具体的には、以下の3つの要素を重視した設計が行われます。
· 断熱性・気密性:室内の熱や冷気を逃がさないため、高性能な断熱材や気密材を使用します。
· 日射取得:冬は太陽の光を室内に取り込むことで暖かさを得、夏は太陽の光を遮ることで涼しさを保ちます。
· 通風:夏は風通しを良くすることで室内の熱気を排出し、冬は暖かい空気を部屋に送り込みます。
パッシブデザインの家は、以下のメリットがあります。
· 省エネ性:機械設備の使用量を抑えられるため、光熱費を節約できます。
· 快適性:自然の力で快適な室内環境を実現できるため、健康的に暮らせます。
· 環境性:自然エネルギーを活用することで、地球環境に配慮できます。
ただし、パッシブデザインの家は、一般的な住宅に比べて初期費用が高くなる傾向があります。また、設計や施工に専門的な知識と技術が必要になるため、施工会社を選ぶ際には注意が必要です。
パッシブデザインの家は、省エネ性や快適性、環境性に優れた住宅です。
長期的な視点で見ると、初期費用の回収も可能であり、経済的にも環境的にもメリットのある住宅と言えるでしょう。

パッシブデザイン・パッシブハウスのポイント
自然のエネルギーを活かして快適な家を作り出すというパッシブハウスの理念は、
ドイツの物理学者であるファイスト博士によって提唱されました。
ポイントは、次の6つです。
· 家の断熱性能を高める
· 気密性を高める室内の暖気を漏らさない
· 気密性を高めて外気の影響を受けにくくする
· 断熱・保温性能が高い窓をつける
· 日差しの方向に配慮した窓の配置
· 快適な室温を維持しながら換気できる熱交換換気の導入
これらのポイントをまとめると、パッシブデザインで建てられた家は「断熱・気密・蓄熱」が
ポイントと言えそうです。

アクティブデザインとの違い
「パッシブデザイン」に対して、「アクティブデザイン」というコンセプトの家の建て方が
あります。
アクティブデザインとは、家の建て方だけで自然エネルギーを受け取って
有効活用できるような仕組みや工夫を施すパッシブデザインに対して、
機械や装置を使って積極的(アクティブ)に自然エネルギーを利用するものです。
アクティブデザインで取り入れられる代表的なものとして、太陽光発電システムや空気の
熱を活用してお湯をわかす「エコキュート」や「エネファーム」などが挙げられます。
パッシブデザインとアクティブデザインの大きな違いとなるのが、
「太陽光や風などの自然エネルギーの利用する際に、機械や装置を使うか使わないか」
という点と言えます。

ZEH住宅とパッシブデザインの違いは?
高気密・高断熱住宅にはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が有名です。
しかし、ZEHは、太陽光発電などの設備システムを導入することでエネルギーの生産と
消費の収支をゼロにすることを目的としているため、パッシブデザインほど高機能の
気密性や断熱性をクリアする必要がないと言えます。
パッシブデザインは自然エネルギーを最大限活用することを目的としていますが、
ゼロにする必要はないので、設備投資の必要性はありません。
できる範囲で自然を生かした家づくりをしたい方にぴったりといえるでしょう。
パッシブデザインの家のメリット
ここでは、パッシブデザインで建てられた家にはどのようなメリットがあるかをみてみます。
パッシブデザインやパッシブハウスのおもなメリットは、次の通りです。
· 自然エネルギーの活用で、光熱費を削減できる
· 太陽の光や風など、自然を感じる生活ができる
それぞれのメリットについて、詳しく見てみましょう。
光熱費を削減できる
パッシブデザインで建てられた家は、できるだけ人工的なエネルギーに頼らず室内の
温度や明るさを保ように設計されています。
そのため、空調や照明にかかる光熱費を抑えることが可能です。
自然を感じる生活ができる
パッシブデザインで建てられた家は、自然エネルギーを効率良く取り入れる工夫が
施されています。
そのため、太陽の光や自然の風などを家の中でも感じることができる点がメリットです。
また、日々の生活のなかで季節の移り変わりや自然エネルギーが感じられるため、
外気の環境や温度変化に対応しやすくなり、体調が整ったりライフサイクルが安定したり
する効果も期待できます。
人工的なエネルギーの使用を極力抑えて、自然の光や風を感じながら生活をしたいと考える方に
とって、パッシブデザインで建てられた家は非常に魅力的であると言えるでしょう。

