8話 真実。そして・・・ | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

由紀は入ったことのないクラスへ足を踏み入れる。


そして、クラスを一望した。見覚えのある彼の顔を探す。


(いないなぁ・・・)


直樹の姿はそこにはなかった。


もうすぐ五時間目が始まるというのに、どこにいるのだろうか?


「佐藤君・・・いますか?」


由紀は見知らぬ可愛らしい女の子に聞いた。すると彼女は、今日は来てませんよ。と予想もしてなかった答えを口にする。


「来てない・・・お休みってことですか?」


「はい。風邪をひいたとかで」


佐藤君、昨日傘忘れたと言って雨の中走って帰ってましたから、きっとそれだと思います。そう彼女は続けた。


「え・・・」


由紀は返す言葉を失う。


傘を忘れた・・・?


そんなことはあり得ない。昨日、直樹は由紀に傘を貸して、もう一本傘があるから。そう言った。


だから、安心してその傘を受け取ったのに・・・。


もしかして、あれは嘘だった?


一度疑えば、その疑惑は真実へと加速していく。


そうだ。直樹の行動はおかしい。もう一本あるから。そうは言ったが、実際に傘を由紀に見せたわけじゃない。


カバンを叩いただけ。ただそれだけだ。


一度頭の中を空にして、今知った事実をパズルを作るように一つずつはめていく。


・・・そっか。そんな優しい人もいるんだな。


すべてを悟り、由紀は薄く笑って、ありがとうございます。


そう軽く会釈をして教室を出る。


その後すぐに、由紀は誰もいない屋上へと上がり、彼に電話をかけた。


行動の一連すべて、頭が考えるより先に体が発した反射的なもの。


『ごめんね』と『ありがとう』


矛盾してそうでしていない、その二つの言葉を言いたかった。


初めてかける番号。かけた後に少し震える。


最初になにを言えばいいのだろうか。そんな不安から出る震え。


彼は出るだろうか。1コール。2コール。3コール。


出る気配はない。


(だよね・・・)


病気で寝ている彼はきっと電話になんか出る余裕なんてない。


10コール目くらいだろうか。由紀は、諦めて、ケイタイを閉じた。


空を見上げる。悠然と大きく厚い雲が広がっている。


上に屋根があるこの場所以外はすべて濡れている。昨日と同じくらいの雨はまるでシャワーのようで傘なしではあるけない。


ありがとう。


心の中でそう呟く。


声に出さないお礼。彼に届いただろうか。


・・・なんて。


その時だった。閉じたケイタイが着信音を鳴らした。


ビクッと由紀の体がその音に反応する。由紀はケイタイを手にとり、画面を開く。


あ・・・。そこには『佐藤直樹』と表示されていた。


彼からの電話だった。


「ふぅ・・・」


ため息を一つはく。


第一声、なんていえばいいだろうか。


ごめんね?それともありがとう?


・・・どちらでも大丈夫な気がした。だってどちらも正しいから。


そこに間違いはないから。


由紀は通話ボタンを押す。


『もしもし』


彼の声が聞こえた。風邪をひいてるせいなのか、少し声に詰まりを感じる。


「もしもし。山口です」


名前で自分を名乗るのはおかしいと思い、由紀は苗字を使った。


「うん。知ってる。つか、俺からかけたんだし」


「あ、そうだったね」


「で、どうしたの?」


彼は聞く。


「ごめん・・・って謝りたかったんだ」


由紀が選んだのは「ごめん」という謝りの言葉。




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だけど、本当に好きなら、一つ一つの段階を急がすに、2人、そばにいることが大切なんだ。




おはようございます。


気付けば8話ですね。もうすぐ10話です。


週に三回しか話は進んでいませんが・・・読んでくださっている方々にはホント感謝でいっぱいです。


これからも読んでいただけると嬉しいです><


次回は日曜日の7時です!