踊らされてるのは 惨い あとさきに | 君を殺しても

君を殺しても

THE NOSTRADAMNZ Lucifer K nemoto

各位

こんにちルシファーです。

劇場アニメでゴジラ3部作が密かに公開されていたことをご存知でしたでしょうか。


前作のシンゴジラが鮮烈かつ中毒性が高くて何度も観たので、アレのあとにアニメかあ、と思いつつ、三本ともなんだかんだ映画館で観ました。
完結編がこないだ公開されて観に行ったので、だらだらと感想文でも書こうと思います。

ちなみに、スターウォーズとかもそうなんですが、何部作、みたいな形式のものは基本的に全部でいっこだと捉える星人なので、一本一本ではなくまるっとの感想ですし、ネタバレは全開です。

でもヴィジュアル系やってるおじさんが好きなハズのこのブログの読者層の皆様は多分観ないと思うし、そもそもネタバレして面白くない作品は紹介すらしないです。


結論、ぼくはとても好きでした。
でもシンゴジラのように頻繁に繰り返し観るようなことはやらないと思います。
というのも、すごく味が濃い感じがします。

何が濃く感じるかというと、これまでのSFとかアニメとか、いうなればオタクコンテンツ的なものの歴史が総てまるっとエッセンスとしてぶち込まれているなあという感じがします。

スペースオペラ的な世界観やガジェットは、やはりスタートレックや2001年宇宙の旅やスターウォーズなどを想起させるし、でもアニメだからどうしても宇宙戦艦ヤマト的に見えるし、違う立場の人間種の間の軋轢があったりとかモビルスーツ的なやつが出てきたりや幼馴染のヒロインとかはガンダムっぽいし、圧倒的な力に対してどうにか抗う主人公はどう考えても進撃の巨人のエレンだし、主人公にいつも優しい言葉をかけながら助言するけど実は敵の友達はどう考えてもエヴァのカヲル君だし、ヒトはどう進化するのか、みたいなとこもやっぱりエヴァを想起するテーマだし。

ぼくは王道どころしかわからないので、ホントにオタクレベルの高い方がみたらもっと色々挙がるんだろうなと思います。

でも、アニメの歴史だけで考えても、ヤマト、ガンダム、エヴァ、まどマギ、進撃の巨人と、それぞれ時代を代表するというか、ターニングポイントになった作品ばかりだし、それらが全部入ってるということは、めちゃくちゃ面白いんだけど、濃いなー!と思ってしまいますね。

で、肝心のゴジラはというと、ぼくはちゃんと、元々ゴジラがどういった存在なのかというところは問い直されているな、と感じました。

ヒトの文明が生み出した、抗いようのない巨大な力は、ヒトを罰する神の化身の役割をしていると思います。
またそれは、どこか文明の進化に怯えていたり、どこか後ろめたさを感じているヒトの罪悪感の化身でもあると思います。

それは、少なくとも初代ゴジラやシンゴジラにはあったと思うし、今回もちゃんとあったと思うので、怪獣プロレス観たかった感は否めなくとも、ゴジラというキャラクターの存在意義は果たされていたと思っております。

それに、ちゃんと旧シリーズの小ネタも包括してくれているというか、例えば「G細胞」とかは平成ゴジラでよく聞いたフレーズだったし、双子の女の子が出てくればモスラだってわかるし、キングギドラを操ってる「X星人」と今回の黒幕「エクシフ」は掛かってると思うし、最後に主人公が殉死するのも、やっぱり初代ゴジラを想起させますね。

あ、キングギドラでいうと、旧シリーズでは宇宙とか未来とかから来てたけど、今回は元々の舞台が宇宙行ってるし未来だしってことだからか、ギドラが異次元から来るってのも、ちゃんと話のスケール感に比例させたヤベェ奴みがあって良かったと思います。
物理法則を捻じ曲げる感じとかは使徒っぽい
イキフンもありますね。

でも過去作品へのオマージュや問い直しに留まらず、新しい視点のゴジラ像の提示もあったと思います。
従来は、自然の摂理を無視した人間の驕った文明の結果を、戦争や原水爆や原発になぞって問い直すような構造があったと思うのですが、今回はそういった人類の驕りですら実は自然の摂理の一部であり、ヒトはゴジラを生むための前座に過ぎなかったのでは、という裏を返すようなアプローチがあり、おお!マジか!そうかも!と感じました。

個人的には、主人公が最も信頼を置いていた仲間が黒幕だったパターンなのもポイント高いですね。
で、その黒幕がどう見ても日本神話とかっぽい髪型してて、それがヤマタノオロチをモチーフにしたギドラに繋がるところも、SFと古典神話が繋がるネタとして好きです。

