おばけのブログだってね、

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The 27th Anniversary of Formation

妖怪プロジェクト名義 通算7thアルバム


『恐怖 ! 猫かぼちゃ』


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2024年12月1日発売 全12曲


¥2000(税込)  送料別途 ¥200


16年振りの新作かつ最高傑作が完成しました。


ぜひお聴きください。



■イベント情報

決まり次第お知らせします。

■キノコソング新曲『炎のカエンタケ』

炎のカエンタケ(YouTubeで観る)

■お風呂ぴかぴか『垢なめさんにご用心』

垢なめさんにご用心(YouTubeで観る)

■あの世へひとっ飛び♪『浮かれ小町がお連れします』

浮かれ小町がお連れします(YouTubeで観る)

■アマビコ、アマビエに続く第三の予言獣『アリエ』

アリエ(YouTubeで観る)

■キノコソング『食べられません』

食べられません(YouTubeで観る)

■ステイ・ホームの曲『ざしきわらしのお願い』

ざしきわらしのお願い(YouTubeで観る)

■『かっぱもやってるくねくね体操』

かっぱもやってるくねくね体操(YouTubeで観る)

■キノコソング『小さな宇宙人』

小さな宇宙人(YouTubeで観る)

■キノコソング『胞子を飛ばせ』

胞子を飛ばせ(YouTubeで観る)

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2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。
11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。
当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

 

増殖する小僧妖怪「桐一兵衛」(きりいちべい)の話

駅前のお肉屋さんで働くマイさんは、町の美人コンテストで優勝したこともある素敵なお姉さんだ。

店のお惣菜コーナーにある揚げたて牛肉コロッケはマイさんの手作りで、夕方を待たずに売り切れてしまう人気ぶり。かっぱもよく走って買いに行くのだが、空振りに終わったのも一度や二度ではない。

しかし、その度におしゃべりしたり、内緒で焼き鳥を1串もらったりして、すっかりマイさんと仲良しになった。

 

そんなマイさんに、最近、悪い虫が付いた。

町外れに住むバツイチの中年男だ。

時代遅れの二枚目で、鼻の下を伸ばしながら毎日コロッケを買いにお店に通い、ついにはマイさんの心をつかんでしまった。

この中年男には複数の女性の影がチラチラしていることを知っている町のみんなは、疑うことを知らないマイさんと中年男の恋の成り行きに気を揉んだ。

野暮だと思いながら、かっぱもかなり揉んでいた。

しかし、一番、イライラしていたのは肉屋のおじさん、つまりマイさんのお父さんだろう。

中年男がコロッケを買いに来るたび、店の中から様子を伺いながらおじさんは肉切り包丁をバンバン振り回していた。

ある日、かっぱがいつものようにお店に行くと、おじさんが一人でコロッケを揚げている。マイさんは?と尋ねると、中年男との交際を反対したら怒って出て行ってしまったそうだ。

コロッケを揚げるフライヤーにおじさんの涙が落ちて、ジュージューと油が跳ねる。

こうなったら、かっぱがひとはだ脱ぐしかない。

 

肉屋のおじさんにかっぱの計画を打ち明け、マイさんの心に揺さぶりを掛ける作戦に出た。それでも好き、と言うなら仕方ない、おじさんは決意を胸に肉切り包丁を握りしめた。

決行日、マイさんはいつものようにコロッケを揚げ、中年男はそれを買いにやって来た。

店の裏でスタンバイしていたかっぱは、連れてきた子供を指さし、

「この子を約束通りふたつに切ってください」とおじさんに頼んだ。

さすがに躊躇しながらも、エイヤっとおじさんは包丁を振り上げる。不思議、切られた子供はふたりになった。さらにエイヤっ、エイヤっ、そのたびに子供がどんどん増えていく。

「お父さんは店の外に来ているよ!」とかっぱが声を掛けたとたん、子供たちは「お父ちゃんに抱かされ!」と叫びながら、中年男に突進して行った。

この子供、実は『桐一兵衛』(きりいちべえ)という小僧妖怪で、斬られると倍々に増え、父親と思った男性を追い掛ける特徴があるのだ。

突然現れた子供たちに、お父ちゃんお父ちゃんとしがみつかれて驚いた中年男は、すっかり我を忘れてしまった。

マキの子か?それともミハルの子か?いやもう少し大きいはずだから、ナオミの息子だな、などと口走っていたが、続々出てくる『桐一兵衛』たちに押し倒されてついには、ガキドモ!どこかに行け!と『桐一兵衛』を蹴飛ばし投げ飛ばし始めた。

頃合いを見て、かっぱがニワトリの真似をしてコケコッコーと叫ぶと『桐一兵衛』たちは、朝になったから帰ろうと言い、一瞬にして消えた。

その一部始終を見ていたマイさんの恋心もまた、『桐一兵衛』と共に消えたのだった。

 

中年男はいつのまにか町から姿を消した。

以来、肉屋のおじさんはマイさんに内緒で、かっぱにコロッケをひとつおまけしてくれるようになった。

2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。
11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。
当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

