今回はリクエストを頂戴しましたので、ヴィジュアル系について書きます。
ヴィジュアル系という言葉がマスメディアに登場したのは90年代後半で、ぼくは小学生でした。
当時はほぼSHAZNAを形容する言葉という印象でした。
はじめてIZAMさんをテレビで見たときは衝撃的でしたね。
フツーに女の人だと思った記憶があります。
だからか、ヴィジュアル系=オカマのイメージでしたね。
小学校高学年の頃にはおぼろげにヴィジュアル系ロックバンドのボーカルになりたいな・・なんて思ったものですが、恥ずかしくて言えませんでしたね。
当時はヴィジュアル系って侮蔑する言葉だったから。
V系の起源と成り立ちには諸説ありますが、ぼくの見解で出来るだけ要約しながら語ります。
で、V系を紐解くには、ぼくはロックンロールの始まりから考える必要があると思っています。
これは、なぜTHE NOSTRADAMNZを というかぼくが自分をV系だと言い張るのかに繋がるからです。
ロックンロールの成立は一般に1955年と言われています。
映画バックトゥーザフューチャーで、主人公が1955年にタイムスリップして、最後になぜジョニー・B・グッドを演奏するのかは、ロックンロールの起源に触れているからです。
ロックンロールは、主に2つの音楽から出来ています。
黒人のブルースと、白人のカントリーウエスタンです。
ブルースのコード進行に、カントリーウエスタンのビートが組み合わさってロックンロールは始まりました。
本当はもっと細かくあるんだけと、ざっくりそんな感じです。
ロックンロールという言葉の起源にも諸説ありますが、この曲をラジオのDJが紹介するときに放った言葉から広まった、という説もあります。
で、当時は同じような音楽でも、黒人が演奏したものをリズムアンドブルース、白人が演奏したものをロカビリーと言ったとか。
超かっこいいよね。
このへんを年代でひとくくりにしてフィフティーズ、と呼んだりもするんだけど、とても好きです。
で、これらを見て、超かっけえ!と思ってバンドやろうぜ!もなった少年たちが、ローリングストーンズやビートルズの世代です。
彼らが、ロックバンドっていう編成の普遍性を確立させた感があると思います。
特にビートルズは、日本のグループサウンズへの影響大ですね。
エレキギターの普及にはベンチャーズとかも大きいのだけど、ロックバンドにアイドル的なニュアンスを持たせたのはビートルズのほうの影響かと。
これは後々の日本にヴィジュアル系が文化とし残っていく布石になったと思います。
というかグループサウンズは広義のヴィジュアル系だと思います。
で、ロックはもっと壮大でラウドな方向に進化していきます。ハードロックですね。
そして煌びやかな人らも出てきます。
グラムロックですね。
このへん!このへんはもうかなりヴィジュアル系です!
で、デビッドボウイかっけえー!俺もやりたい!でもツェッペリンとかピンクフロイドみたいに難しいことできるかーい!!
てなってパンクが流行ります。
で、上のピストルズのテレビ出演をみて、かっけえー!俺もやりたい!!となった少年たちが、自由な発想で色んな音楽をやりはじめました。
パンク以前の音楽をオールドウェーブとすると、それらはニューウェーブと呼ばれました。
ニューウェーブにも色々あるのだけど、挙げたふたつは明確にヴィジュアル系とつながっていきますね。
日本のインディーズ黎明期にこれらが輸入されて、シーンができていきます。
あと前後するけど忘れちゃいけないのがKISS。
ハードロックのラウドさと、ビートルズのようなポップなコーラスワークとベースライン、何よりメンバーがメイクをしてそれぞれキャラクター化されていて、ライブというよりはショーとして構成されてるステージは、もうほぼ直接のヴィジュアル系の要素の始祖的存在だと思います。
で、ツェッペリンやピストルズやキッスかっけー!俺もやりたい!!となった日本の少年たちが、日本のインディーズシーンにたくさん現れ、いくつかはメジャーシーンに出ていきます。
その後輩たちも続々登場します。
なぜか、上の方々はヤンキーっぽいお客様が多くて、下の世代になるとオタク気質なお客様が増えていきますね。興味深い。
90年代後半には、この方々とさらにその少し下の後輩らへんの方々がもう少しだけ分かりやすい感じになってテレビに出るようになりました。
マスメディアは、なんとなく化粧しててファン層に女性が多い感じの彼らをひとくくりにしてヴィジュアル系と呼び始めました。
ぼくは、それをボンヤリとテレビで眺めていて、なんかかっこいいかも。。いや、すげーかっこいいぞ!ぼくもこうなりたい!!と思いました。
