カーテンを開けて、外を見る。
今日も雨か。全く10年前と同じ天気だ。
二日間、大雨が降り続いて、その次の日にはそれが嘘だったかのように青空が広がったんだ。
由紀はテレビをつけた。すると、ちょうど天気予報がやっていた。
天気予報によると、今日までが雨で明日から、晴れるという予報だった。
(すごいな・・・)
10年前の気候を覚えている人がいたらびっくりするだろう。
いや。そんな人は自分くらいか。あの二日間が思い出深い特別な日になる人なんて、そんなにたくさんいるわけじゃない。
それに、雨が降っているのは日本全国という訳じゃなく、一部の地域だけなのだから。
10年前の今日と昨日。由紀にとって、その二日間は未だに忘れられない日。
二日目のこと。私には今でも鮮明に頭に残っている。
「そういえば、今日なんで傘二つも持ってるの?」
当然の疑問を昼休みになって初めて聞かれる。机の横にかけてある傘。
机の横にかけなくても、傘立てがクラスに一つある。しかしそれはベランダにあり、みんなの死角だ。
ビニール傘など見分けがつかないものは簡単に盗むことができる。
クラスの人を信用していないわけではないが、一応・・・ということで由紀はいつも机の横のカバンなどをかけるフックに傘をかけていた。
クラスでもそこに傘をかけている人は少なくない。
けれど、二つの傘がそこにあるとなると話は別だ。自然な光景から一気に不自然な光景へと変貌を遂げる。
「昨日、友達に傘借りたから、それを返そうかなって思って」
由紀は小さなハンバーグを箸で挟んで口に持っていく。うん。冷凍食品だ。
容易にそのことが分かる自分は味覚が鋭い?なんて。
誰でもわかるレベルのものだ。
「そうなんだ。誰に借りたの?」
手で口元を隠しながら喋る玲奈の仕草はお嬢様みたいだった。もっとも、口の中に物を入れている状態で喋ることで、矛盾が生じてしまうのだが。
「2組の佐藤君」
即答した。名前は思い出せないが、苗字は単純だったので覚えている。
「あ~・・・誰それ?」
少し考えた後、わかんないや。そう言いながら玲奈は首を傾げた。
「私もよくは知らないんだけどね。流れで貸してくれた」
「ずいぶん、優しい人がいるんだね。その人はイケメンだった?」
男の子の話になるといつもそうだ。玲奈は性格よりも顔が気になるらしい。
由紀は逆に性格がメイン。性格が良くないと長続きしないから。そう思うんだ。
それを玲奈に言ったら、不細工相手でも長く続かないと思うよー。なんていわれたっけ。
イケメンに限る。玲奈はそう言う。確かに、顔が良いにこしたことはないのだが、由紀にはそんな大きなことは言えない。
美少女である玲奈が言うから様になる言葉。由紀が言えば、それはただの高望みで我儘なだけだ。
「カッコよかったよ。」
今まで見た男性の中で一番。その言葉は思っていても口には出さない。
「へぇ。そうなんだ」
キーンコーンカーンコーン。
聞きなれた機械音が響く。五時間目が始まる前の予鈴だ。
それを聞いて、あ、そういえば職員室に行かなくちゃいけないんだった。思い出したかのように玲奈は言った。
「何かあるの?」
「指導員の松原に呼ばれた。たぶんこれのことだと思う」
そう言って、自分の髪を指さす。玲奈の髪はダークブラウン。あまり目立ちはしないが、髪の毛に茶色が混じっている。
「黒染したら?」
「どれほど怒られるかによるかな。じゃあ、また後でね。あと、戻ってきたら、さっきの話の続き聞かせてよ」
「うん」
由紀の返事に玲奈は笑みを浮かべて、教室を出て行った。
玲奈がいなくなって、喋る相手がいなくなる。他にも友達はいるが、予鈴から五時間目が始まるまでは五分。
それだけの時間で、わざわざ他の人に話しかけるほど、人付き合いは求めていない。
適度で十分だ。それに、話を始めたら、きっと五分じゃ終わらなくなるし。
次の授業で使うであろう、教科書を机から出す。視線が下に行った時、机の横にかけてあった傘が目に留まった。
五分あるし今、返しに行こう。
直樹から借りた傘を手に持ち、2組へと向かった。
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言葉は不完全だから誤解を生む。
すれ違いのきっかけになる。
だから、行動で表して、そこに言葉を添えれば一番いいんじゃないかって思うんだ。
すいません、更新またおくれました><
このルーズさどうにかしないとな。。