9話 感情を胸に | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「なにが?」


当然、彼はその質問をぶつけてくる。


気持ち先行の言葉は相手には伝わりにくい。


『ごめん』それだけじゃ何もわからないんだ。


ただでさえ、言葉は不完全なものだ。


言葉だけじゃ伝わらないことだってたくさんある。それでも、今は言葉で、十分伝わる。


気持ち先行のエゴに近い言葉じゃなければ。


「昨日のことだよ。私のせいで風邪・・・引いたんだよね?」


「山口さんのせい?そんなことないよ。ただ、昨日は久しぶりの雨で寒かったから・・・」


「傘・・・」


由紀は彼の嘘で固められた言葉を強引に区切った。そして、続ける。


「なかったんだよね?もう一本」


「・・・あったよ。ちゃんと」


少しだけ間を空けた後に彼はそう言った。虚勢を張る彼。そこに何の意味があるんだろう?


「もう、いいから。知ってるんだよ。佐藤君のクラスの人から聞いたから」


「そうなんだ?」


はぁ・・・彼は一つため息をついた。


「うん。だから・・・謝りたかったんだよ」


「謝られても、あんまり嬉しくないんだけど?」


それだったら、お礼の方が良かったかな。彼は冗談交じりにそう言った。


・・・お礼の方が正しかったのか。でも、ごめんも間違ってないよね。


「じゃあ、お礼。ありがと」


改めて、もう一度。今度は彼への感謝の気持ちを電話越しに伝える。


「どういたしまして」


彼の優しい声。この言葉だけ、なぜか鮮明に耳に入ってきた。


ふと、彼の顔が浮かんだ。笑顔の彼が。


今の言葉もきっと彼は優しい笑みを浮かべて言ってくれたんだろうな。


そんなことを思った。


「じゃあ・・・電話切るね。それが言いたかっただけだから」


「わかった」


「風邪、早く治してね」


「できるだけ」


「うん。傘、いつ返せばいい?」


「そうだな・・・。明日、お願い」


「明日?風邪治ってるの?」


「多分。治ってなかったらまた電話するよ」


「わかった」


「じゃあ、また」


「うん」


ツーツーツー。


彼の最後の言葉が終わってすぐ後、間抜けな・・・寂しげな。


そんな電子音が耳元に響く。


・・・もう少し話かったな。そう思う。


と同時に、自分の気持ちに気づく。


彼の優しさ。笑顔。それらが混ざり合って、一つの感情を沸き起こさせたんだ。


その感情を胸に彼にこう告げる。


「ねぇ・・・」


ツーツーツー。


通話は切れているから彼に言葉は届かない。


それを承知で、だからこそ言える。


「好きだよ」


気持ちを込めて。




由紀はこの時初めて恋を知った。


そして、初めて告白の言葉を口にした。


それは、相手には届いていないけれど、大きな大きな・・・


一歩目だった。




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日曜日ですね。


みなさん、今日は何かご予定はありますか?


僕は、ストックを溜めるのと、他の小説を書くという作業で終わる気がします。


来週の休みはあまり暇がないので、今日やらなければ・・・。


ではでは。


明日は日常ブログです。


直樹君かっこいいなぁ・・・ww