おばけのブログだってね、

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The 27th Anniversary of Formation

妖怪プロジェクト名義 通算7thアルバム


『恐怖 ! 猫かぼちゃ』


←ご購入はイラストをクリック


2024年12月1日発売 全12曲


¥2000(税込)  送料別途 ¥200


16年振りの新作かつ最高傑作が完成しました。


ぜひお聴きください。



■イベント情報

5月3日(日・祝)


『深川お化け縁日・春の陣』


資料館通り商店街にて 11:00~16:00(小雨決行)


妖怪プロジェクト・ストリートライブ


デイリーヤマザキ白河店さん前 ① 13:00 ② 14:00 ③ 15:00



■キノコソング新曲『炎のカエンタケ』

炎のカエンタケ(YouTubeで観る)

■お風呂ぴかぴか『垢なめさんにご用心』

垢なめさんにご用心(YouTubeで観る)

■あの世へひとっ飛び♪『浮かれ小町がお連れします』

浮かれ小町がお連れします(YouTubeで観る)

■アマビコ、アマビエに続く第三の予言獣『アリエ』

アリエ(YouTubeで観る)

■キノコソング『食べられません』

食べられません(YouTubeで観る)

■ステイ・ホームの曲『ざしきわらしのお願い』

ざしきわらしのお願い(YouTubeで観る)

■『かっぱもやってるくねくね体操』

かっぱもやってるくねくね体操(YouTubeで観る)

■キノコソング『小さな宇宙人』

小さな宇宙人(YouTubeで観る)

■キノコソング『胞子を飛ばせ』

胞子を飛ばせ(YouTubeで観る)

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おばけのブログだってね、

2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。
11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。
当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。
※214〜257話までオリジナル妖怪たちが登場します※

 

ひとを絶望に追い込む「夢しぼり」の話

「もう人生に夢はありませんさようなら」という手紙を残し、

高校の屋上からついに3人目の生徒が飛び降りたと聞いて、ようやく事の次第に気づいたかっぱは、再びハルトくんのアパートに急いだ。

ハルトくんの隣の紳士はすでに姿を消し、部屋はもぬけの殻だった…。

 

バンド仲間だったハルトくんは、高校を卒業したばかり。

僕はプロのミュージシャンになる、と瞳を輝かせながら夢を語る姿に、周囲のみんなが応援していた。

ところがある日、ハルトくんは全くの別人になって現れた。

「ただアルバイトして自分が食べられればそれでいいんです」と暗い目をしてかっぱに言う。

かっぱがあわてて、音楽の夢はどうしたの?と訊くと、

「音楽?夢?腹の足しにもなりませんよ」とクチビルをゆがめ鼻で笑った。

かっぱはびっくり、期待していた周囲の人々もがっかりだ。

突然、何があったのか。

話を聞いてみようと翌日、ハルトくんの住むアパートを訪ねてみた。

扉を叩くが返答はない。

すると隣の部屋から恰幅のいい紳士が顔を出した。肌はつやつやで、栄養は十二分に足りているといった感じ。

「留守ですよハルトくんは」とむっちり紳士が声を掛けてきた。

かっぱは違和感を持ちながら帰った。

 

そんなある日、ハルトくんのアパート近くにある高校の学園祭に妖怪バンドが呼ばれた。

どんな学校でも学園祭はかなり盛り上がるのだが、ここは音楽を楽しもうという気配がみじんもなく、かっぱ達は心底がっかりだった。

生徒はみんな、暗い表情で足下を見ながら歩いている。

高校生ってこんなだっけ?

キャーキャー騒ぎながら楽しそうに生きていなかった?

片付けた荷物をワゴンに積み込んでいると、見覚えのある紳士が教員室に入って行く姿を目にした。いや、以前よりも格段に太っている。

あの、ハルトくんの隣の部屋の住人はこの学校の先生だったのか…。

 

…ハルトくんの異変、高校生の暗い表情、

あの紳士が『夢しぼり』だともっと早く気づくべきだった。

空っぽの部屋を前に、かっぱは悔やんだ。

『夢しぼり』は妖怪ではない、悪魔の手先だ。

自分では夢を持てないから、ひとから搾り取った夢を糧に生きながらえている哀しい存在なのだ。

夢を取られたひとは生きる意味さえわからなくなり、絶望し、ときには自ら命を絶つ。

でも大丈夫、『夢しぼり』が姿を消せば、ハルトくんや高校生たちにはまた新しい夢や希望が芽生え始めるだろう。

ひとはただごはんが食べられればいい訳ではなく、たとえ一握りでも夢や希望があってこそ生きて行けるのだと、かっぱはこの一件で思い知った。

 

ここ十数年、『夢しぼり』が日本のあちらこちらで暗躍するようになった。

無理、無駄、無意味、お金にならない、、、こんな言葉に気をつけて。

こんな言葉を連発していることに気づいたら、自分の心を見つめ直して欲しい。

2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

※214〜257話までオリジナル妖怪たちが登場します※

 

