彼
私には見える
彼がドロドロした光の届かない世界で必死に藻掻いている姿が
深い井戸のような穴の中でどちらに進めば良いのかも分からずに苦しんでいる姿が
そして彼が彼を客観視していることも
本当は彼がとても冷静でいることも知っている
彼はいつも冷めた目で彼自身を見ている
彼は絶望の中にいて、それでいて絶望の淵から中を覗き込んでいる
彼がドロドロした光の届かない世界で必死に藻掻いている姿が
深い井戸のような穴の中でどちらに進めば良いのかも分からずに苦しんでいる姿が
そして彼が彼を客観視していることも
本当は彼がとても冷静でいることも知っている
彼はいつも冷めた目で彼自身を見ている
彼は絶望の中にいて、それでいて絶望の淵から中を覗き込んでいる
聞こえる
今まで味わったことのない感覚だった。
現実なのか幻聴なのかも分からない。
自分が壊れていく音を初めて聞いた。
何かが崩れたり壊れたりするどんな音にも当てはまらない。
大きな自分の塊が次々に崩れて粉々になっていく。
これは私の人格が壊れていく音なのか?
このまま崩壊が進行して“無”の状態になったとき、私という人間はただの器だけになってしまうのか?
それでも悲しむことは何もない。
今はただ静かにこの音に耳を傾けている。
現実なのか幻聴なのかも分からない。
自分が壊れていく音を初めて聞いた。
何かが崩れたり壊れたりするどんな音にも当てはまらない。
大きな自分の塊が次々に崩れて粉々になっていく。
これは私の人格が壊れていく音なのか?
このまま崩壊が進行して“無”の状態になったとき、私という人間はただの器だけになってしまうのか?
それでも悲しむことは何もない。
今はただ静かにこの音に耳を傾けている。