧力としましたが,圧力が存在するかのように考えることが出来るということであって,実際は電位の高いところから低いところに流れるというのが正しい理解となります。

逆にいうと,回路の中に少しでも電位の違いがあれば,その間を電子クンが転がるので,電流が流れます。

 

 

 直列と並列

 

このような捉え方をするときに,直列つなぎと並列つなぎは次のように考えます。

〈直列つなぎ〉

電池はあくまでも10Vの高さまで電子を持ち上げることしかできないので,

滑り台が2カ所になると,1カ所あたりは5Vの高さしか落ちることができません。

したがって,それぞれの豆電球にかかる電圧が5Vとなります。

 

また,直列につなぐと電流が流れにくくなります。

電子クンたちは,この滑り台を滑ってしりもちをつくのを嫌がります。

お尻が痛いですからねw

 

 

〈並列つなぎ〉

一方で並列つなぎは,滑り台がどちらも10Vの落差です。

また直列とちがって,ボタンは1個なので,電子クンのしりもちも1回で済みます。

なので,電流が流れにくくはならず,むしろ道が2本できたことで,2倍の量の電子が同時にながれることになります。

 

 

※実際の電子はマイナスからプラスに流れているのですが,話がややこしくなるうえに逆にして考える意味もないので,プラスからマイナスに移動すると考えて問題ありません。

 

次回は,問題演習をやってみましょう。

 

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2023年度募集は,現在受講中の生徒の次年度の予定が固まってから行いたいと思います。

 

 

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 中学受験理科の難関のひとつ,「電流」

 

 

今回は,私の考える電流必勝攻略法をお伝えしたいと思います。

このブログは,授業で毎回お伝えしていることをまとめるためにテキストにしたものなので,お気軽な必勝法ではありませんが,ちゃんと読んでもらえたら,確実に電気が理解出来るようになるはず。

 

 

 まずはオームの法則

 

塾では触れずに行ってしまうことも多いですが,対応できる問題がかなり限られてしまうため,

必ず理解しておくべき事柄だとおもいます。

オームの法則とは

 

  電流=電圧÷抵抗

  抵抗=電圧÷電流

  電圧=電流×抵抗

 

で表される,比例と反比例の関係式ですが,「電流」というもののイメージをつかまないままこの式を丸暗記しようとするのはやめましょう。

 

電圧,電流,抵抗の関係は次のようにとらえます。

水がはいったゴム風船の口をきゅっとつまんだところをイメージします。

水は,中から飛び出ようとしていますが,あなたの指の力で止まっています。

 

このとき,指の力が「抵抗」,水は「電流」,縮もうとしているゴムの圧力が「電圧」です。

 

抵抗をめいっぱい大きくしておけば,水はもれてきませんね。

この状態から手の力を緩めていくのに従って,水がもれ出す量は増えていきます。

 

指の力が大きい → もれ出す水の量が小さい

指の力が小さい → もれ出す水の量が大きい という関係になることがわかると思います。

 

また,ゴムが縮もうとする力は指の力を強めても弱めても変わりません。

このように例えてみると,指の力と水の量が反比例の関係にあることが容易に理解できるはずです。

ゴムの力を12としたら,指の力と水の量の関係は,次のようになります。

上・下をかけた値はいつも12になって一定です。

 

もしここで,指の力を完全に緩めてしまう(ほとんど0にする)とどうなるでしょうか。

中の水が一気に吹き出してしまいます。

これを短絡(ショート)といい,電池のプラスとマイナスを抵抗無しにつないだ状態です。

一気に大量の電流が流れて危険なので,やってはいけません。

 

次回に続きます。

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模試の結果をどれぐらい参考にするか

 

まもなく,11月の模試という時期です。入試も刻一刻と近づいてきています。

ところで,みなさん志望校判定の数字はどれぐらい信用されているでしょうか。

 

ちなみに,僕はほとんど参考にしません。

模試の問題に似ているような問題を出すところであれば,それなりに材料になりますが,本当の意味での判定には殆ど役に立たない学校のほうが多いのです。

 

学校別の模試による判定はまだ参考になります。

しかし,これも実力をはかったというより,1回の競争の着順を調べただけなので,本当の意味での本人のポテンシャルを示したものではありません。

 

やはり本当の意味での合格判定は,過去問を何回か試してみて何点取れるかがいちばん参考になります。

 

そして,この判定方法は,気を付けないといけない落とし穴があります。ガーンガーンガーン

 

たとえば,過去問で算数をやって8割が取れたとしましょう。

8割といえば落ちる学校を探すのが難しいぐらいの安全圏です。

 

もちろん,そこまでの点数を取れるようになったのであれば,志望校にすべきです。

しかし,「受かる」可能性の方が高いという前提でスケジュールを組むことは非常に危険なのです。

 

 

これがホントの合格判定?