何がいいたいかというと、ロックンロールは人間をヒーローにするんです。
ロックスターというヒーロー。
そして、少年たちは60年以上に渡って脈々と、先人たちを見ては「ぼくもこんなふうにカッコよくやってみたい!」「ぼくだったらこんなふうにやるんだ!」を繰り返して今日に至るわけです。
ヴィジュアル系とは、今日の日本に残るその唯一の血脈なのではないでしょうか。
ヴィジュアル系という言葉は、マスメディアが作った分かりやすい呼び方でしかなくて、単に先人に憧れた結果、ヴィジュアル系と呼ばれたスタイルを踏襲していくうちに演る側にも見る側にも少しずつ共通認識が形成されていき、やがてひとつの文化になってったものだと思います。
途中から、少年たちが憧れる対象が国外から国内に割合が変わってっただけで、動機は同じだと思うのです。
それ見てニセモンだとかいう人の気持ちも、音楽ファンとしてはわからなくもないし、ぼくもそう思ってた時期があるのでアレなんだけど、ロック少年の立場からすると、黙れファックオフって話です。
実はヒップホップにも同じことが起きてるそうで、今の若いラッパーの方々は国内のいわゆる日本語ラップしか聴いてないって方々もそこそこいるらしいです。
それって、日本にヒップホップが根付いたとはいいがたくとも、日本語ラップは根付いたってことなので、喜ばしくないことではないんじゃないかと。
文脈大好きおじさんとしては、それはそれでちょっと寂しいというか、新しいことをやるにも、よっぽどの天才でもない限りルーツは認識しといたほうが色々うまくいくとは思います。少なくとも自分で曲づくりする派の人は。
とはいえ、シーンにディルアングレイみたいなバンドばっかだ!みたいなことを大声で言う人は、それも気持ちはわからんでもないんだけど、どこのシーン見て言ってるんだろう、とは思う。
まずDir en greyをちゃんと聴いたんだろうか。
で、DIR EN GREY以外をどれくらい知ってるんだろうか。
歌い方が〜とかよくいう人いるけど、歌い方だって数あれど、カッケェと思った歌い方するでしょうよ。
この方と、少し前のhydeさんやRYUICHIさん、つまりは今あるヴィジュアル系のボーカルスタイルの礎になった方々の歌い方には共通点があるのがわかると思います。
じゃあ彼らにも同じこと思うの?
で、多分DIR EN GREYっぽいと思われがちなバンドさんは、もちろんDIR EN GREYもリスペクトしてると思うし、不本意ながらジャンル分けするとすればいわゆるスクリーモとかメタルコアって呼ばれるような音楽性だったりするんだけど、それってV系黎明期の方々がその頃の海外のメタルやハードコアに影響受けてたのと何が違うのだろうか。
パンクも、メタルも、それ以外のラウドロックも、ヒップホップもEDMも、ぼくは好きです。
好きな音楽がたくさんあるし、日々増えていきます。
ぼくもああなりたい、と思って楽器を持って、今その時に自分がかっこいいと思う要素を、かっこいいと思うように取り入れて自分の音楽を構築する、というのは、ロックンロールが始まってから、ぼくがTHE NOSTRADAMNZをやっている今現在この瞬間までずっとずっと変わってないんです。
ただ先人たちのように売れてないだけですが何か!!!!👿💢💢💢
ぼくのヴィジュアル系への認識はそんな感じです。
つまりは極東の地に流れ着いたロックンロールの血脈の末裔としての一つのあり方なのです。
ちなみにアメリカにも似たような血脈があって似たような進化をしていて面白いですね。
収斂進化。
最近のV系で好きなバンドさんは?ともご質問をいただいたのですが、完全にお客さん目線ですごく観てて楽しいのはピクニックスですね。
そしてマイナス人生オーケストラ。
どちらも真面目に、贔屓目なしにです。
あと、未だ機会がなくて直接拝見したことはないのですが、映像とか観てすごく好きだなと思うのはLeetspeak monstersさんです。
めちゃくちゃかっこいい。
こうしてみると、どのバンドさんもどこかしらにKISSの遺伝子を感じますね。
そういう、エンターテイメントな化け物がどかーん!!みたいなもんが好きなんだと思います。
THE NOSTRADAMNZも白い人いるし、みんな歌うし、武器持ってくるし、結構KISS要素あるんでおススメです。
というかTHE NOSTRADAMNZは原理主義的なまでにヴィジュアル系な存在であることについても書きたいけど、あまりにも長くなるのでまたいつか。
今回はこのくらいにしといてやるぜ。
お題がある方は、お気軽にお申し付けくださいませ。
だいたいなんでも書きます!