東京懐色ラプソディー-浦和編- / フィオーレ | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 どうもー。今回は初めて、マイナーV系バンドでも。フィオーレ、って知ってる人いるのかな?(笑)。

 CureってインディーズV系専門雑誌を購読していたころ、「極悪御法度ヴィジュアルバンド」という謎の肩書とともに安っぽいアー写で映る彼らを発見。ボーカルはそこそこかっこいいというか可愛い系だったけど、ドラムの極悪なメイクと、V系には珍しいキーボディストとして結構ごつめな女形がいて微妙に引いてたのですが(笑)。ココリコ田中がゴスロリしているようにしか見えなかった(笑)。

 

 まあ悪い意味で心に引っかかった彼らですが、公式HPでミニアルバムを視聴してみると、めちゃくちゃいいじゃないかと。一聴してガゼットのパクり⁇とか思ってしまったけど、どの曲もばんばんクサメロ放り込まれて、活動の規模と楽曲クオリティは正比例しないものだなと、高校生ながらに気付かせてくれたバンド。

 

 

まあ、いわゆるコテオサ系ってやつですかね。古き良きV系の作法を踏襲しながら、00年代より生まれたオサレ系のノリも展開。間違いなく誰が聴いてもV系ではあるけど、聴きやすさとコテコテさをいい塩梅で保たれてるジャンルというか。

 

 

『東京懐色ラプソディ』

 

01.苺センチメンタル ★★★★

 チープなアコーディオン系の音色がレトロな雰囲気を醸す、ミディアムテンポの歌謡ナンバーで幕開け。サビは全て英詩で切ないメロディを聞かせる。大げさに展開せずサラッとサビへ導入する点や、ギターソロ後のボーカルとベースだけになるパートもレトロ感満点、ムーディでとても良いと思います。そしてラスサビではメロディこそ同じですが、日本語詩に変わり畳み掛ける哀愁フレーズが堪らなく良いです…!

 

 

02.六本木心中 ★★★

 同名の歌謡曲が有名ですが、カバー曲ではなくジャジーな歌謡ハードロック。遊び人に尽くす女性目線の歌詞やメロディなんかは非常に初期ガゼットっぽい。それっぽい、あれっぽいという感じは多分にありますが、メロディはとても良質です。ホーン系のシンセで派手に聞かせつつ歌謡クサメロをバンバン放り込む。不穏に終わるラストも良い。

 

 

03.エル ★★

 ハードなリフから、加工したシャウトと共に疾走する感じ、「ワイフ」や「センチメンタルな鬼ごっこ」的ガゼット感(笑)。歌詞の「貴女ノ為ノ此ノ命」っぽい変態猟奇要素も含めてね。Aメロ~Bメロはオリジナリティもないしつまんないなあとお思いきや、サビではやはり待ってましたのクサメロ登場、ツタツタリズムで疾走!爆走しつつ紡がれるクサいギターソロも良いですね。

 ん~、サビはとてもいいんですがそれ以外が良くある範疇に留まっているのが残念。

 

 

04.終着駅 ★★★★

 「別れ道」+「東京心中」な、これもガゼットがやってそうな歌謡メロの疾走ナンバー。ただBメロの哀愁感、更に切なさを強めるサビはマジ秀逸です。この曲に関しては~っぽいとか通り越して好きです。ギターソロに至るまでとにかくクサく、全パートが主張しつつ上手く雰囲気を作り上げてます。エンディングは透明感あるフレーズが重なり涙を誘う。泣いたことないけど。

 

 

05.LizArd queeN & siX daRkNesS ★☆

 スラッシュメタル風リフや男臭いコーラス、加工されまくったボーカルが少しDirっぽい。で、おなじみサビではクサメロのパターン。引き続き加工されたまま声を張り上げるボーカルはちょっとPENICILLINっぽい。ラスサビでは声がクリーンになり更に哀愁強く疾走、そこはかっこいいのですが、基本暴れる専用って感じであまり面白くないです。

 

 

06.Japanese Industrial Music Fighter ★☆

 タイトルのPENICILLIN感。導入こそ演歌の前口上風ですが、続くAメロは童謡「赤い靴」のヘヴィメタルバージョン。ちょっと黒夢っぽさもあったり。クサメタル+コテオサな楽曲はまあダサい。ラスサビで取ってつけたような歌謡メロがやっぱり登場、ライブでは盛り上がるとは思うんですがあんまりクオリティは高くないかなあ。

 

 

総評 [お気に入り度★★☆  おすすめ度 ★★★

 ガゼット、メリー、ムックの歌謡ロック要素、蜉蝣の発狂系など、当時の売れ線を切り貼りした音楽性って、当時の売れてないバンドには結構ありがちでした。ただ、フィオーレもそういうバンドの一つであることは間違いないですが、メロディの良さが群を抜いてましたね。ピッチは甘めですが艶っつやのボーカルやハードロック然とした演奏陣も意外と悪くない。

 

 ルキ+HAKUEI的な、しゃくりとビブラートを多用するボーカルの癖の強さや、単純な音質の悪さも相まって全体的にしょぼく聞こえるのが残念。ギターなんか正統派ハードロックの素養もあってソロも中々かっこいいのですが、音がいかんせんしょぼい。

 またビジュアルが結構オラついたイメージもあって、やってる音楽性とのギャップがあったかもしれない。スーツでキメてたりしても良かったかも。オタク要素を打ち出してたりちょっとおふざけ路線もあったので、硬派に貫いてる方が絶対に似合ってると思います。

 

 オリジナリティは無いですし、知名度0なうえ既に解散済みですが、何度も言うようにメロディの質が高く、侮れない一枚。一曲一曲が4分程度で聴きやすいし。

 

ベストソング / 終着駅