 

実際にシミュレーションをしてみましょう。

サンプルとして,こんなお子さんを想定してみます。

お願い

「最近は8割を取れたなんて喜んでることもあったし,力がついてきたのかな…?

でも,まだ失敗すると,30点を取ってしまうこともあるようだけど・・・」

というような感じのお子さんです。

この時期の受験生としては,全然問題はありませんし,塾で面談してもイケイケgogoのはずです。

食卓の会話でも,

お願いニコがこないだ過去問で80点取ったんですって。」

ニコ「へーすごいじゃないか,じゃあ合格もみえてきたんじゃないか?」

なんていう感じのやり取りがあったりして・・・

 

てなことで,直近5回の過去問のデータとして,(80,70,50,50,30)を入力してみます。

(話を単純化するために,すべての科目について点数のバラツキを同じに。また,テストの合格最低点は65%と仮定してあります。)

 

ということで,計算された結果がこれ。

これで,合格率は何%かというと,20%になります。

つまり,5回に1回しか受からない計算です。

随分,肌感覚と違いませんか?

架空のお子さんですけど,多分模試ではそこそこいい判定をもらって帰ってくるようなお子さんです。

 

 

良い点数は取らなくていい

さきほどの点数(80,70,50,50,30)でシュミレーションすると,ボリュームゾーンが50%〜60%ぐらいのところに集中していて,65%に今一歩届かなかったというような結果が多くなっているのがわかります。(オレンジのところが合格に相当)

その理由は,5回の中に1回紛れている30点にあります。

このように,何か1科目大きく足を引っぱる点数があると,意外に大きな影響があることがお分かりいただけると思います。

 

ここで,30点という点数を50点まで改善した場合(80点,70点,70点,70点,50点),合格率は65%となって劇的に跳ね上がります。それでも,まだ2回に一回ぐらい落ちるという感じ。

(実際,入試に臨む多くのお子さんがこれよりももう少し低い仕上がりで試験に臨んでいるのではないかと思います。)

 

逆に,80点というずば抜けた得意科目がなくなって70点が上限になり,ただしそのかわりに5回に4回ぐらいは70点が取れるというふうになった場合(70,70,70,70,50)となれば,さらによくなって合格率は82%になりました。

 

80点になったり,30点になったりというような大きな波は,難関校の問題になるほど出やすいですが,どのような学校を受けるにしろ,ずば抜けたいい点数を取れることよりも,悪い点数になることをどう防ぐか?というリスク管理の方が大事であるということが言えるのです。

 

 

捨て問の見極め

 

悪い点を防ぐポイントは

① 捨て問の見極め

② 時間配分

にあります。

 

ただし,捨て問だから勉強しなくてもいいということではありません。

捨て問かどうかの判断は,「時間をかければそれを解くことができるぐらいの力」がなければそもそも見分けられないのです。(特に算数と理科)

つまり,正解に持って行けそうな作業量か,途中で間違うリスク(数値の複雑さ)がどれぐらいありそうかといった「投入するリソースと,それに対するリターン」を天びんにかけて判断する必要があります。

あるいは,ゴールまで辿り着けないにしても,どれぐらいの道のりがありそうか?険しさは?というようなことを見通せることが必要といってもいいかもしれません。

 

というようなことから,余程の悪問でない限り,入試問題は全問解説&復習が原則です。

というか,私はそれが必須だと思います。

理解不能な問題が1,2問程度はまだ許容できるにしても,各大問の(3)は全部理解不能というような状況だとしたら,その学校のレベルに達していない=志望校を再検討すべきかもしれません。

 

 

受験校決定は慎重に

模試による判定は,あくまで判断の材料の1つに過ぎず,むしろ重要なのは過去問の点数であるということをお話してきました。

ところが,塾の面談では,どうしても模試の数字を踏まえての話になってしまうので,実際のお子さんの合格可能性と乖離してしまっているケースがあります。

是非とも過去問の結果を数カ年集めてみて,どれぐらいの点数が見込めそうか,大きな失敗をすると何点ぐらいになるかというようなことをお子様とご一緒に話合って受験校をお決めになるのがよいかも知れません。

 

