灰とダイヤモンド / GLAY | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 今回こそ違うバンド行きます(笑)。久々にGLAYいきますか。来る8/14、15に行われるメットライフドームでの25周年ライブにも参戦するので、熱を上げておかなきゃ。まあそれよりもまずプラの出るロッキンジャパンフェスが楽しみで仕方ないんですが(笑)

 

 

 

 GLAYの記念すべき最初のCD音源。とはいえ発売はメジャー1stシングル「RAIN」と同時。まだ正規のドラマーが在籍していた頃、唯一プロデューサーがついていない作品でもあります。

 現在アルバム発売より20周年を記念したアンソロジーシリーズが順次発売されており、リミックス、リマスタリング、特典映像、当時の貴重な資料がブックレットに収められていたりと、非常に豪華な内容。もちろんその分値は張ってしまうのですが、原盤を中古で安く買って(笑)、気に入ればアンソロジー版もぜひ手に入れてほしいですね。

 

 あまり細部まで聴いていないアルバムなのでじっくり聴くのが楽しみ!

 

 

 

『灰とダイヤモンド』

 

01.真夏の扉 ★★★☆

 後に2ndシングルとして発売される、GLAYらしい歌謡ビートロック。ドラムの手数が多かったりアコギが結構目立ってますね。てかメジャー版より勢い重視でかっこいいじゃない!そもそもテンポが全然違う。サビでは広がりを見せ、今ほどキャッチ―ではないし歌もラフだけど、ロックとポップのバランス感が絶妙。あれー?この曲全然好きじゃなかったけどめっちゃかっこいいな(笑)

 メジャー版では土屋昌巳氏のプロデュースですが、このCDの発売前に既に完成されていたためか、今作では〈GLAY VERSION〉なる謎の表記(笑) GLAYの曲なのに!

 

 

02.彼女の"Modern..." ★★☆

 後に3rdシングルとしても発売され、現在でもライブの超超超定番曲で最強にブチ上がるロックナンバー。ジャンルとしてはハードロックなんだろうけど、裏打ちのスカカッティングが入ることで軽快さを。GLAY曲中でもハードな部類で、サビもメロディアスではないけど一発で覚えられるインパクトがある。

 間奏のアレンジが現在とは全く違って面白い、これはこれでかっこいいです。アンソロジー版ではより生々しさがアップ。

 

 

03.KISSIN'NOISE ★★★

 爽やかなイントロのビートロックと思いきや、Aメロでは一気にハードチューンへ変貌、そしてサビでは開放的でキャッチーなポップさが登場するなど、豪快なアレンジが魅力。更にサビ後にはヒップホップ調になってラップも登場(!)するなど、今では考えられないような無駄に凝ったアレンジが楽しめる。ハチャメチャだけどメロディは全力でGLAYしてる所が今でも人気の理由なんだろうな。

 

 

04.ひどくありふれたホワイトノイズをくれ ★★★☆

 クリーントーンを主体にした穏やかなポップロック、インディーズV系の域を超えてとにかく優しく親しみやすいメロディ。少しかすれたハイトーンもかっこいい。要所でハモリを入れたりギターの主張もしっかりと。HISASHIお得意の裏メロとさえ呼べるようなフレーズ、TAKUROのアコギソロもメロディアスで良い。

 アンソロジー版では歪んだギターの主張が強くなり、結構雰囲気が変わってしまっています。これに関しては原盤の方が良いですね。

 

 

05.RAIN ★★

 デビューシングルの別アレンジ、ピアノと多少のシンセ、アコギのみで構成。いわずと知れたYOSHIKIプロデュース楽曲。元はインディーズから演奏されていた曲ですが作詞、アレンジ共に手が加わってます。サビの張り上げるメロディなんかはX感ありますね。キャッチ―さと壮大さが融合した大作。ただやっぱりバンドサウンド0なのが寂しい限り。

 

 

06.LADY CLOSE ★★★★

 後半戦はポジパンというか当時のV系の匂いを感じさせるハイスピードナンバーから。Bメロはポップさも垣間見せるも、サビでは妖しさを含んで疾走。ギターアレンジが中々凝っていて、ドラムとベースの主張も激しく、落ち着きはないけど演奏も楽しめる楽曲、かっこいい。こういうハイハットの使い方大好きです。

 アンソロジー版では聴くやすくなったと同時に荒々しいミックスになっており、雰囲気がまた少し違います。原盤の少しエコーがかった音質のほうがこの曲には合ってるかな。

 

 

07.TWO BELL SILENCE ★★★

 こちらもクラシカルなギターフレーズからV系の名残を見せるも、早口なAメロなんかはパンクの印象も強い。サビメロも哀愁がありドラマチック。メタルとは言わないまでも中々にクサいフレーズを放つギターソロもかっこいい。

 シンセや繊細なギターフレーズの構築美が魅力の楽曲ですが、原盤では音質とミックスがしょぼく勿体ない。アンソロジー版ではうまいこと激しさと妖しさも出ています。

 

 

