1話 いつからだろう? | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

浩平が玄関で靴を履くところが見えた。


由紀は浩平のもとへ駆け寄り


「いってらっしゃい」


笑顔で言った。浩平がドアを開ける。


「うん」


そう言って、踵を返して歩き出す浩平を見送った後に由紀は扉を閉めた。


早く真帆のお弁当作らなきゃ。由紀は腕をまくり、キッチンに立つ。


「ママーおはよう」


作ろうとする刹那、真帆が眠そうに眼を擦りながら由紀の前に現れる。


「まだ寝てていいのよ?」


由紀は卵を割って、かき混ぜる。


「大丈夫だよー」


こんなことをしている自分なんて想像もしてなかった。子供ができて、他愛もない話をして。


そして、話をしつつお弁当を作って。


ずいぶん女性らしくなったものだ。由紀は内心肩をすくめて苦笑した。


10年前、あの頃は何もできない不器用な女の子で、結婚なんて二文字を想像すらしてなかった。


・・・大切な人が隣にいたのにもかかわらず。


あの頃は結婚というものよりも、今がずっと続けばいい。そんなことを考えていたんだ。


それは、学生ならではの想い。


大人になって、そんなことを考える女性は数少ない。


高校を卒業して、大学生になって、そのころもまだ、結婚という言葉は浮かばなかった。


・・・いや、まだきっと恋という名の亡骸に埋もれて、結婚どころか恋がしたいとすら思わなかった時期だ。


一番、恋の経験値を積む場所なのに。


大学を卒業して、一般の中小企業に就職した。その頃からだろう。結婚を少しずつ考え始めたのは。


高校の頃のわだかまりを引きずっていたのは確かだが、そればかりを見ても仕方ない。


思い出は鮮やかに残りはするが、現実として存在することはない。


そう自分に言い聞かせて、就職一年目で浩平と結婚した。


早く忘れるためにも。


浩平は優しく誠実で、由紀をのすべてを包み込んでくれる・・・そんな人。


この人を逃したら、次、いついい人に会えるかわからない。そう思った。


けれど、生活をしていく中で、わだかまりが生じた。


心に何かしらの違和感を覚えた。


『いいじゃん、浩平さん。イケメンだし優しいし。あんな人めったにいないよー』


『浩平さん、年収もいいしねー』


皆が口をそろえてそう言う。


うん。それは思う。けれど、それは他人事であったらの話であって、自分事となると違う。


確かにいい人だ、けど。




いつからだろう?


キスをするたびに胸が痛くなるのは。


いつからだろう?


セックスをするたびに嫌な気持ちになるのは。


いつからだろう?


抱きしめられた時に悲しくなるのは。


すべてがやさしさで包まれているのに。




わかってる。


全部。


いつから思っていたのかも、なぜそう思うのかも。


別れたいとは思わない。


誰であってもそのわだかまりは消えないと自信を持って言えるから。


それに、自分には真帆がいる。


真帆がいれば、そのすべてが軽減されていく。


高校の頃、人生のすべてだった直樹の存在。


今はそれが真帆に変わっている。


(今は・・・真帆がいればそれでいい)


そう思えるほどに。





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一話です。


前回同様過去を引きずっていますが、そこには大きな違いがあります。


今、ストックを溜めてて、長くなりそうだなぁと思っています。


100いくかもです。


最後まで見てくださると嬉しいです。


次回は明後日の金曜日。7時です。


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