また,第一志望も大事ですが,もっと大事なのは「抑え校」です。

熱望校はどうしても皆さんチャレンジ受験になりがちなのはしかたありません。

ですが,抑え校というのは,受験日程を安心して乗り切るためにも非常に重要になります。

「抑え」ですから,ここであまり欲を出してしまうと,結局は抑えにならず,チャレンジ校で落ち着いて実力を出し切るという本来の目的も見失ってしまうことになります。

抑え校に欲を出してしまうのは,理想の学校は熱望校だけだという近視眼的な思いこみがあるからです。

究極的に言ってしまえば,どんな学校にも良い所,悪い所がありますし,どんな学校に行ってもそこで人間関係を築き学校生活を送るのは,本人達です。

過去には,目当ての部活がないから生徒会に入って,部を立ち上げることになったなんていう面白人生が待っていた例もありました。

逆に憧れの学校に入ってしまったことがその後の人生を大きく狂わせることになったオウム真理教のような例だってあるわけですから・・・(極端すぎるかな?^^;)

 

要するにどこに進もうが本人次第という部分があるということです。

中学受験はお子さんに道をつけてあげるという側面も強いですが,

どこに進んでも最後は自ら道を切り開いていくマインドそのものを身につけることが大切なことだということは忘れないでおきたいものです。

 

 

 

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2022年度は2月から授業開始となります。

お問い合わせは随時受付中です。

 

 

 

 

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かけ算の順序問題とは

「かけ算の順序問題」というのをご存じでしょうか。

 

簡単にいうと,「3×4」と「4×3」は同じなのに,式を逆に書いたら×にするのはおかしい。という話です。

 

1枚のお皿にみかんが3つずつのっています。

お皿が4枚あります。みかんは何個あるでしょう。

 

 

おそらく,殆どの方が3×4という式をイメージされたのではないかと思います。

 

 

   

しかし,このように並べてみれば,4×3とも,3×4とも解釈できますし,

ぶっちゃけ「どっちでもいいんじゃ?」と思われる方もいらっしゃると思います。

 

僕も個人的には「どっちでもええ派」なんですが,教師としてお子さんに導入する場合は,3×4という考え方を優先します。その理由は後ほど述べるとしますが,この議論は1970年代から延々と続いているそうで,SNSの時代になってからは,この手の議論好きの人達にとっては格好のネタとなってきたという経緯があります。

 

まあ,そんなことはつゆ知らず,先日東洋経済の記事が上がっているのに対して,以下のようなツイートをしたところ…

 


https://t.co/eHpfge1Qj9

 コージー先生 (@cozy_sensei) October 16, 2021

 

 

数名の方から,「どういう利点があるんですか?」ニヤニヤニヤニヤニヤニヤ

 

という感じで同じようなリプライが複数あったので,

(まあ,この時点で悪意を感じてはいたので少々ぶっきらぼうな返事・・・w)

 

という感じで返信。

しかし,これがマズかったようで,彼らの嗜虐心に火を付けることに😅

 

1万以上のフォロワーをお持ちの某国立大学助教授というような立派な肩書きをお持ちの方まで参戦し,しかもその方が中心になって,僕の返信を連続リツイート。

 

論破そのものが目的でこういう話に絡んで来る人達は,土台相手を理解しようというような心がありません。

最初は僕も反論していましたが,すぐどうでも良くなったので,無視&放置w

 

 

 

そのまましばらく無抵抗でいたら,いつの間にかこんな感じで,次々と仲間を呼び集めての集団リンチに発展していましたチーンチーンチーン



どうやら,彼らにとってこのネタは,格好のエサだったようで,過去ログを漁っていくと,同じように集団リンチの被害に遭っている人が他にもたくさんいることがわかりました。

 

このときの不毛な議論とリンチの様子を見たい人は,Twitterからアクセスできます。

グロいのであまりおすすめはしませんが・・・笑

 

曰く,

「かけ算の交換法則は常識である。児童に非常識な感覚を植え付けるのか」

「コージー先生は教育的に非常識で有害である」

「×をつけてもよいと公然と述べることは,子供を精神的に殴る大人を擁護する行為」

「コージー先生は割合の3用法を公式で教える困った先生」

 

などと,むちゃくちゃなことを書かれまくったので,一応プロとしての僕の考え方を明確に表明しておく必要を感じたので今回の記事を書いています。

 

 

かけ算の順序を固定する意味合い

 

僕は,数学的に考えれば一方の式を×にするのは,おかしいとは思うものの,

小学校でかけ算を導入する際,「AがB個ある」という文章において,

「何が」「何個ある」のかを子供達が意識できているかどうかを確認するために,先生が式の順番を指定するケースはあると思いますし,それを妨げる理由はないと考えます。

 

