おばけのブログだってね、

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The 25th Anniversary of Formation


■イベント情報

「深川お化け縁日2024秋の陣」


10/6(日)


資料館通り商店街(白河三好3丁目付近)にて


11:00~16:00 小雨決行


 


 



■キノコソング新曲『炎のカエンタケ』

炎のカエンタケ(YouTubeで観る)

■お風呂ぴかぴか『垢なめさんにご用心』

垢なめさんにご用心(YouTubeで観る)

■あの世へひとっ飛び♪『浮かれ小町がお連れします』

浮かれ小町がお連れします(YouTubeで観る)

■アマビコ、アマビエに続く第三の予言獣『アリエ』

アリエ(YouTubeで観る)

■キノコソング『食べられません』

食べられません(YouTubeで観る)

■ステイ・ホームの曲『ざしきわらしのお願い』

ざしきわらしのお願い(YouTubeで観る)

■『かっぱもやってるくねくね体操』

かっぱもやってるくねくね体操(YouTubeで観る)

■キノコソング『小さな宇宙人』

小さな宇宙人(YouTubeで観る)

■キノコソング『胞子を飛ばせ』

胞子を飛ばせ(YouTubeで観る)

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2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

※131~174話まで、43話から登場したオリジナル妖怪たちのエピソード続編となります※

 

ワイルドなバンド仲間「ロックンロール首」その後の話

河童仲間で結成したロックバンド"ザ・ディッシュ"でかっぱが歌っていた頃、女の子に騒がれていたのが『ロックンロール首』が集まったバンド"ハイネックス"だった。

にんげんにとっておかしな様子であるほど化けの世界ではモテモテ。ロックのリズムで頭を振っているうちに際限なく首が伸びてしまった妖怪『ロックンロール首』たちのカッコ良さに、ライブ会場では化け女子の黄色い声が飛びまくる。

かっぱもなんとかモテたくて、歌いながら腕を伸ばして見せたが反応はいまいちだった。

そんな"ハイネックス"だが、その人気とは裏腹にライブハウスからは問題視されていた。なにしろ、首を振り回してステージライトは割るし、天井に穴を開けるし、興奮したボーカルの伸之介くんが頭突きでお客さんをなぎ倒し、挙げ句にはメンバー同士の首が絡まって窒息、救急車騒ぎになったからだ。

でも、かっぱはそんなワイルドさがうらやましかった。

かっぱなんてせいぜい、頭の皿の水をステージにこぼして叱られるくらいだったからね。

だからライブハウスのスタッフさんが"ハイネックス"を悪く言うのを聞いて黙っていられなかった。

"ハイネックス"だけを悪者に出来ない、そう思ったかっぱは、ライブ中にメンバーと相撲をとって会場に投げ飛ばし、投げ込まれたメンバーは手当たり次第にお客さんの尻こだまを抜き、かっぱも音響、照明スタッフさんの尻こだまを頂戴して、会場は大混乱の末、河童類以外は全員失神という前代未聞の珍事件を巻き起こした。

当然、"ザ・ディッシュ"も大目玉を食らうが、この一件で"ハイネックス"とは認め合う仲になったんだ。

数年前、ボーカルの伸之介くんが餅をつまらせて喉を痛めてから"ハイネックス"は今日まで活動中止状態。

かっぱを含め、当時のファンもみんな、"ハイネックス"が復活するのを首を長くして待っているところだ。

2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

※131~174話まで、43話から登場したオリジナル妖怪たちのエピソード続編となります※

 

恋を振りまく妖怪の育て方「恋々魔」その後の話

『恋々魔』は恋の粉を振りまく妖怪で、姿は蝶々によく似ている。

春になると現れて、夏に最盛期を迎え、冬になると見なくなる。

 

農園のレモンの樹で育つアゲハ蝶を見ながら、この『恋々魔』もどこかで卵から幼虫、サナギになっているはずだ、そう思ったかっぱは一匹の『恋々魔』の後をつけて行った。

繁華街を飛び回り、街行く男女にさんざん恋の粉を振りまいた『恋々魔』は、やがて夕暮れの空を里山に向かい、たどり着いた先は夜の墓地だった。

怖くて震えたが『恋々魔』の姿を見失わないよう目をこらし続けていると、小さなお墓のあたりから光の玉がふわ~っと立ちのぼった。

驚いたかっぱが腰を抜かした瞬間、『恋々魔』は光る玉を捕まえるように飛んでいき輝く糸を巻き付け、あっという間にマユをこしらえて近くの梢にくくりつけた。

よく見ると墓地のあちらこちらでマユがキラキラと光を放っている。

中にはマユを割って出てこようとしている小さな『恋々魔』もいて、その様子にかっぱは怖いのも忘れて、ただただ感動していた。

翌日、再びその墓地に行って判ったことは、それはこの世に生まれて来れなかった水子たちのお墓だということ。

子供の魂が『恋々魔』として生まれ変わり、この世に愛の種をまいていたのだった。

 

また輝くマユを作る様子を観察したいのだが、誰か墓地まで一緒に行ってくれないかな。

2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

※131~174話まで、43話から登場したオリジナル妖怪たちのエピソード続編となります※

 

新たなる接触「留守電小僧」その後の話

その日、家に戻ると留守電が残っていた。

幼い声でこんなことを言っている。

「あ、お母さん?ボクだよボク、息子だけど」

かっぱにはもちろん、思い当たる節がない。

「ボク、風邪気味で声が変なの」

「あのね、大変なことになっちゃった」

と矢継ぎ早に言う、自称・息子。

「ボク、友達のシュークリームを踏んじゃったから弁償しないといけないの。警察にたいほされるからシュークリーム1箱、早く持ってきて!」

と、ここでメッセージは終わっていた。

以前も紹介した『留守電小僧』、しばらく留守電も途絶えていたものですっかり忘れていた。

かっぱは次の連絡を待った。なにしろ、シュークリームをどこに持って行けばいいのかわからないからね。

かっぱが席を外した隙をついて留守電が入った。

道路を渡った先にある小学校の裏口で待ってると言う。

近くのケーキ屋さんでシュークリームを調達し、小学校に急いだ。

いよいよ『留守電小僧』とご対面だ。

しかし校舎の裏口に人影はなく、そのかわり受話器の外れた公衆電話があった。

受話器を耳に当てると、「今度は隣のコンビニ前に来て」と自称・息子のメッセージが聞こえた。

コンビニ前の公衆電話も受話器が外れている。やはり、受話器からは小僧のメッセージが流れ、「公園のベンチにシュークリームを置いておけ」と言っている。勝手なもんだ。

かっぱは公園のベンチに箱を置き、隠れて様子を伺った。

ほどなくすると、頭にアンテナを立てたおかしな小僧がやってきた。あれだ。『留守電小僧』に違いない。

小僧はベンチにそっと近づく。かっぱも、小僧の後ろからそっと近づき、ポンっと肩を叩いた。

小僧は驚いて飛び上がり、かっぱを見て腰を抜かした。

こら!これは近頃、話題のボクボク詐欺だろう?と言うと、小僧は泣きながらぺこぺこ頭を下げるばかりで一言も口をきかない。

どうも、留守電以外ではしゃべるのが苦手なようだ。

反省した様子なので、一緒にシュークリームを食べた。

色々と聞きたいことはあるが、それはまた後日にしよう。