『かっぱの妖怪べりまっち』102話「ダイダラボッチ」 | おばけのブログだってね、

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2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

 

力持ちで不器用で泣き虫な『ダイダラボッチ』の話

『ダイダラボッチ』とは、日本の各地に伝わる巨人のこと。

 

かっぱが『そうはちぼん』と一緒に宇宙まで飛んだあげく、秋田の田沢湖に落ちる様子を太平山(たいへいざん)から見ていた妖怪がいた。

おい、大丈夫か?と声が聞こえたので、へっちゃらだ気持ちいいくらいさ、と言ったら奥羽山脈が揺れるほどの大声で笑ったのが巨人の『ダイダラボッチ』だった。

 

『ダイダラボッチ』は秋田県横手盆地の干拓でひと働きしたあと太平山でのんびりと暮らしてきたが、本心は今でも皆んなのために力を発揮したいとのこと。

それではとかっぱがあっ旋したアルバイトは、壊れたロープウェイに代わり手のひらで観光客を運ぶ仕事だった。

ぬくもりを感じるシートが話題を呼び、たくさんの人が押し寄せた。だが長蛇の列に急き立てられて慌てた『ダイダラボッチ』は人を降ろすときに転がしてしまい、山頂で数名が行方不明になった。

俺は都会に行きたいというのでビルの建設現場に連れて行った。

重たい建設資材をつまんで運び、指一本で地中に杭を打ち込んで喜ばれたのだが、作業中にクシャミをして、いよいよ完成間近のビルをグッシャリとやってしまった。

次は四国と本州の架け橋になる仕事を紹介。

四つん這いになり、クルマや人の往来を背中で支えていたが、漏らしたおならで瀬戸内海の船を転覆させてこの仕事もクビになった。

ああ何をやってもダメだと大泣きして川が氾濫、慌てたかっぱは『ダイダラボッチ』の頭に乗り、有ること無いこと言ってなぐさめた。素直な『ダイダラボッチ』はすぐ笑顔になり、また次の仕事に出掛けて行ったよ。

その様子を観ていた漫画家が、頭部に乗った人が大きなロボットを操作する作品を描いたって聞いた。誰かその漫画のタイトルを知らないかな。