ただ,このようなローカルルールを,成績に反映するような公式なテストには適用すべきではないという立場です。

やはり,数学的な理屈はローカルルールよりも優先されるべきだと思いますし,採点者による不公平が生じるのを避けるためです。

 

ローカルテストとパブリックなテストで○,×が変わるのはダブルスタンダードじゃないかという批判もありますが,それはアンチ派のレッテル貼りに過ぎません。

 

教室という閉じた環境の中では,一時的にその場限りのルールが適用されるケースは算数に限らずある事ですし,「子供に嘘を教え込むのか」というような批判も的外れです。

 

「今,この場限りにおいては,『何が』は,”×”の左に書くルールだよ。」

 

と,一言断ればいいだけの話です。

かけ算の交換法則(2×3=3×2)は九九の中で触れる事になりますし,先生がローカルルールで授業することが子供の解釈を妨げるとは到底思えません。

(実際我々大人も子供の頃に,おそらくそういう授業を受けていたはずですが,2×3と3×2を硬直的にしか捉えられない頭にはまったくなっていないわけですし・・w)

 

 

中学受験的にも意味がある

また,このように,かけ算の順番を区別するのは,5年生以降,「単位量あたり」や「割合」を勉強するときには重要になります。

 

たとえば,

「300gのケーキを3割食べました。何g食べましたか。」

という問題。

 

中学受験生でも,割合の学習初期では300÷0.3とする子がけっこういます。

これは,「何が何個あるか」ということを,文章題の中で意識できていないから起こることです。(それと,3割の「割」が割り算を想起させてしまうというのもあります。)

 

ケーキが1個あることを×1と表す,「3割食べた」はケーキの0.3個分を食べたことだから,×0.3である。

こう考えるには,ひとまとまりになっているものが何なのか?を理解しておく必要があります。先ほどの皿の例だと,お皿1枚にのった3つのみかんをひとまとまりにするということです。

 

多少”硬直的”な考え方であるのは否めませんが,まずは「○個分」という考え方が小数でも分数でも成立するんだということを感覚的に掴まないことには,なかなか次のステップに進むことが難しくなってしまう子がいるのも事実です。

 

杓子定規に学問的な普遍性に拘り,現場での事情をまったく汲まないこの手の批判は,それこそ昨今問題になる「モンスター○○」そのものではないでしょうか。

 

小学校というところは,具体的,日常的感覚を育むことが学習面での主な目的です。

学問的な普遍性の探究は,中学校から徐々に始まっていき,大学がその役割の中心を担います。

ですので,小学校では日常の「感覚」を重視するのは当然です。その1つとして「何が」「何個あるか」をかけ算の順序に対応させて導入することは,まったく理にかなっていると思います。

 

幼児に一寸法師の話を聞かせるときに,「一寸法師の一寸とは〜3.08cmで〜」とか言わないように,人が物事を理解して行くのは段階があるんです。

 

そして,その時々にその段階に応じた「方便」というものがあります。

かけ算の順序というのは,そのような方便なのであって,学問的真理がどうのこうのと持ち出す人は,まったくの見当外れと言わざるを得ません。

 

一応断っておきますが,子供が逆のかけ算を発想するなどの自由を禁止すべきだと言っているのではありません。

ただ,小テストなどのローカルテストにおいては,ちゃんとルールを提示し,そのルール通りに式を書かなかったときに,×にするというのは,べつにアンフェアなことだとは思いません。まあ,自分が学校の先生なら式の×はつけないですけどねw

 

 

果たして本当に問題だったのか?

今回,このような議論に巻き込まれたことで,改めてこの問題について考えることになりましたが,上でも述べたように,恐らく我々親世代も,かけ算の導入段階では,「AがB個」をA×Bとするような指導を受けて育った人が多いと思います。

ですが,普段この事を大きな問題だとは認識していないはずなのです。

 

普通の大人は,中学,高校と進んでいく中で,もはや固定された順序を「方便」であると理解しています。

 

一部の人が,ネットなどで×にされた答案を晒して騒ぎ立て,さらにそこに偏執的な人達が絡んで来て泥仕合が始まった。

 

過去のいろいろなやり取りを見ていると,僕にはそんな風にしか見えなかったです。

 

僕は,もっとも理解させることが難しいケースから,すらすら抽象概念の獲得まで進んでしまう子まで様々な子供達を教えてきた経験があります。

なので,いろいろな授業のパターンの引き出しを持っていますが,今回のツイートで書いた事は,どちらかというと学校の先生達のやり方を理解できるよというメッセージを送ったつもりだった。

 