お化けだって怖いんだ「宿貸し」の話

かっぱと子供が布団で並んで寝る様子

バンドで東北のある町に向かった。

予定より帰るのが遅れ、今夜は泊まろうという話になる。

きっとこの先にビジネスホテルか民宿でもあるだろうと見当を付けてワゴン車を走らせたが、街道沿いには何もない。

仕方なく少し道をそれたその先に、小さな民宿の看板を見つけた。

クルマを停めて入口からこんばんはと声を掛けたが、返事はない。

もう2、3回、叫んでみたところ、奥から小学生くらいの男の子が出てきた。

男の子は季節に似合わない小さな浴衣姿だ。

誰かいますか?と尋ねると、すぐに帰ります、と答える。

部屋はあるのでどうぞ、と慣れた様子でかっぱ達を招き入れた。

通されたのは掃除も行き届いた大きい部屋だった。

荷物を置くと、さっきの子供がやってきて、お風呂沸いていますよと言う。

いつもお手伝いをしているんだろう、タオルや浴衣も用意してくれた。

お風呂から出てごろごろしていると、お食事をどうぞと、またさっきの子供が言いに来た。

食堂にはひとりひとり、お膳が用意されていた。

おかずは焼いた川魚や山菜と素朴なものだったが、みんなお腹がすいていたので満足だった。

ただ、茶碗もお椀も箸も小さくて、子供用みたいだ。

そのあいだ、さっきの男の子がごはんをよそったりお茶を煎れたりと面倒をみてくれる。親御さんはまだ戻らないのかと尋ねると、はい、と答えた。

部屋に戻ると疲れもあって、早々と布団を敷いて横になった。

知らない所では怖くて寝付けないかっぱも、あっと言う間に眠ってしまった。

しばらくして、部屋の障子が開く気配で目が覚めた。

見ると、宿の男の子がもぞもぞしながら入ってきて、怖くて眠れないので何かお話してください、と言う。

かっぱも眠たかったが、まあそう言うならと、楽しい話をひとつふたつした。

ありがとう、と言って男の子は出て行った。

またうとうとした頃、再びあの子が部屋に入ってきた。

今度はどうしたのと訊くと、怖くて眠れないので一緒のお布団で寝てください、と言う。やれやれ、と思いつつ、隙をみて尻こだまも頂戴するかと心のなかでほくそ笑んだ。

さあどうぞ、と少しずれて、男の子と並んで横になった。

またうとうとした頃。

ひんやりとした感触に思わず飛び起きた。男の子のおねしょだった。

かっぱはつい、わあ!もう一緒に寝られないよ!と叫んでしまった。

次の瞬間、かっぱ達は何もない草むらに横たわっていた。

その男の子は、一人で寝るのが怖くて毎晩、宿を開いて誰かを待つお化け『宿貸し』だったのだ。

2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

※214〜257話までオリジナル妖怪たちが登場します※

 

毛の悩みを深める「毛深怪」(もうしんかい)の話

毛深怪と梳かされた髪

昭和も初めの頃の話。

その子は嫁入りが決まった。

相手は夏祭りで知り合った隣町のイケメンだ。

今も昔も変わらないが、お嫁さんになる前に多少でもきれいになっておきたいのが女心。

ちょうどそこへ小間物の行商人がやってきた。

へちま水や椿油、おしろいを求めると、行商人は結婚のお祝いにと言って一枚のクシを置いて行った。

そのクシを使うと髪は豊かに輝き、肌まで美しくなり、鏡の中の自分は日を追うごとにきれいになる。

喜んで朝に夕べにと髪をといたのだが、生来、面倒臭がりなその子は、クシに絡んだ抜け毛をそのままにしていた。

いよいよ花嫁になるその朝のこと、いつものように髪をときながら鏡をのぞいたその子は悲鳴をあげた。

まるで男性のように顔中、ふさふさと毛が生えていたのだ。

 

その不思議なクシは大陸から渡って来たという話だが詳しいところは知らない。

大切に扱えば必ず美しくなれるこのクシを巡り、江戸の遊郭では殺傷事件まで起きたそうだ。

ただ、扱い方を間違えるととんでもない目に遭うことが次第に明らかになり、『毛深怪』(もうしんかい)と呼ばれたこのクシは表舞台から消え、一部の行商人の間で密かに取引されるようになった。

美しくなれるか、毛で苦しむか、それは使うひと次第のようだ。

 

この話をしたところ、とある仲間から『毛深怪』をどうにか手に入れたいと頼まれ、探しまわった結果、先日、横浜中華街の裏道にあるアジア系雑貨屋の店先で見つけた。

薄毛に悩むその仲間は、抜け毛をわざとクシに残せば翌朝には毛がふさふさになると想像したようだが、怒った『毛深怪』がどう出るかは実際のところわからない。

ふさふさか、パラパラか、つるつるか。

どっちに転がるか静観しようと思う。