はーい。暇なんで更新します。
今回はPIERROTインディーズ期の2作目。インディーズなのに透け感?ホログラム?が素敵な、金かかってそうなアートワーク。
『CELLULOID』
01.セルロイド ★★
キリト作曲。鉄製の扉を開けるSEから開幕。ヘヴィかつ不協和音満載、ベースがとにかくブリブリとうねりまくり、珍しくスラップも登場。不穏な空気を更に混ぜる。サビはメロウに聴かせ、歌詞も重苦しい。PIERROTによくあるタイプの曲で突き抜けた要素は無いものの、不協和音っぷりとヘヴィさはデビュー後にも勝るとも劣らない。
02.Adolf ★★☆
アイジ作曲。変態性そのままにスピード感を増し、ヒトラーをテーマにまさに独裁者の演説のような妙な説得力を持つメロディ。なんつーか、愛だ恋だ青春だ、政治だ環境だ地球だなんだという、世に流れる曲とは全く違う次元。PIERROT以外には作れない音楽だと思う、マジで。だってアドルフとかどんな曲だよってタイトル見て思うけど、超アドルフ。こんなアドルフな曲普通作れんよ。聴いてみて。
活動全期に渡って演奏されている代表曲の一つ。振りが有名ですが、非常に単純で誰でも真似られるけど、キリト扇動のもとファン一体となって繰り広げられる光景は圧巻の一言。別にCDで聴いてもさほど好みではないのですが。
03.脳内モルヒネ ★★★★
アイジ作曲。相変わらずタイトルからしてヤバい。ミディアムめで歌謡曲テイストなものの、重厚かつ独特なリズム、笛の音のようなギターシンセが実に奇妙。全てが猟奇的。Bメロが特にリズミカルで好き。そして変態性を十分見せつけたうえで展開される軽やかでポップなサビメロ、これがまた怖いんだわ。モルヒネ投与ドーパミン過剰放出、完全にハイ。これもまた全期に渡る代表曲。キリトの振りは非常にダサいのだけどそれがまた曲に合ってるんだわ…。
04.Twelve ★★★
アイジ・TAKEO作曲。TAKEOがクレジットに乗る楽曲はこれのみ。ようやく普通の曲です。前作『パンドラの匣』にもあったような、哀愁疾走する歌モノ。これがまた適度な重さと繊細な音作りが秀逸で、ドラムアレンジも一筋縄ではいかない。ただサビは思ったよりサラッと流れて行くのが勿体ない、故にかなり影の薄いい曲。それもまたPIERROTらしいと言えるのですが。間奏後のCメロは素晴らしい。
05.鬼と桜 ★★
キリト作曲。琴の音色とシンセが和を感じさせるミディアム曲。歌い方もなんだか大仰で平安な感じ。Bメロで幾分メロディアスになるも、サビでは更に大仰に、鬼へと変貌する絶望的なシーンを描き出す。重苦しすぎない程度に荘厳で、雰囲気は非常に良い。ただしメロディが弱い。ライブの演出は圧巻なんですけどねえ。
06.HUMAN GATE ★★★★★
アイジ作曲。ラストにして唯一光りが差し込むようなポップロック。とても軽やかで翳りのない素晴らしいメロディ、聴きどころも作りつつシンプルな演奏陣。反してメッセージ性は非常に高い。「きっと誰もが同じだけの苦しみ背負いながら それでも笑顔見せている」「それでも生きていかなければ」と、ただ明るいだけの応援ソングじゃなく、厳しくも生きなければならない現実を突きつけながらも、手を差し伸べてくれる様な。そして力強く握り返してくれる様な希望にも満ち溢れている。これはもし中高生の時聴いてたらヤバかったろうなあ…。
やはりライブ定番で、ピエラー(Pierrotファンの相称)で嫌いな人いないんじゃないから。アイジと潤のコーラスも、そこに溢れる幸福感は見てるだけで楽しい。
総評 [お気に入り度★★★/おすすめ度★★★★]
後の再録アルバムを無視すればおすすめ度は非常に高い。4/6がライブ定番曲という。インディーズ時代の曲がこれだけスタメンというのは異常ですよほんとに。
個人的には実際にライブに行ったことが無いので音源としての評価はそれなり。
前作『パンドラの匣』から技術・音質ともに格段にレベルアップ。まずアレンジの複雑さが段違い。そして潤によるギターシンセが八面六臂の大活躍、時代なりにチープな音色が逆に印象的。左右交互に独特の音が飛び込んでくるようなギターアレンジはPIERROTの大きな特徴。そこへ更に変態的ドラムが乗り、ベースがしっかりとロックグルーヴで埋める鉄壁の布陣。
元々キリトは歌唱力やパワーのあるタイプではないですが、まだまだ全体的に声が弱い。様々な「人間」を俯瞰から描いた歌詞はどれも秀逸。
それぞれの成長でバンドはパワーアップ、既にバンドには安定感。しかし丸くなることなど一切なく、いびつな塊がさらに巨大になって心身を蝕んでくる感じ。
既に溢れるカリスマ性。マストアイテムです。
ベストソング / HUMAN GATE