 

怨みを胸に真冬の海をさまよう「海難法師」の話

今日は東京都伊豆七島に現れる『海難法師』の話をしよう。

『海難法師』は妖怪よりも、もっともっと怖い本格派の幽霊だ。

ずっと昔のこと、伊豆七島の人々はわざと海の荒れる日を選び、自分たちを苦しめてきた悪代官に島巡りを勧めた。そうとも知らず船を出した豊島忠松は波に飲まれた。

この忠松の怨みが『海難法師』となり、今でも島々を巡るという。

忠松が沈んだのは旧暦の1月24日、その日になると島の漁師たちは決して船を出さず家にこもる。

この話は、かっぱオヤジから幾度となく聞かされた。

実際にオヤジは『海難法師』に遭遇したからだ。

 

オヤジが若く血気盛んだった頃のこと、河童仲間が品川沖で寒中水泳大会をやろうと言い出した。

負けん気の強いオヤジは誰より必死に泳いで、気づいたら東京湾を離れ、ずっと沖合に出ていた。振り向いたが仲間の皿は一枚も見えない。

ざまあみろといい気になってぷかぷか浮いていたら、向こうからおんぼろの木製タライ船が流れてきた。

よく見ると船にはひとり、やけにむくんだ土色の顔の人がいて、こちらを睨んでいる。

タライ船は水面をスルスルと滑り、気づいたらもう目の前にいた。

目を血走らせ、びしょ濡れのざんばら髪を頬に張り付けたその人は、どう見てもこの世のものではなかった。

オヤジを凝視し、おまえはどこの島の者だ、と声を掛けてきた。

オヤジは、品川は鮫洲の河童でございます、と返答すると、何も言わずタライ船は波間に消えていった。

そこで、怖気をふるったオヤジは、煙が立つほどの猛スピードで陸に泳ぎ返したという。

話を聞いた仲間が、それは伊豆七島の『海難法師』だと教えてくれた。

だいたいおまえは張り切り過ぎだとか、土左衛門にされずに良かったなと散々からかわれたが、オヤジはちっとも笑えなかった。

「だから年明けから春先までは絶対に伊豆七島のほうに泳いで行っちゃダメだぞ」と、かっぱと妹は耳にタコが出来るほど言い聞かされた。

 

そのオヤジがなぜ、ひとり再び伊豆七島を目指し海に出たのか、はっきりとした理由は判らない。

若い女河童でも追い掛けて行ったのか、はたまた『海難法師』と決着を付けるつもりだったのか。

出掛けてからそろそろ15年。

どこかで悪さなどしていなければ良いのだが。

2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。
11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。
当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

 

森をうるおし、人を迷わす「オンボノヤス」の話

かっぱと霧を吐く妖怪オンボノヤス

野生のキノコを求めて山に入った。

おいしいキノコから華麗な毒キノコまで夢中になって収穫し、背中のカゴは一杯になった。

ふと気づくと、周囲は真っ白。

いつのまにか山は深い霧に覆われていた。

右も左も判らず途方に暮れたが、まあ焦っても仕方ない、カゴを置いて霧が晴れるまで一休みしよう。

切り株に座り鼻歌を始めた。

♪当たるもキノコ~当たらぬもキノコ~霧に当たってよく育つ~

するとどこからか、それに合わせて歌う声が聴こえる。

♪当たるもキノコ~当たらぬもキノコ~霧に当たってよく育つ~

誰かいるようだ。

歌が聴こえるたびに、だんだんと霧が晴れていく。

見知らぬ声とかっぱは張り合うように大声で歌い、歌声は山々にこだまする。

気がつくと霧はすっかり消えて、樹々の間から声の主が現れた。

『オンボノヤス』だった。

 

『オンボノヤス』は山の中に棲み、口から霧を吐く妖怪だ。

たくさんのひとが『オンボノヤス』の霧で道を見失い遭難している。

今回は、歌に気をとられて霧吐きがおろそかになったらしい。

かっぱと『オンボノヤス』はしばらく一緒に歌って過ごしたが、そろそろ里に戻ろうとかっぱが腰を上げたところ、まだ行くなと猛烈に霧を吐き始めた。仕方なく腰をおろして一緒に歌う→すると霧が晴れてくる→帰ろうとする→霧を吐かれる→一緒に歌う、の繰り返し。

そこで、かっぱと下山すればいつでも一緒に歌えるしライブも楽しめるとそそのかしたところ、喜んで着いて来た。

昨年の秋、横浜でしばらく霧が続いたのはそういう訳だ。

しかしほどなくして『オンボノヤス』は山に戻って行った。

空気が乾き、山のキノコが出なくなったという話を聞いたからだ。

決してひと迷わせるためではなく、山の植物や菌類を育てるため『オンボノヤス』はせっせと霧を吐いていたんだね。

たくさんキノコを育てておくれ、と『オンボノヤス』を見送った。

秋になったら、大きなカゴを背負ってまた会いに行こう。