また,俯瞰してみると,この問題を執拗に批判している人達は,どちらかというと理系脳の人が多いかなという印象を受けました。また,逆に擁護的な意見を書いている人は,学校畑やそれに準じる人が多いような気がしています。

 

理系脳な人達が言う事も理解はできるんですが,それはあくまで大人相手の話で,そんな理屈で上手くいったら現場は苦労してないでしょと。

 

ですが,次々湧いてくるアンチな人達は,そのような擁護的考え方の存在そのものが許せないといった調子で,僕の指導がどんなものかまったく見たことも無いくせに勝手にレッテル貼りして攻撃してくるのだからほんと始末に負えない。ゲローゲローゲロー

 

それにしても,今回は不毛な議論に付き合わされました。

いい年した大人が,「桃太郞の桃は桜桃か?白桃か?ムキームキームキー

みたいなことで揉めてるわけですからね。

そんなもん,幼稚園の先生の好きなように話してもらってたらええやん!

というのが,僕の結論です。

 

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計算力には2種類ある

当たり前ですが,算数力は計算力があってこそのものです。

ただし,計算力といっても大きく2つの要素に分けられるように思います。

 

①単純処理能力

これは,単純な計算力のことを指します。たとえば,筆算が速いとか,脳のワーキングメモリの広さであるとか。

車で言えば馬力,パソコンでいえば,CPUのクロック数に例えられますね。

この力は,多くの方が「計算力」と思っているものです。

それは,間違いではないですが,計算力の一面でしかありません。

 

鍛え方はひたすら努力です。

公文式や,百マス計算,基礎トレなどのドリル系教材を,毎日コツコツこなせばそのうち速くなっていきます。

 

シンプルなので,やる気さえあればだれでも実行できます。
 

②工夫する力

分配法則に代表される,計算を工夫して行う力のことです。

3.14×3+3.14×7=3.14×10=31.4 程度の工夫はだれでも思いつくでしょうが,このような分配法則だけでは,受験には不充分です。

 

ポイントは,「素因数分解」力です。

 

たとえば,51という数字を見て何を連想します?

イチローの背番号,UFO(エリア51),あるいはアメリカの51番目の州…ニヤリ

 

算数をやる受験生なら,51は17×3と連想して欲しいですねグラサン

 

51×12+68×16 は中学受験生は暗算で求められないといけません。

方法はTwitterに載せておきます

https://twitter.com/cozy_sensei

 

 

塾では教えてくれない計算問題

ところが,実際のところ,②の計算力の付け方がわからず困っている方がかなり多いというのが実感です。

 

分配法則などの基本的な手法は4年生の時に習ったきりで,その後改めて取り上げられることもありません。

 

家庭教師などの指導者についていれば触れてもらえる機会もあると思いますが,

そうでない場合は,なかなか難しいのが現状です。

塾では殆ど取り上げません。

 

計算の工夫というのは,やってもやらなくても答えとしては求められてしまうので(もちろん無理なモノもある),お子さんは「とりあえず答えがでればいいでしょ」と,あまり重要性を認識していないことが多いです。

 

その結果,ゴリ押しで計算する癖がついてしまい,テストでも同じように計算問題に取り組んでしまいます。

5年生まではあまり問題になりませんが,6年生で入試レベルの演習を始めていくと,解き方の方向性は見えているのに,計算で躓くということがよく起こるようになります。

 

入試では①の力が重要なのは当然ですが,②を軽視してはいけません。

学校によっても異なりますが,②の力を非常に重視した数字の設定を出してくるところもあります。当然最難関校では,①,②ともに最高レベルの力が求められます。

 

 

対策

塾で教えてくれないということになると,どうすればよいのでしょうか。

これは,実演を見るというのがいちばんの近道だと思います。

 

まずは,式全体を眺めて,なにか仕掛けがないか?を探る習慣をつけましょう。

その上でどんな工夫のポイントがあるかは,実際の問題に当たりながら勘を養っていきます。

なので,コツコツ続けて行くことが重要です。

 

 

ということで,受講頂いている生徒さんに向けての企画にやっていこうと考えましたが,授業外の完全サービス企画なので,どうせなら皆さんに見てもらえるようにしようということで,計算テクニックの動画をしばらく毎日1つずつあげていこうと思います。

無編集一発録り。

 

動画編集は面白いんですが,正直時間ばっかりかかって,誰得?という気がするので,編集はやらないことにしました。

そのかわり,こんなスイッチャー(atem mini)を導入。

リアルタイムで,ipadとカメラの画像を合成できるので,便利です。

OBSで録画して,できたファイルをそのままyoutubeにアップロード。

 

これで充分でしょグラサングラサングラサン

 

 

 

 

 

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