ねもと こうへいくん のお母様、迷子センターまでお越し下さい | 君を殺しても

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THE NOSTRADAMNZ Lucifer K nemoto

あれから何年経っても振り返った瞬間もう自分がどっちから来たのか全くわからないルシファーです。

続きまして5曲目「踊る影」です。

これは「Pressure」の一曲目ですね。
えんどうさん作曲のディスコティックながらもロックステディとかの香りがしなくもないナンバー。
非常に歌メロがいいんですよね。
歌っていて非常に気持ちがいいし、今回の収録曲の中ではボーカル的にもベストな仕上がりなんじゃないかなと思っています。

ベースはプレッシャー収録版とは結構変えていて、イントロではいわゆるディスコ系の曲でよく使われるような、オクターブを交えたフレーズにしてあります。
中間部も、前回モロだったので流通に乗せるのはマズイかなと思って彷彿とさせる別フレーズにしましたが、余計にそれっぽくなってしまった感は否めませんな。
怒らんといて!!ぼくは結構そちらに客としてお金落としてますんで!!子供の頃から!!

細かい効果音とかも割と変わってますね。
リードシンセが入ると不思議とキッズ向けな雰囲気が出て、ポンキッキとかNHKみんなのうたとか子供向けホラーソングとして是非使って頂きたい仕上がりになっています。
こうね、夜中出歩いたりすると怖いのが出るよ!みたいな歌として。

ベースソロ明けの悲鳴はかみむらくんの声だったと思うのだけど、なんか排水口に吸い込まれるピエロみたいな画を想像してちょっと面白くなっちゃいますね。

で、それが歌詞の中身の話につながるんだけど、前にもちらっと書いた気がするけど、子供の頃に実態のないどうでもいいようなことに感じたいい知れない恐怖心みたいなものが基本のイメージソースになっていつつ、大人になるまでにも多々あった圧倒的な恐怖を覚えるような現実の出来事についても含めて歌っているのだけど、
先日初めて映画「IT」を観たんです。

古い方と最近のほう両方一気に観た。

そしたら、割とこの歌で描きたかったことそのままの話だったからびっくり。
映画を観て、平たく言えば言い知れぬ恐怖の実体化とその克服の話だと思いましたが、
この歌もそうなんです。

キーワード的にも、浮かぶ とか 踊る とか あなたのようであなたでなく、わたしのようでわたしでない、というあたりにも微妙に符合があるな、とか思ったり。 

極めつけに劇中マジでピエロが排水口に吸い込まれてったからびっくりですよ。
我々のプロモなんじゃないかと思ったよ。

でも、なんかの機会にかみむら版ペニーワイズを撮りたいですね。
バンギャルさんの潜在的恐怖の象徴として描きたいですね。
チケ発でイープラスの画面を前に格闘してたら画面いっぱいにあいつの笑顔とか、
本命への差し入れを全部あいつが食ってる悪夢を見るとか、
好きなバンド観に行ったら幕開いた瞬間全員あいつとか、
最前交渉しようとして声かけたら最前全員あいつとか、
チェキファイルから血が滴ってて見てみたら全部あいつになってるとか、
繋がりとセックスしたと思って寝て起きたら隣にあいつとか、
最後はそういう経験をしたバンギャルさんがツイッターの呼びかけでたくさんいたことが判明し、
実はあいつがガゼットさんあたりの頃にもディルアングレイさんあたりの頃にもエックスやバクチクの頃にも、もっと遡ったらグループサウンズの頃にも、はたまた能や歌舞伎の頃にも、シーンが盛り上がるたびに悪業を働いていたことを突き止め、
原宿の橋に集合したあとイエローハウスまであいつを追い詰めて「クソ麺」と罵って退治したあと、
次のバンドブームが来たら仕切りから連絡する約束をして各々の地元まで夜バスで帰るところで第2部に続く!

しかしエンドロール後、バックミラーに映った運転手が実はあいつ、というシーンで終劇

みたいなのを撮りたいですね。
有志の出資があれば脚本と監督は喜んで引き受けるので、お金持ちの方が読んでたらよろしくお願いします。
そしたらみんなエキストラで出してあげるね。


続きまして、6曲目「まいご」にまいります。

曲自体は割りかし前から、まさしく西新宿の6畳間に住んでた頃からある曲なんですが、完全に打ち込みでボコーダーボイスが乗ってるみたいな曲入れようよ、というかみむらくんのリクエストにお応えして引っ張り出してまいりました。

ノストラダムスが発足するより遥か昔にえんどうさんに送ったらギター入れて送り返してくれたことがあって、確かそれが凄い良くて感動したのよね。
やっぱりぼくからは到底出てこないコードワークやフレーズが盛り込まれていましたよね。