パッシブデザインの家のデメリット
自然を感じる生活や省エネ効果といったメリットのあるパッシブデザインですが、
その一方でデメリットがあるのも事実です。
ここでは、パッシブデザインを取り入れて家を建てる際のデメリットには、次のようなものがあります。
· パッシブデザインで建てると、建築費が高くなってしまう
· 地域に合わせたオーダーメイド仕様で建てる必要がある
それぞれにデメリットについて、詳しく見てみましょう。
建築費が高くなる
パッシブデザインで家を建てると、一般的な家の建築費用よりも高くなる傾向にあります。
なぜなら、通常の家よりも高気密・高断熱仕様にする必要があるため、建材や建築の費用が
高くなるからです。
高気密・高断熱を取り入れた住宅には、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)もあります。
しかし、ZEHは、太陽光発電などの設備システムを導入することでエネルギーの生産と
消費の収支をゼロにすることを目的としている点から、パッシブデザインとは異なる部分が
あります。
パッシブデザインの家やZEHの家は、一般的な家より建築費が高くなる傾向はありますが、
電気代などの光熱費を減らすことができるというメリットもあります。
長期的な視点では決してデメリットであるとは言えないでしょう。
地域に合わせた設計が必要
パッシブデザインで家を建てる際は、その地域の気候の特徴や自然エネルギーを最大限に
活かすことが必要です。
よって、地域に合わせたオーダーメイドの建築が必要になるため、設計や建築に
費用だけでなく時間もかかります。
さらに日光や風を効率良く取り入れるためには、北陸や南国といった地域の特性だけでなく、
周辺の地形や隣地との距離、開口部の広さや向きといった個別の要素も
計算しなくてはなりません。
その結果、希望の間取りや外観の家が建てられない場合もあります。
その土地に合った家を建てるというメリットが、パッシブデザインのデメリットに
もなり得ると言えるでしょう。
しかし、デザイン性や設計力が高く、かつ地域の気候にマッチしたパッシブデザインの家を建てる技術を持つハウスメーカー・工務店に依頼することで、その不安は解消されます。

パッシブデザインの家の基本的なプランの考え方
・建物の形をシンプルにする
パッシブデザインを取り入れた家を建てる場合の効率の良い建物の形は、
凹凸が少なくできるだけシンプルな形が良いと言われています。
なぜなら、建物の凹凸が多いと表面積が広くなり、その分、断熱性が
悪くなってしまうからです。
凹凸の少ないシンプルな家の形の代表的なものとして、「総二階建て」があげられます。
総二階建てにすれば1階部分の屋根が不要になるため、建物の表面積を抑えることが可能です。
さらに、総二階建てにすれば建材や建築費用も抑えることができるため、パッシブデザインに有効なだけでなく、家全体の建築費用削減にもつながります。
・通風口と玄関を工夫する
パッシブデザインを有効活用するためには、空気の流れを計算することが不可欠です。
通風が十分でないと、自然の風が通りにくくなってしまいます。
そのため、それぞれの部屋の通風口の設計や通風計画はしっかりと立てなければなりません。
部屋の風通しを確保するために必要なポイントは、2方向の開口部を設けることです。
開口部は窓やドアだけに限らず、壁の上部を欄間のようにしたり通風口を設けたりしても
良いでしょう。
通風と同時に大切なのが、気温差の大きい外気が入り込まないようにする工夫です。
外気は玄関から入り込みやすいため、気密性の高い玄関扉を選んだり片開きドアや
親子ドアを設置したりすると良いでしょう。
引き戸タイプは気密性が低いためおすすめではありません。
また、風除け室になる玄関ホールを設けるのも効果的です。
玄関ホールと生活空間との間に仕切り壁やドアを設けることで、外気が室内に入り込みにくくなります。
さらに玄関の向きにも着目しましょう。
道路に面している部分に玄関を設けがちですが、南向き敷地で南面に玄関をつけると
太陽エネルギーを無駄にしてしまいます。
できるだけ日光や外気の侵入に影響のない場所を玄関にするのがおすすめです。
・吹き抜けを作る
吹き抜けを間取りに取り入れることも、通風の確保に有効的です。
リビングなどに吹き抜けを設ければ、1階と2階の空気を立体的に循環させることができます。
それぞれの部屋の通風を計算したうえで、吹き抜けの場所を決めるようにしましょう。
また、太陽の光を上手に活用することもパッシブデザインのポイントの一つです。
吹き抜けを設けて高い位置から採光すれば、隣家が近くて南側に開口部が設けられない場合でも、明るく開放的な室内になります。
・適切な窓と庇(ひさし)を作る
パッシブデザインでは、日光や風を取り込む役割をする「窓」も大切になります。
基本的に、冬に太陽の熱を取り込む必要があるため南側の窓は大きく、
それ以外の窓は熱が逃げないように小さくするのがポイントです。
ただし、南面の窓を大きくすると、夏の日差しで室内の温度が上昇してしまうため、
庇や日よけを設けて日光を調節しなければなりません。
日光を遮るための長く突き出た庇や軒を窓に設置しておけば、夏場の気温上昇を
抑えることができます。
なお、むやみに庇や軒を長く大きくしてしまうと、今度は冬の日差しを室内に取り込むことが
できなくなってしまいます。
家の向きや季節によって異なる太陽の高度を計算したうえで、庇などの長さを決めることが大切です。