あと、進んだ文明では数学的に解明されていることも、遅れた文明ではオカルトにしか見えなくて、というのも、次回語ろうとしているオウム真理教に何故インテリがハマったんだ問題と微妙にリンクしている気がします。

で、オチとなる、エクシフの進んだ文明が、世界を探求していった結果、総ては滅亡に帰結することがわかっちゃったんだ、というのも、直近で書いた、誰もが死に向かって生きているということと相同関係にあると思います。
主人公は、それに対して「いつか死ぬとわかってる自分が生きてきたのはなんでだっけ」をもう一度見い出すことでクライマックスを迎えますね。

なので、エッセンス一個一個はぼくが非常に好きなものばかりを詰め込んであるので、好きじゃないわけがないのです。

じゃあなぜ、シンゴジラを超えないのか。

多分、単に難しいからだと思います。
これは、わからなかったぼくやあなたの頭がすこぶる悪いというわけではなく、単純に、人物名とか諸々が覚えづらい横文字ばかりで、どれが何を指しているのかがなかなかこんがらがってわからなくなりがちなのです。
ほかにも、ゴジラとかを倒すための作戦に使われるアレコレの理論も、たぶん日本人の平均からするとSFモノが好きなほうではあるハズのぼくも、一回観ただけだとわかるようなわからないような仕組みになってたり。
虚淵脚本アニメで、しかもゴジラ、という作品を金払って観るくらいの観客ならそのくらいのリテラシーがあっても、という算段なのかもしれないけど、少なくともぼくには難しいなと感じられました。

このあたり、シンゴジラはうまくやっていたというか、専門用語の長ゼリフとかがバリバリ出てきて一瞬わかりづらいんだけど、それがあくまで「すごいリアルで専門的なこと言ってますよ今!」という記号的な役割をしているだけで、あれが解るかどうかとお話の根幹は全然別、という。

今回は、主人公たちの行動目的とかピンチな理由とかが、そのあたりの小難しい部分を把握できないと、よく解らなくなって、そのうち興味自体が薄くなってっちゃうという。

ぼくはシンゴジラの1回目は、しっかり読み取ろうとするあまり、専門用語や長ゼリフや説明字幕をいちいち拾おうとしてたので、逆によく解らなくなってあんまり楽しめなくて、回数重ねるごとに大雑把に観るようになってどんどん面白くなってったので、今回は実はその逆なんじゃないかと思います。
何度も観ようと思える方は、最初はざっくり観て、あとから元ネタや解説を参照しながら細部まで観ていくほうが楽しめるんじゃないかな、と思います。

あとは個人的に嫌だったのは、明らかに未成年に見えるキャラクターとの性行為を暗示するくだり。暗示というか、明示してるんだけど。
これはダメですね。
パンフレット読むと、下世話に見えないように気をつけたみたいだけど、全然下世話に見えるという。

やはりオタク文化総括的なところで、ハーレム要素やロリコン要素は入ってくるのかもしれないけど、この映画にそれは要らなかったというか、寧ろ逆に嫌悪感をもつ人も結構いるのでは。
少なくともぼくは、大人キャラクター同士とかティーン同士ならまだしも、大人の男性と女の子の組み合わせには、解ってても結構な嫌悪感があります。

あとは、収まるところに収まってほしい派なので、脳死状態の幼馴染ヒロインを差し置いてロリに走るの?!!みたいなイラつきみもありますね。

そのへん、キャラクター造型やロケーションも相俟って、もののけ姫も想起させますね。

もののけ姫はまださ、サンとアシタカにあんまり年の差は感じないし、サンと許嫁は両方石田ゆり子さんが声をやってるし、状況も状況だし、そんなにイラッとはしないんだけど。
千と千尋は、小学生が明らかに風俗嬢的なことをやるのにイラつくし、ナウシカやシータやキキや、ポニョですらも、隠しきれないムッツリ目線があるのがイヤですね。

ポルノは堂々とやるに限る!
ムッツリは本当に気色悪い!!
それでいうと、エヴァは堂々と全裸だし、セックスはがっつりセックスしてるからオッケー!!
まかせろ!!て感じですね。

逆にシンゴジラは色恋を一切排除してるから爽やかでいいですよね。

というわけで、それでもアニゴジは平成の終わりに相応しい、総括的な内容にもなっていると思うので、挙げた要素に好きな部分がある方にはおススメです。
Netflixとかで観られるというウワサなので、機会があれば是非。

次回は、平成の終わりかけ、今年の終わりかけということで、オウム真理教について思うところを書きたいと思います。
割と前回と今回の話にリンクすると思います。

それでは、さようなら😈

写真は演奏中に放射熱線を吐く直前のぼく。