ドナドナ(初回限定盤)(DVD付)
4,500円
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復活2回目はもう大御所と言って差し支えないくらいの活動歴となってきたPlastic Treeです。GLAYやラルクとそんなに変わらないんですよね。
雑誌ではちょくちょく見てましたが、ちょうど最初の武道館やってたぐらいに「武道館やってるくらいだからかっこいいバンドなんだろうな」と思い、YouTubeが台頭してきた頃、当時の最新作「リプレイ」のPVを見たのが聴くきっかけでした。
あんまりV系色はなかったけど、独特な声と単純に曲が良くて一発で心掴まれましたね。ただ、「リプレイ」が入ったアルバムは全体的に聴きやすくてよく聞いていた位で。他のアルバムは高校生の僕には難しく、ドラムが脱退した直後の「梟」にもピンと来ず…以来ほとんど触れずに来てしまいました。
しかし何のきかっけか忘れましたが去年「スピカ」を久々に聞いたら、なんて素晴らしいバンドなんだ!と。ドラム:佐藤ケンケンが加入してから現在のアルバムまで一気に聴いてしまうほどハマってます。
断然ケンケン加入後、なんなら最新作が一番好きって位、今のサウンドがかっこいいんですよ。昔のアルバムも今ならすごく気に入って理解できるようになったし。あとメンバーの雰囲気もいつも楽しそうなんですよね、ケンケンっていう末っ子キャラがいるせいか(笑)。実際ケンケン可愛いんですよすごい
そんな因縁(笑)の「梟」が入ったアルバムをレビューしたいと思います。あまり聴き込めてないっていうのもあるし、今年でケンケン加入から10周年というのもあって、うれしい気持ちとお祝いを込めて!
『ドナドナ』
1.1999 ★★★★
淡々としたリズムの上に、美しいアコギのアルペジオ、ボーカルもまた淡々と美メロを紡いでゆくミディアム曲。
と思いきや1番サビが終わるや否やバンドサウンドと電子音が融合しガラッと雰囲気が変わる。スネアを連打する強烈なドラムが耳を引き、スペーシーな電子音と有村竜太郎のあの声と歌詞が不思議な空間を演出しています。後半では再びアコギも登場し忙しなく展開するも、高揚感と浮遊感が混ざって癖になります。復活後にいきなりの新機軸。
ナカヤマアキラの曲、大体好きです。
2.梟(ドナドナ版) ★★★☆
前任ドラムが脱退してからの初のシングル、「蒼い鳥」以来の3人体制のシングル、たぶん。ドナドナ版となっている当たりドラムは録り直したのか、元からケンケンだったのかは不明。
呟くようなボーカルから始まるも、すぐに轟音バンドサウンドに移行するあたりプラらしい。もう手の届かない人への想いをつづった歌詞や、胸が詰まるくらい感情的に歌い上げるサビが良い。竜太郎の呟きが2本重なる演出も、疾走するラスサビの歌唱も切なくて好きだ。
歌詞はタイミング的に前任のササブチヒロシの事を書いているのかな。彼が良く使っていた鈴の音もふんだんに入っているし…ってうのは考えすぎかな。
3.エとセとラ ★★★
竜太郎作曲らしく、弾き語りでも成立しそうなメロディから始まるも、サビでは歪んだ声と轟音で爆発。サビ自体はありきたりな洋楽っぽい印象もするんですが、アコースティックなAメロとの対比が心地よい。間奏後の竜太郎の早口ボーカルが好き。ラスサビで疾走するのもカッコいい。
4.sunset bloody sunset ★★★★
アキラらしいハードなリフと軽快なドラムで引っ張る、タイトル通り少し陰のあるロックナンバー。サビなんか「梟」に似た疾走系なのだけど、演奏はよりハードでドライ。特筆してコレって要素はないんだけど、サビのメロディと尖った演奏がドンピシャで好き。
歌詞はよくわからないけど、ナカヤマアキラの曲、大体好きです。
5.コンセント…---… ★★★★
「梟」のカップリング曲のアルバム版。某音楽サイトでダークなテクノ・ポップと評されるとおり、PlasticTree流テクノ。楽器陣は入ってるかもですがほぼ聴こえません。好き嫌い分かれるでしょうが加工されたボーカルが新鮮で、メロディも他の曲と遜色ないくらい良いんですよ。
シングル盤のほうがコーラスの感じが違って好きなんですけど、ナカヤマアキラの曲、大体好きです。
6.ガガジ ★★
一転してダークでハード、長谷川正作詞作曲のナンバー。楽器は重苦しいのだけど、サビは流れるようにメロディが映える。非常にプラらしいし、プラのこういう曲好きなんですが、メロディの気持ちよさが足りない
7.サナトリウム ★★★★★
ケンケン加入後初のシングル、「真っ赤な糸」に通ずる正作曲のミディアム曲。導入はとても物悲しく、サビで優しく広がっていく。サビ前の「あと何センチ?何光年?」に胸がキュンとなる。メロディに寄り添うベースラインとギター、個人的に大好きな鈴の音、メロディ、歌詞、すべてが美しい。
タイトルや歌詞からどうしても大切な人の死を思い出させるのだけど、モノクロな音像が切なさを倍増させる、Plastic Treeならではの名曲
8.ドナドナ ★★★
まさかの全ひらがな詩の曲、「ドナドナ」そのものをモチーフにしているからなのかな。冒頭2分は竜太郎の弾き語りで、だんだんと残響深いギターが重なり、遠く遠く離れて置いていかれるような、深く深く沈んでしまうような感覚に襲われる。怖いくらいに憂いを帯びたサビは、静かな環境でじっくりと聴いてみてほしい。
次の曲はインストで、その次はボーナストラックであるため、実質の歌あり楽曲はこれがラスト。
9.―――暗転。 ★★★
7分弱あるインスト曲。穏やかなクリーンギターとSE、軽快なドラムが重なり、半分が過ぎたときは深く歪んだ轟音ギター轟音ベースが登場。繰り返されるアルペジオの中響くノイズが、得も言われぬ感覚を胸に残す。メロディのあるインストではないけど、映画のエンドロールのような余韻をもたらしてくれます。
10.やさしさ倶楽部(ボーナストラック)
無音トラックが続き挿入されるアホソング。調子っぱずれな竜太郎の歌と、メンバーのコーラスというか横やりに、急に予算のかかってないコメディ映画のエンディングみたいな雰囲気に(笑)。こーゆーの嫌いじゃないですけどね。
ただ「お財布にやさしさ届けます」って歌詞あるけど彼ら全然やさしくないっていうかむしろ厳しいからね(笑)
総評 [お気に入り度★★★☆ / おすすめ度★★★]
ケンケンが加入し、実験的な面と昔からの面を大胆に見せてきた印象。歌入りの曲が8曲と、少し小粒感は否めないけど、1曲1曲はハズレがないんじゃないかな。
次回作からケンケンも作詞作曲に参加してメンバーそれぞれのカラーがどんどん出ていくのだけど、その前の作品という意味では面白いアルバムかも。ラルクの『SMILE』もそうだけど、復活とか大きな出来事のあとの第1作って、結構不思議な手触りになったりしますよね。『ドナドナ』もわりとポップだし、最初に聴くにはいいかもしれない。
ただ、シングル曲は初めて聴く人にもお勧めしたいけど、是非これ聴いて!ってなるアルバムではないかな。あんまりお得感ないし(笑)
ベストソング / サナトリウム