MOTHER / LUNA SEA | 夕暮れビジュアル鑑賞会

夕暮れビジュアル鑑賞会

V系を中心にロック、アイドル等々の、音楽レビュー処

 どうもー。30daysChallengeはどこいったんだって感じですが(笑)。別に毎日やらなくてもいいっしょ。最近はギターばっか弾いてました。

 

 

 

 そこで今回は初のLUNA SEA。今友人と弾いてみた作ろうって話になって、彼の大好きなLUNA SEAを生まれて初めてコピーしてます。

 僕自身も10代から聴いていますがその時すでに終幕を迎えており、すごくハマる事も無くなんとなく聴いてました(『LUNACY』は超好きです)。最初に『MOTHER』を手に取ってそれ以降のアルバムは全部聴いています。未だにそれ以前の作品聴いてないですけど(笑)。

 でも年取って聴くと変わりますね、かっこいい。ハマりそう。ライブDVDも集めたいので、まずはレビューしつつじっくり音源を聴いてみようかと。

 

 

MOTHER』

 

01.LOVELESS ★★★☆

 SUGIZO原曲。アルバム曲と言えども彼らの代名詞的な一曲、多くのライブで1曲目を飾ってますね。シンプルに刻みながらも力強さを増し続けるドラム、否が応でも耳を惹き心地よくドライブするベース、優しく色彩豊かなアコギと宇宙的な広がりを見せるリードギター、この頃特有の危うさと艶やかさを内包し躍動感に満ちたボーカル…。ポップなニューウェイブサウンドに、彼らのポテンシャルが混ざり合って唯一無二の音世界。一筋縄ではいかないけどキャッチー。

 

02.ROSIER ★★★★

 J原曲のシングル。もはや説明不要の超名曲、いったいどれだけ多くのバンドマンがこの曲でロックに目覚めたのだろうか。スピード感満点、だけど勢いだけではない音のスパイスも存分にちりばめられたハードロック。意外とアコギがキレイで良いんですよ。マイナーなのにキャッチーで、棘があって、艶やかで、当時V系って言葉は多分ないけど、今聴いてもV系ハードロックの魅力が全て詰まってる。

 

03.FACE TO FACE ★★★

 INORAN原曲。ダークで退廃的、ノイジーさと神秘さの入り混じるスローな楽曲。とにかく歪みまくったベースと、加工された重たいドラムが耳に残る。歌詞の通り宇宙を漂う浮遊感があって、意外と聴きやすい。浸れる楽曲。アウトロのシタールの音色が大好き。

 

04.CIVILIZE ★★☆

 SUGIZO原曲。パンキッシュだけどSUGIZOのワーミーサウンドが実にエキセントリック。サビではツタツタとアクセル全開ながら、やはり彼ららしく単純なパンクにはならない。どこまでも隙のないアレンジ。シンメトリーな曲構成、Aメロに戻ってエンディングを迎えるところも一筋縄ではいかない

 

05.GENESIS OF MIND ~夢の彼方へ~ ★★★

 SUGIZO原曲。美しい12弦ギターが象徴的な8分越えバラード。アコギと低音ボーカルが絡みとてつもない喪失感。中盤ではバンドサウンドが強くなり、肉感的なベースフレーズが実に心地よい。間奏のバイオリンは鳥肌もの。後半荒くがなり立てるボーカルも狂気的だけど悲し気で。彼らしか作りえない慟哭のレクイエム。

 

06.AURORA ★★★☆

 SUGIZO原曲。ピアノが美しく儚げなミディアム曲。空間系エフェクトを多用したギターの彩りが素晴らしく、とくにオルガンのようなINORANパートが良い。高らかでキャッチーなボーカルと躍動感あふれるドラムも心地よい。音は詰まっているけど決してどのパートも主張しすぎない柔らかなアレンジが素敵。

 

07.IN FUTURE ★★☆

 J原曲。高速ビートのハードコアパンク、これはヘドバン必至だ。どこかゴシックでノイジー、ただ荒々しくはならないLUNA SEAアレンジ。厨二な歌詞は妖しすぎる歌唱と相まって癖が凄い。祭囃子のようなサビ後半がとても楽し気。この手のテンポの楽曲、いわゆる90年代のV系でよく聴く感じですが、単純に叫んでるだけでも無くてやっぱり洗練されてる。

 

08.FAKE ★★★

 INORAN作曲。浮遊感多めの「ROSIER」のようなテンポ感、全編でクリーンなアルペジオが支配する、ダークだけど真っ白な疾走感。エフェクティブなSUGIZOソロもかっこいい。パンチはないかもだけどメロディも癖があって良い曲。

 この曲だけ全楽曲の中で唯一ライブ演奏されてないそうです。再現が難しいらしいですが、どこか妥協点はなかったのだろうか。

 

09.TRUE BLUE ★★★★

 J原曲のシングル。これも代名詞的な切なく爽やかな疾走ロック。シンプルな作りながらキャッチーなメロディがとにかく素晴らしい。ユニゾンのキメや印象的なリードギターから、バンドサウンドそのものがキャッチー。まあアレコレ言うよりも聴いて感じるものが全てだと思う。

 

10.MOTHER ★★☆

 INORAN原曲、後にシングルカット。どこか宗教的で神秘的な三連バラード、歌詞もなんだかスピリチュアル。相変わらずアコギとバイオリンのセンスがすさまじい。決して明るくはないのだけど、浄化されるような美しいアレンジ。

 

 

総評 [お気に入り度★★★/おすすめ度★★★★★

 好みの曲は少ない。もっとキャッチーだったり激しいほうが好き。だけど圧倒的と言わざるを得ない完成度。今でこそV系リスナーからすればベタと捉えられる楽曲ばかりだけど、そのほとんどの起源がここにある。

 XやBUCK-TICK、D'ERLANGER、Gargoyle、DEAD ENDとかハードでマニアックなレジェンドバンドは色々あるけどJ-POPとしてのセールス的成功を収められるだけのキャッチーさが嫌味なく融合してる。

 まあ僕は年齢的に90年代には詳しくないけれど、94年にこれが産み落とされて以降どうやっても後続に影響を与えてしまっている作品。だってバンドしたくなっちゃうもん聴くと。

 

 スキルを見せつけるような演奏ではないけど、楽曲の空気感を表現し切ったフレージングは見事としか言いようがない。しかし個人の個性を活かしながら楽曲のためにある演奏は、十分な技術があって初めて成せる。

 そしてボーカル、普通に聴けば過剰なほどナルシシスティックに聴こえる歌も、決して線は細くなくて。狂気の部分も卓越した歌唱力があるからこそ刺さる。並のボーカルならこの楽器隊には負けてしまう。

 

 正直好きなのはJ原曲の有名シングル曲なのですが、アルバム曲もどれも聴き流せない粒ぞろいの楽曲ばかり。序盤とラストスパートのシングルで盛り上げ、中盤はディープに。どの曲も練りに練られたアレンジで、聴く度に発見ができるような奥深さ。

 音楽において聴かなきゃいけない作品なんてものは無いけれど、僕と同じくUNDER30のV系リスナーは是非聴いておいた方がいい。どうしても時代性は感じるけど、今なおスタンダードとして受け継がれるだけのパワーをもった作品。

 

ベストソング / TRUE BLUE