模試の結果をどれぐらい参考にするか

 

まもなく,11月の模試という時期です。入試も刻一刻と近づいてきています。

ところで,みなさん志望校判定の数字はどれぐらい信用されているでしょうか。

 

ちなみに,僕はほとんど参考にしません。

模試の問題に似ているような問題を出すところであれば,それなりに材料になりますが,本当の意味での判定には殆ど役に立たない学校のほうが多いのです。

 

学校別の模試による判定はまだ参考になります。

しかし,これも実力をはかったというより,1回の競争の着順を調べただけなので,本当の意味での本人のポテンシャルを示したものではありません。

 

やはり本当の意味での合格判定は,過去問を何回か試してみて何点取れるかがいちばん参考になります。

 

そして,この判定方法は,気を付けないといけない落とし穴があります。ガーンガーンガーン

 

たとえば,過去問で算数をやって8割が取れたとしましょう。

8割といえば落ちる学校を探すのが難しいぐらいの安全圏です。

 

もちろん,そこまでの点数を取れるようになったのであれば,志望校にすべきです。

しかし,「受かる」可能性の方が高いという前提でスケジュールを組むことは非常に危険なのです。

 

 

これがホントの合格判定?

 

実際にシミュレーションをしてみましょう。

サンプルとして,こんなお子さんを想定してみます。

お願い

「最近は8割を取れたなんて喜んでることもあったし,力がついてきたのかな…?

でも,まだ失敗すると,30点を取ってしまうこともあるようだけど・・・」

というような感じのお子さんです。

この時期の受験生としては,全然問題はありませんし,塾で面談してもイケイケgogoのはずです。

食卓の会話でも,

お願いニコがこないだ過去問で80点取ったんですって。」

ニコ「へーすごいじゃないか,じゃあ合格もみえてきたんじゃないか?」

なんていう感じのやり取りがあったりして・・・

 

てなことで,直近5回の過去問のデータとして,(80,70,50,50,30)を入力してみます。

(話を単純化するために,すべての科目について点数のバラツキを同じに。また,テストの合格最低点は65%と仮定してあります。)

 

ということで,計算された結果がこれ。

これで,合格率は何%かというと,20%になります。

つまり,5回に1回しか受からない計算です。

随分,肌感覚と違いませんか?

架空のお子さんですけど,多分模試ではそこそこいい判定をもらって帰ってくるようなお子さんです。

 

 

良い点数は取らなくていい

さきほどの点数(80,70,50,50,30)でシュミレーションすると,ボリュームゾーンが50%〜60%ぐらいのところに集中していて,65%に今一歩届かなかったというような結果が多くなっているのがわかります。(オレンジのところが合格に相当)

その理由は,5回の中に1回紛れている30点にあります。

このように,何か1科目大きく足を引っぱる点数があると,意外に大きな影響があることがお分かりいただけると思います。

 

ここで,30点という点数を50点まで改善した場合(80点,70点,70点,70点,50点),合格率は65%となって劇的に跳ね上がります。それでも,まだ2回に一回ぐらい落ちるという感じ。

(実際,入試に臨む多くのお子さんがこれよりももう少し低い仕上がりで試験に臨んでいるのではないかと思います。)

 

逆に,80点というずば抜けた得意科目がなくなって70点が上限になり,ただしそのかわりに5回に4回ぐらいは70点が取れるというふうになった場合(70,70,70,70,50)となれば,さらによくなって合格率は82%になりました。

 

80点になったり,30点になったりというような大きな波は,難関校の問題になるほど出やすいですが,どのような学校を受けるにしろ,ずば抜けたいい点数を取れることよりも,悪い点数になることをどう防ぐか?というリスク管理の方が大事であるということが言えるのです。

 

 

捨て問の見極め

 

悪い点を防ぐポイントは

① 捨て問の見極め

② 時間配分

にあります。

 

ただし,捨て問だから勉強しなくてもいいということではありません。

捨て問かどうかの判断は,「時間をかければそれを解くことができるぐらいの力」がなければそもそも見分けられないのです。(特に算数と理科)

つまり,正解に持って行けそうな作業量か,途中で間違うリスク(数値の複雑さ)がどれぐらいありそうかといった「投入するリソースと,それに対するリターン」を天びんにかけて判断する必要があります。

あるいは,ゴールまで辿り着けないにしても,どれぐらいの道のりがありそうか?険しさは?というようなことを見通せることが必要といってもいいかもしれません。

 

というようなことから,余程の悪問でない限り,入試問題は全問解説&復習が原則です。

というか,私はそれが必須だと思います。

理解不能な問題が1,2問程度はまだ許容できるにしても,各大問の(3)は全部理解不能というような状況だとしたら,その学校のレベルに達していない=志望校を再検討すべきかもしれません。

 

 

受験校決定は慎重に

模試による判定は,あくまで判断の材料の1つに過ぎず,むしろ重要なのは過去問の点数であるということをお話してきました。

ところが,塾の面談では,どうしても模試の数字を踏まえての話になってしまうので,実際のお子さんの合格可能性と乖離してしまっているケースがあります。

是非とも過去問の結果を数カ年集めてみて,どれぐらいの点数が見込めそうか,大きな失敗をすると何点ぐらいになるかというようなことをお子様とご一緒に話合って受験校をお決めになるのがよいかも知れません。

 

また,第一志望も大事ですが,もっと大事なのは「抑え校」です。

熱望校はどうしても皆さんチャレンジ受験になりがちなのはしかたありません。

ですが,抑え校というのは,受験日程を安心して乗り切るためにも非常に重要になります。

「抑え」ですから,ここであまり欲を出してしまうと,結局は抑えにならず,チャレンジ校で落ち着いて実力を出し切るという本来の目的も見失ってしまうことになります。

抑え校に欲を出してしまうのは,理想の学校は熱望校だけだという近視眼的な思いこみがあるからです。

究極的に言ってしまえば,どんな学校にも良い所,悪い所がありますし,どんな学校に行ってもそこで人間関係を築き学校生活を送るのは,本人達です。

過去には,目当ての部活がないから生徒会に入って,部を立ち上げることになったなんていう面白人生が待っていた例もありました。

逆に憧れの学校に入ってしまったことがその後の人生を大きく狂わせることになったオウム真理教のような例だってあるわけですから・・・(極端すぎるかな?^^;)

 

要するにどこに進もうが本人次第という部分があるということです。

中学受験はお子さんに道をつけてあげるという側面も強いですが,

どこに進んでも最後は自ら道を切り開いていくマインドそのものを身につけることが大切なことだということは忘れないでおきたいものです。

 

 

 

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