今回は完全打ち込みというお題だったので、基礎のキックとスネアはかみむらくんのドラムの音を切り貼りしてDAW上で組み立てつつ、サンプリングした王道のブレイクビーツを左右に散りばめてリズムトラックとしつつ、それ以外はEDMとエレクトロニカの中間みたいなイメージで作りました。
珍しくボーカルエディットまで自分でやって、コーラストラックとミックスはえんどうさんにぶん投げていい感じに仕上げていただきました。

なので、スリーピースバンドの構成ではないにせよノストラダムスという人たちでしか出来ないナンバーになっております。

歌詞は最初にできた時から変わってないんだけど、割りかしぼくの歌詞でよく出てくる「子供の頃はすごく幸せだったからこれ以上大人になりたくないし、懐かしいもの大好きだし、子供に戻りたい」的なテーマです。

ほんと、今も全然、Googleマップがクソの役にも立たないレベルの猛烈な方向音痴なんだけど、子供の頃もそれはそれはよく迷子になっておりました。
だいたいなんかしら興味を惹かれるものがあると一目散にそっちへ行ってしまって、あれ、と思って振り返るともう親がいないのよね。

何度やってもあれは悲しかったですね。
絶望感でいっぱいでした。

でもまいごセンターのお姉さんはいつも優しくて綺麗でとても好きでした。
ペコちゃんのアメくれるし。
だからまいごセンターのお姉さんのようになんでも笑って許してくれる方をお嫁さんにしたいもんですな。
まあ難しいよな。

そしておかんが迎えに来てくれたときの安堵感ね。
で、時には探してほしくてわざと迷子になりそうな行動をしてみたりね。
本当に良い両親の下に生まれたなあと思います。
そういう親がいることが決して当たり前じゃないことをだんだん知っていって、それだけでぼくの人生は非常に恵まれていると思います。

毎日、ソントンのチョコレートクリームや、おばあちゃんちで作ったいちごジャムが塗られた8枚切りのトーストと、97%が砂糖と牛乳でできているホットカフェオレが朝食でした。

ある日、川越の長崎屋で懲りずにまたまいごになったぼくをおかんは必死で探したんだって。
いつもなら割とすぐに見つかるのに、その日はぜんっぜん見つからなくて結構マジで焦ったらしい。
もうこれはお店の人に協力をお願いしようかと思ったまさにそのとき、階段の踊り場で商品のミッキーマウスのカバンを首からさげて嬉しくてニッコニコのぼくを発見したそうです。
かわいかったろうね。

ぼくは多分、ミッキーマウスのカバンがうれしかったんじゃなくて、おかんが必死に探してくれたことがうれしかったんじゃないかなと思います。
割と小さい頃のことをよく憶えてる方だけど、それは全く記憶にないけどな。

とにかくそういう性質のままぼくは大人になってしまった。
でも、いくら嫌だ思っても、いくら泣いて喚いても、身体は時を刻んで、戻らない。
老化したDNAは、ぼくに年齢どおりの皮膚をどんどん巻きつけていって、中身は子供のままなのに、まだまだウルトラマンや仮面ライダーに心ときめくのに、諸々の責務とやらを背負わなくてはいけなくなる。
そんな人生には、フロアマップもなければ、迷子センターもなくて、守ってくれる誰かを呼んでくれる店内放送もないんだな。

でも、子供の頃のオモイデを尊く思うのは今を生きているからであって、こうして雨風凌げる家に住めていて、愉快な仲間たちと最高にカッコいい音楽をやれて、それを喜んでくれる人たちがいる今この現在の状況も、きっともっと歳をとって不自由が増えて来たら、もしくは死んでしまうとわかったら、はたまた死んだあとに何らかで意識が残るとしたら、尊い時間だったと思うんでしょうね。

時間の経過って、ぼくにとっては最も残酷な暴力のひとつだったりします。
生きてきて何度も何度も過去に戻りたいと思ってきた。

でも全く、抗いようがないわけで。

後ろ向きであっても前に進む以外の選択肢は、この3次元世界に居る限りは絶対にないんですよね。

明日どの道を選択するのが未来から見て最良なのかは誰にもわからない。
だからぼくは永遠にまいごなわけですな。
ぼくだけじゃなく、人類総迷子だと思います。

でも、明日が不安でたまらない人混みの中で、ハッと何か拠り所になるような、まいごの呼び出しのアナウンスのような音楽をやりたいと思います。
それが残酷な物語を歌っていたとしても、誰かがそれを楽しみにしながら、まいごの日々を生き抜けますように、とマジで思っていますよ。

これはよくまいごになっていたミッキーマウスバッグの子供がミッキーマウスのコスプレをしている秘蔵写真です。
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