最終話 好きだよ・・・ | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

久しぶりに来た母校は何も変わらない。


特別錆びたわけでもなければ、何かが増えたり、なくなったわけでもない。


あれからの月日はすごく長く感じた。


けれど、この瞬間だけ時が戻ったかのような錯覚に陥る。


悠太は警備員がいないのを確認して、校舎の中に入っていく。


悠太が指定したのは2人が通っていた高校。


2人が恋に落ちて・・・育んだ。スタートになる場所。


悠太は『3-2』そう書かれた教室のドアを開ける。


悠太が高校生活を終えた教室。


そして、今は綾音が使っている教室。


ドアを開けると、そこにはもう綾音の姿があった。教室は真っ暗で姿は確認できるが、表情は確認できない。けれど、なんとなくわかったのはあの頃よりも背が少し伸びたこと。それは、模試の時は感じなかったけれど。


「久しぶり」


綾音の声が聞こえる。


「うん」


悠太はゆっくりとドアを閉める。


「電気つけないの?」


「つけたら、見周りの人来ちゃうじゃん」


綾音はそう言って、壁に寄り掛かった。


「まあ、確かに」


「で・・・今日は返事をしに来てくれたんだよね?」


綾音は薄く笑った。なぜか、その表情だけ鮮明に見える。


「うん。でも、その前に聞きたいことがあるんだ」


「何?」




~side綾音~




「なんで綾音は俺が好きなの?」


悠太は率直に真っすぐに綾音に問う。


「なんでって・・・」


「俺はあの頃から何も変わってないよ」


何もかも。悠太はそう続ける。


今でも好きだ。そう言われた気がした。とたんに胸が熱くなる。


「何も変わらないのに・・・振って・・・また付き合いたいなんて思うの?」


それと対照的に悠太の口調は少しだけ厳しくなる。


「私は・・・」


言葉を発しようとしたその時、廊下から足音が聞こえた。と同時に懐中電灯の明かりが見えた。


「悠太君!」


綾音は小声で悠太を自分の方へ呼ぶ。綾音がいる位置はドアのガラスからは死角になる。


2人は息をひそめ、それが通り過ぎるのを待つ。


気付けば、2人は手を繋いでいた。意識すると、急に顔が熱くなる。


綾音は悠太を見る。


微かな光の中で、2人の目が合った。


「・・・行ったな」


「うん」


悠太は綾音の手を離そうとする。


けれど、綾音は離さないように、その手を思いっきり握りしめる。


悠太の手は前よりも温かくて、少しだけ違和感を覚えた。けれど、これは悠太の手。離しちゃいけない。


「・・・綾音?」


「私は・・・ずっと好きだった。あの別れた時も。ただ、少しだけ冷めた気がしたから・・・少し距離をとって再確認したかっただけなんだよ・・・」


「何を?」


「悠太君が私にとってどれだけ大切なのかを」


綾音の目には涙がたまっていた。綾音はそれを止めようとはしない。


今は、自分の気持ちを分かってもらうこと。それしか考えていなかった。


「悠太君・・・私ね悠太君のこと」




~side悠太~





「好きだよ」


綾音の涙ながらのその言葉が嬉しかった。


「うん」


俺も。そう言おうとした時、ふいに菜穂の笑顔が浮かんで・・・歪んだ。


っ・・・。なんで・・・。


「悠太君?」


少しだけ背が高くなった綾音が悠太を見る。


その綾音の上目づかいは、高さが変わったからなのか、なにか違うものに見えた。


(そっか)


その時、気付く。綾音との恋はあの時に終わったのだということを。


今まで思ってきた綾音への感情は過去のもの。


こんな恋がまたできたらいいな。そんな思いから出てきたものだ。


だから、ほとんどなにも変わっていないはずの綾音にも違和感を抱いてしまう。


自分はいつのまにか、今の菜穂とのことに満足している。これでいいと思っている。


菜穂の笑顔を見たいと思っている。


綾音が好きな気持ちは・・・過去のもので錯覚に過ぎない。


「俺さ、今付き合ってる人いるんだ。まだ綾音に比べれば全然、付き合っていた歳月は長くないんだけど」


「それは・・・もう私は必要じゃないってこと?」


「・・・うん。俺にとって・・・もう綾音は過去なんだよ。それはきっと綾音にとっても」


「私は・・・!!」


違う。綾音がそう言おうとしているのを悠太は制す。


「俺はずっと綾音が好きだったけど、それは当然、過去の綾音で今の綾音じゃない。今の綾音のことなんて全然知らないし、分からない。それは綾音も同じだろ?」


「うん・・・」


「俺たちは過去の相手をずっと想っていた。そこに、今の2人はないんだよ。ただ幻影を見ていただけで」


「私は・・・」


綾音は言葉を探して口ごもる。そして、何も思い浮かばずに黙りこむ。


それが綾音の答え。


2人の恋は別れた時に散った。恋は花と同じ。一度散ったら全く同じ恋・・・花は咲かない。


姿かたちは似ても、同じものではない。


相手は同じでも、違っても。過去の継続で恋はできない。


もう・・・戻れないんだ。


「今までありがとな」


悠太は軽く綾音の頭を叩いた。


「・・・もうダメなのかなぁ?」


悲しそうな表情を浮かべて悠太に問う。


「・・・最後に会えてよかったよ」


悠太は間接的にその返事をした。





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1時間半かかりました・・・。


どんだけww


この結末をみなさんが受け入れてくださるかわかりませんが・・・一応終わりです!


どうでしたか?


明後日の月曜日にエピローグを書きたいと思います。


エピローグは悠太編、綾音編で書くので月曜日、火曜日で書きます。