666 / HYDE | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 どうもー。今回はHYDEのソロ作品より。『ROENTGEN』はちょっと書くのに時間かかるんで、2ndの『666』です。これはラルクの『SMILE』と時期が近くて、まさに世代なんですよね。まさにリアル中二の頃…くっそ好きでした。わかりやすかったしね。最近全く聴いていないし、なぜか久々に聴きたくなったのでね。

 

666 (通常盤) 666 (通常盤)
2,302円
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 静から動へ、一気に音楽性を転換した作品。

 

 

 666』

 

01.SWEET VANILLA ★★★★

 一発目からラルクとはまた違うアメリカンなヘヴィリフで開幕。低音寄りの歌唱と歪ませた声が実にグラマラスでかっこいい。ラルクの「接吻」をヘヴィにした感じというか、渋さと妖艶さのバランスが絶妙で、開放的でメロディアスなサビは1曲目に良く似合う。間奏もまたラルクにはない荒々しさで新鮮でした。

 


02.HELLO ★★★☆

 4thシングル、歌番組やCMで聴いた人も結構いるのでは。シンプルさでは今作でも一二を争うけど、とにかくキャッチーで爽快。ギターがシンプルな分ベースがぐいぐいと引っ張るのが印象的。「HONEY」に近いけど、もっともっと風を纏って突き抜けるようなスピード感があって気持ちがいい。

 


03.WORDS OF LOVE ★★★★

 重厚なリフを活かしたヘヴィロック。そこに乗る荒々しいサックスプレイはなんとあの武田真治によるもの!サックスソロは必聴ですよ。サビではタンバリンが挟まれハジケたノリに。洋楽全く詳しくないですがHYDEが好きそうな曲調だなあと。今作で一番音的には派手だし重くてもノリやすく好印象。

 


04.HORIZON ★★★☆

 5thシングル。日本語の比重が高くメロディもラルクに一番近い感じがしますが、非常にオルタナティブロック的というか、海外フェスで大合唱するような広がりがある。優しくメロディアスなA~Bメロを経て、サビは大空に舞うような力強さと透明感があって美しい。

 当時もそこそこ好きではあったのですが、今久々に聴くと頭からケツまでメロディが素晴らしく良いですね…。

 


05.PRAYER ★★

 ニューメタル的な重厚さを放つミディアムナンバー。陰鬱でゆったりとしたメロディはだんだんと優し気な表情を帯び、サビではまさに祈りを捧げるような、神々しさすら感じてしまう。そういう意味では次作の『FAITH』的な、すこし宗教的な香りもする。

 この曲ずーっと好みじゃなくて聴いてなかったんですよ。今聴いてみるとやっぱりそんなに好きじゃない(笑)。ただかなりイカツくて格好良いサウンドだったのに気づけたのは収穫でした。

 


06.MASQUERADE ★★☆

 3曲目に近いグルーヴィなヘヴィロック。メロこそ声を歪ませ激しいですが、サビではゆったりと広がりを見せる。どちらかというと、サビ最後の咆哮からのヘヴィリフが一番熱く盛り上がる。というか所謂サビそのものが無いのかも。途中出てくるラップ?はHYDEではなさそうですね。

 当時一番好きだったのですが今聴くとそこまでかなあ。ただサウンドの分厚さは滾るものがありますね。

 


07.MIDNIGHT CELEBRATION ★★★

 ヘヴィな作風が続きます。現在のソロやVAMPSでも演奏されるダンサブルなヘヴィロック。NIRVANAに代表されるようなグランジ要素も感じられる。妖しさを纏うウィスパーボイスからの激情迸るディストーションボイスの落差、文句なしにかっこいい。ぐっちゃぐちゃに乱れるフロアが想像できるライブ向きな曲。実際氣志團万博で味わいましたが(笑)

 


08.SHINING OVER YOU ★★★★

 今作唯一ストリングスを用い、『ROENTGEN』に収められていてもおかしくない程、叙情的で美しい楽曲。ゲームのCMでよく流れていましたね。乾いた楽曲が多い中、ファルセットを用いてどこかヨーロピアンというか、中世の高貴な雰囲気というか…それを舞台にした悲劇的な映画を見ているような気分。哀愁を帯びたサビから最後の「さよなら」の叫び、そしてエンディングへの流れは本当に美しい。

 なんで今まで聴いてなかったんだろう?っていうぐらい、超いい曲ですねこれ。マジで今の今まで全然聴いていませんでした(笑)。

 


09.FRUITS OF CHAOS ★★☆

 オルタナティブ色が強いミディアム楽曲。Aメロこそグラマラスな表情ですが、サビでは開放的に。Wikiによるとライブで盛り上がる曲として作ったが実際はイマイチだったとのこと、まあこの手のスタジアムロックな楽曲はHYDEの客層とは合わなさそうですね…。アコギの音色がキレイで、けだるい感じはまた違ったアダルトさがあるのですが、ちょっと地味だなと(笑)。逆に発売当時なぜか大好きでした。

 

 

10.HIDE AWAY ★★☆

 ポップパンクノリの軽快な楽曲でクロージング。「HELLO」に負けず劣らずともキャッチーでシンプル、アヴリルとかSUM41とかあの感じ。かっこいいけどHYDEの曲としてはシンプルすぎて好みではないかな。

 

 

総評 [お気に入り度★★★  おすすめ度 ★★★

 ラルクでいうと「Round and Round」「HONEY」「Im so happy」「Spirit dreams inside」が近い方向性ですかね。洋楽の乾いた感じがあって、しかもライブでは3ピースで演奏されているほどシンプルなロック。

 ガシガシとテンションの高い楽曲が並び前半は聴きやすい。どちらかというと日本的なキャッチ―さではないし中盤以降マニアックな曲もあるにはあるけど、そこはHYDE、全編メロディアスに聴かせてくれるのが嬉しい。

 どーでもいいですがあんまり666と関係ない作風だよなあと思っていましたが、実は色々由来があるそうですね。

 

 今作の方向性は『ROENTGEN』を踏襲する予定だったそうなのですが、制作途中で切り替えたそうです。ラルクの「Ophelia」はその時期に生まれたらしく、サビメロが「SHINING~」と似通ってしまっているのはその名残ですかね。てか『ROENTGEN』に入ってて欲しかったしなんなら『ROENTGEN2』的な作品がまた聴きたい。

 

 当時休止中だったラルクを貪るように聴く中、HYDEの新譜でしかもロックだと!?ってこれも貪るように聴いたものですが(笑)。最近は全く聴かなくなってしまいました。

 今聴くと余計に…ここにkenちゃんの旋律があってほしいとか、tetsuyaだったらこう弾くかな?とか、ユッキーのあの多彩なシンバルがないとな、とか…。どうしてもロックであればあるほど、それを求めてしまって。4人が混ざり合ったあの音楽こそが好きなんだよなと、悲しいけれど思ってしまう。

 それは、VAMPSや今のHYDEソロも同じで。ラウドロックは嫌いじゃないですし文句なしに格好いいのですが、どうしてものめり込めずにいるのです。『ROENTGEN』はちょっと別格すぎるんでまた話は別。

 

 まあ最後の話はいいとして、ラルクでは聴くことができない重厚なサウンドがソロの魅力。歪みを聴かせHYDEのボーカルも高いアティチュードを感じさせる。ラルクしか知らない人にも是非。現在VAMPSを休止し再びソロ名義となっているので、実際遡って聴いてる層もあるかとは思いますが。

 

ベストソング / SWEET VANILLA