「病院、明後日に来てって何やろな」
息子も理由がわからず気にしている。
それが前日になって急に思いだしたように
「そう言えば前回の血液検査で採血が少なかったわ」
と言う。
いつもなら注射器に7〜8本採取するのに、その日は3本くらいしか採らなかったと言うのだ。
たぶんそれだ。
何かのミスで血液検査の項目が一部抜け落ちていたため追加検査するのだろう。
きっとそうね、と息子と言いあって急に気が楽になった。
当日指定された時間に病院に行き採血を済ませた息子に聞いてみた。
「採血何本くらいやった?」
息子「あぁ、今日のとこないだのを足したらいつもと同じくらいになる」
この日の目的が検査項目の一部が抜け落ちていたことによる追加検査だったとして、大雑把な私は今回は一部項目なしのままでいいんじゃないの?と思ってしまった。
診察室に呼ばれる。
主治医「こんにちは。どうですか?」
息子「あんまり変わりないです」
この日の炎症反応の数値は4.9。
3日前よりむしろ若干悪くなっていてがっかりする。
主治医「検査の結果、免疫抑制剤の血中濃度が低いのでね、今日から0.2㎎増やします」
息子は入院中から免疫抑制剤の血中濃度が定まらず調整に手こずっていた。
その傾向は今なおつづいているようだ。
主治医が言った。
「これでまた様子を見てください。リハビリのため深呼吸とかしてね。ではまた4日後に」
今日の血液検査でタクロリムスを増やすことになったということは1週間待たずして手を打つことができたのだから来た意味があったのだ。
事実その翌日から息子の肺の痛みはほぼ感じられないくらいになってきた。
免疫抑制剤とステロイドの両方を増やすことでようやく息子の肺炎は回復の兆しを見せはじめた。