08.千ノナイフガ胸ヲ刺ス ★★★

 冒頭のダサいタイトルコールだけでがっつり心掴まれる、ハードさとポップさが融合したナンバー。超人気曲で再録もされており、この後のGLAYと遜色ないメロディアスさ。途中でクラシカルな3連フレーズが登場したり転調を繰り返したりと、「KISSIN'NOISE」と同じくアレンジが凝っており飽きさせない。そしてこの上なくキャッチーなサビでまとめ上げる、クオリティ高い曲だと思います。

 アンソロジー版ではテケテケとしたギターのエフェクトが消されており雰囲気がガラッと変わってしまっているのが少し残念。

 

 

09.BURST ★★

 いわゆる暴れ曲、煽り曲。サビのコールアンドレスポンスが容易に想像できる、ライブ用の曲。歌詞にもある様にロンドンパンク的な、勢いの中にも妖しさのあるフレーズを混ぜて、単に激しいだけでもない曲。

 CDでしか聴けない音の遊びもあるんですが、勢いは断然ライブ版。

 

 

10.if~灰とダイヤモンド ★★★

 アコギを主体としたミディアムバラード。フォーキーなサウンドと寂し気なメロディが心地よい。サビのギターアレンジなど、TAKUROのプレイが秀逸。とてもいい曲なんだけど、エンディングのオーケストラ風なシンセは余計だなと感じました。

 アンソロジー版では冒頭のオーケストラが削除、TAKUROの生声のカウントから入ります。その方が合ってますよやっぱり。

 

 

〈以降 Anthology盤収録曲〉

 

11.彼女の"Modern..."(Rerecording 2011) ★★★☆

 2度目の再録版。アレンジはメジャー版というかライブに準じてますが、テンポもライブ相当になっており勢いが増してます。年を重ねてからの再録版が一番勢い溢れているのが良いですね。

 

 

12.TWO BELL SILENCE (Rerecording 2009) ★★★☆

 大きなアレンジはないですが、音質のみならず演奏のカッコよさが倍増。ボーカル含めて荒々しさが減ったのでそこは好みですかね。僕はバンドの厚みが増したこちらが断然好き。あ、でもギターソロ後半のハモリが3声から2声になったのは少し寂しいな。

 

 

13.BURST(Rerecording 2009) ★★★

 現在のライブアレンジをそのままパッケージング、テンポがアップしメンバーコーラスがしっかり聴こえて楽しい。音は分厚くなってるし、ラストで超テンポアップし爆走するところなんかとても20年続けたバンドぽくなくて(笑)好きなんですけど、原曲のある種カオスな雰囲気は削がれしまってますね。そがれt

 

 

14.灰とダイヤモンドメドレー(真夏の扉/ひどく~/LADY~/TWOBELL)

 2012年の函館野外ライブで演奏されたメドレー。ライブ音源なんで特に評価してないですけど、再録されていない「LADY CLOSE」「ひどくありふれた~」はかなり貴重で、メドレーアレンジですが聴けるだけでも嬉しい。

 

 

総評 [お気に入り度★★ おすすめ度 ★★

 当たり前ですけど、当時ならではの勢いと荒々しさに溢れてて、今聴くと新鮮。でもメロディは既に紛うことなきGLAY。YOSHIKIの目に留まるのは必然だったのかも知れないですし、売れてるとは言い難かったGLAYをここまで大きくしてくれたYOSHIKIには頭上がらないですよ。

 

 まあ、音質が悪かったりベースが異様に大きいパートがあったりアレンジが変だったり(笑)、そのへんはご愛敬。全員が全員主張が強い。特にリズム隊!

 当時のドラマーAKIRAは手数多めでパワー溢れるドラミング。粗さはあるも、ど派手で印象的なドラムフレーズがこの頃のサウンドに大きな影響与えていたのは事実。今更ですが実は好きなドラマーだったようです。

 やはりTERUはピッチ感含め当時から相当上手いなと。弦楽器隊も今と基本的なスタイルは変わってないのが面白いですね。

 

 この"前に前に"なサウンドがなかなかどうして、今聴いてみるとかっこいい。今は薄れてしまったV系っぽさやパンク的な危うさが聴ける。マストアイテムではないですが、やはり本当の原点を知れる流通音源は今作のみ、ファンなら聴いてみてほしい1作。

 

 

 アンソロジー版について、「RAIN」「if~~」以外はミックスからし直されています。GLAYとも親交深いコニヤンこと小西康司氏が担当。ステレオ感が増し、ボーカルのエコーは弱め、原盤よりも大幅にクリアかつロックな音質に。

 とはいえ元がかなり古い素材なので「良くはなった」程度ですし、原曲にない歪みが加わって違和感があったりと、全てが良いとは言い切れないので注意。

 

 ディスク2には、デモテープ音源や当時出演したラジオの音源が。音質がアレな音源もあって無理して聴く必要もないです笑)。

 DVDには当時の関係者インタビュー+それを見ながら雑談するメンバー映像(笑)。なかなか楽しい映像になっています。特にエクスタシーレコードのマネージャーであった故・谷口氏のインタビューが感慨深い、この方こそが本当にGLAYを発掘してくれたんですよね。ライブを見た谷口氏がYOSHIKIにデモテープ(しかも自ら編集し直して)を送ったのが全ての始まりであったことが語られています。

 

 とまあ、非常に史料価値は高いですが値段も安くはないのでね、興味あれば。

 

ベストソング / LADY CLOSE