今日は日商簿記1級について書きたいと思います。
自分は学生時代に取得しました。昔から取れるものは取っておきたかったので。
ちなみに、二度受験しました。
一度目は会計士コースのカリキュラムの途中で記念受験。おまけにこの回は工簿・原計が難しくて合格率が3%台・・・。(とは言え、一級の合格率3%は会計士受験生にとっては無理な話ではありません。)
二度目は短答後に受験。短答はギリギリ合格でしたが、1級は9割弱の得点で合格しました。
5年以上前の話なので古い話ではありますが、その時の経験を基に少し書いてみます。
◎受験時期・負担
1級の試験は6月と11月にあります。
会計士受験生としては、6月は短答後論文前、11月は短答前ということで、あまりうれしくはないですね。。。( 一一)
理想としては、短答初受験の半年前くらいまでに受験して合格することでしょうか。
勉強開始後半年くらいはひたすら財務・管理の計算をやり込むケースが普通かと思いますので、その間に取れれば楽ですね。ちなみに、1級のコースも概ね半年勉強して初受験を迎えるカリキュラムになっています。
とは言え、短答近くに受験することになってもそれほど問題はありません。
税理士試験とは違って独自の勉強をする必要性は乏しいですし、短答で合格が見込める実力がある人であれば無対策で合格する可能性も十分にあるからです。(もちろん、少しでも対策するに越したことはないですが)
◎特徴・戦略
(商業簿記・会計学)
商業簿記は個別か連結の総合問題、会計学は理論問題と仕訳等の個別問題がよく出題されます。
このセクションは基本的に攻めだと思います。満点を目指して頑張りたいところです。
ただし、会計学の場合は満点取れなくても満点取れます。
は?と思われるかもしれませんが、要は加算調整が行われやすいということです。
実際、一度目での受験では会計学で6~7割くらいしか取れませんでしたが、結果は24/25でした。もはや傾斜配点というレベルではなく、マジかよと思いましたが。(笑) (なお、二度目の受験では何割取れたか忘れましたが満点でした。)
要は、取れるところを取れば満点近い点が取れる可能性があるということです。
計算に関しては、とにかく例題レベルの問題をきっちり解けるようにすること、理論に関しては基準で規定されている内容をなるべく覚えるようにすることです。(結論の背景(いわゆる理論)よりも、基準の規定について問われることの方が多いです。)
ちなみに、1級受験生は理論に関して会計士受験生のようにゴリゴリに勉強しておらず、苦手にしていることが多いです。
従って、理論に関しては勉強がさほど進んでなくても、過度に恐れる必要はないと思います。計算重視の方が良いでしょう。
(工業簿記・原価計算)
このセクションはどちらかと言えば守りです。
とにかく、足きり(4割未満)にならないことが何よりも大事です。
基本的にはこちらも例題レベルではありますが、芋づる式の問題がわりかしよく出題されます。
また、たまに資料の読み取りが難しく、解きにくい問題が出題されることがあります。
ちなみに、合格率3%台の回は原価計算の問題が読み解きにくく、足きりとなった人が続出しました。(だから合格率3%台になってしまったのでしょうが。。。)
ただ、解けない問題だったかというとそういうわけでもないので、一見難しそうな問題であっても落ち着いて資料をしっかり読むことが大事です。(1級は比較的時間の余裕があります。)
そして、なるべくケアレスミスをしないこと。序盤の問題でこれをしてしまうと、足きりの可能性が高くなってしまいます・・・。
例題レベルの知識をしっかり身に着けて、落ち着いて資料を読んで、ケアレスミスをしないように慎重に解く。
これが大事かなと思います。
◎教材・勉強方法
基本的には会計士用の教材で問題ないと思います。
ただ、過去問集だけは購入しておいた方が良いでしょう。
とは言え、万全を期しておきたい方もいらっしゃるかと思うので、おすすめ教材というか、自分ならこの教材!というのを記載しておきます。(全てTAC出版です)
①過去問集
「よくわかる簿記シリーズ 合格するための過去問題集 日商簿記1級」
②商簿・会計(計算)
「日商簿記1級商業簿記・会計学 計算と仕訳マスター」
③商簿・会計(理論)
「よくわかる簿記シリーズ 会計学理論マスター 日商簿記1級 全経上級対策」
④工簿・原計
「公認会計士 新トレーニングシリーズ 管理会計論2 個別問題 基礎マスター編」
ちなみに自分は①③とTACの合格テキスト(1級)を使って勉強しました。(今思えば、合格テキストは会計士のテキストがあれば不要だったかな~と思いますが・・・。教材としては良かったですけどね。)
①は出題の形式に慣れることと、出題予想のために使っていました。実際、1級の試験を受けるときは連結は自信をもって完全に捨てていました。(最近は連結が連続で出たりもするので危険ですが・・・)
②は自分が受験した当時は恐らく発売されていなかったんじゃないかなと思いますが、まさに例題の寄せ集めのような問題集で、基礎を網羅的に確認できるのでおススメです。工簿・原計バージョンもあればいいのにと思います。ちなみに自分は簿記のポケコン替わりとして持ってます。
③は1級受験生用の理論対策の問題集なので、とりあえずこれをやっておけば1級受験生が取れるところは概ね取れるようになるんじゃないかなと思います。とは言え、会計基準がまんま載っている所は読むのが大変なので、まずは会計士の財表のテキストを先に読んでおいた方がいいかもしれません。時間がなければ、正誤と穴埋めのところだけ押さえておくというのでも良いでしょう。
④は会計士用の問題集ですが、この問題集は各論点が体系的にまとめられており、かつ基礎的な問題が中心なので、1級の工簿・原計対策にも有効なのではないかと思います。もちろん、会計士試験用としても使えると思います。(TACの短答用問題集もなかなかいいです。)
そして、勉強方法ですが、計算に関しては何度も言っている通り「例題」レベルの問題を万遍なく仕上げることが一番有効かと思います。
実際に自分は、合格テキストを読みながら例題を解き、過去問集を解くということしかやっていませんでした。
会計学の理論に関しては、会計士講座の授業を聞いて、テキストを読んで、短答用の問題集を解いて、基準の穴埋め対策も兼ねて会計基準を読み込む・・・というところまで出来れば十分すぎるくらいです。
財表の授業を受け終わるまでに受験日が来てしまうという場合は、とりあえず財表のテキストを自分で読み進めていって、基準の背景にある理論は後回しにして、基準が規定している内容をとにかく頭に入れるようにしていけば少しは点に結びつくかなと思います。
財表のテキストすら手元にないという場合は、上記③の問題集を出来るところからこなしてぶっつけ本番で行きましょう。理論はみんなあまり出来ないし、加算調整もあるので、少々できなくても直ちに合格の可能性がなくなるというわけではありません。他が悪くなければ十分合格のチャンスはあります。
以上、所感でした。
やっぱりこの手の記事を書くと時間がかかってしまいますね・・・。
色々書きましたが、くれぐれも1級受験が会計士受験の邪魔にならないようにして頂ければと思います。
理想は中・長期的にちょこちょこと対策を進めることです。
会計士試験が近いけど1級受けたい!という場合は、過去問をちょろっとやる程度に留めて受けてください。
税理士試験と同様に、1級の対策をやりすぎて短答・論文の対策が不十分になってしまったというのは本末転倒ですからね。
会計士の勉強を真面目にやって来られた方であれば合格はさほど難しくないと思いますし、チャンスは年2回あるわけですから、受験される場合はあくまで「片手間」のスタンスで臨んでほしいと思います。