『かっぱの妖怪べりまっち』99話「すねこすり」 | おばけのブログだってね、

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2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

 

ダイダラボッチを大泣きさせた『すねこすり』の話

人の足元にジャレついて相手を転ばせるいたずらな妖怪『すねこすり』が、全国的に姿を消しているという。

かっぱは情報ツウの小豆洗いに頼んで、事情を探ってもらった。

 

人なつこくて愛嬌があり、毛むくじゃらで子犬のような風貌の『すねこすり』は、最近、インターネットの普及で世界の妖怪マニアからも注目を浴びるようになっていた。

数日後、『すねこすり』が何者かによって捕獲され、横浜の港に集結しているという情報が飛び込んでくる。これは妖怪ブローカーによる海外への密売じゃないのか?

かっぱは小豆洗いと一緒に深夜の横浜港に急いだ。

案の定、岸壁に積まれたコンテナからは強い妖怪臭がする。コンテナ周辺には獣の毛が散乱し、捕獲された『すねこすり』が中にいることは間違いない。かっぱはすぐさま怪力の妖怪ダイダラボッチに応援を頼んだ。

頑丈なコンテナもダイダラボッチに掛かれば一発でこなごな。何十匹という『すねこすり』が一斉に飛び出してきたよ。

よし逃げろー!と走り出したとたん、『すねこすり』がジャレついてきて、かっぱも小豆洗いも、そしてダイダラボッチまでがすってんころりん。起き上がって走ろうとしてもまた『すねこすり』に脚を取られてころりん。

巨大なダイダラボッチは横浜ベイブリッジで膝をしたたかに打ち、痛い痛いと大泣きするものだからその夜の横浜は気象庁も予想し得なかった強い揺れと大雨に見舞われたというわけ。