パッシブデザインの家のポイント
・家を建てる地域を調べる
日光や風といった自然エネルギーを取り込むパッシブデザインの効果を最大限に
発揮するためには、家を建てる地域に合った設計や間取りにすることが大切です。
例えば、冬の寒さが厳しく日照時間が少ない地域・夏の暑さをやわらげたい地域であれば、
以下のような工夫が必要です。
· 寒さ対策:室温が逃げない工夫や日光を取り込む工夫をより増やす
· 暑さ対策:窓の庇や軒を大きくする
・事前シミュレーションができるほうがいい
パッシブデザインを成功させるには、事前シミュレーションを行うことも大切なポイントです。
設計や建築計画を建てる前に土地の特性や条件を計算しておかないと、パッシブデザインを
有効活用した家を建てることがむずかしくなります。
季節によって異なる地域の気候や敷地の周辺環境などを調べ、光や風をどのように
取り込めるかを計算したシミュレーションをしっかりと行うことが、パッシブデザインの
成功には必要です。
パッシブデザインに強い住宅会社を選ぶ
パッシブデザインの家を実現させるためには、やはりパッシブデザインに
強いハウスメーカーや工務店を選ぶことが必須です。
パッシブデザインの取り扱いがあっても、地域の気候に合わせた設計や
事前シミュレーションなどを必ず行ってくれるとは限りません。
場合によっては、ハウスメーカーでもパッシブデザインを十分に取り入れた家を
展開していないところもあります。
希望通りのパッシブデザインの家を建ててくれる住宅会社かどうかを見極めることが、
パッシブデザインの家を成功させる最善の策だと言えるでしょう。
しかし、全国には数万社のハウスメーカー・工務店があるため、この中からパッシブデザインに対応し、なおかつ他の自分の要望も実現してくれるハウスメーカー・工務店を探すのは
とても大変です。
しかも、同じような見積もり金額でも、ハウスメーカー・工務店によって費用項目は異なるため、複数社から見積もりを取って比較検討する必要があります。

まとめ
パッシブデザインの家は、省エネ性や快適性、環境性に優れた住宅です。
しかし、初期費用が高くなる傾向があるため、事前にしっかりと検討することが大切です。
パッシブデザインの家を検討する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
· メリット・デメリットを比較検討する
パッシブデザインの家には、多くのメリットがありますが、デメリットもあります。
メリットとデメリットを比較検討することで、自分に合った住宅かどうかを判断しましょう。
· 施工会社を選ぶ際には注意する
パッシブデザインの家は、設計や施工に専門的な知識と技術が必要になります。
施工会社を選ぶ際には、十分に注意しましょう。
パッシブデザインの家は、長期的な視点で見ると、経済的にも環境的にもメリットのある
住宅です。
ぜひ、自分に合ったパッシブデザインの家づくりを検討してみてください。
今日は以上です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
