好きだよ。
宛先を悠太にして、本文にそう打ち込む。
そして、自分だと分かるように件名に「綾音です」と自分の名前を記す。
そこまで打って・・・。
けれど、送信ボタンは押せない。
カチ・・・カチ・・・カチ・・・。
時計の針が一定の速さで進んでいく。
その無機質な音だけを聞きながら、綾音は送れないそのメールをじっと眺める。
送ったら、悠太君はどんな反応をするだろうか。どんなメールを返してくるだろうか。
なんとなく、予想はつく。
「ごめん」
ただ一言。そんな素っ気ないメールが来る気がするんだ。
彼にはきっと、新しい恋人ができているはずだ。
そんな彼にこのメールを送ったらどれだけの迷惑をかけるだろう。
我儘な想いから彼に別れを告げて。
我儘な想いから、もう一度やり直したい。そう彼に伝えて。
自分勝手にもほどがある。
・・・それでも。
悠太が好きなんだ。
ふぅ・・・。
一つ息を大きく吐き出す。そして、ゆっくり目を閉じた。
今までの悠太との思い出が綾音の脳裏によみがえる。
最初のデート、最初のキス。
2人で過ごした数々の場所や、掛け合った言葉。
幸せだった。すごく。
・・・もう一度、やり直したい・・・な。
キスは好きな人がいい。
心から、迷いなく、好きだ。そう言える相手がいい。
綾音はゆっくりと目を開けて、親指を送信ボタンのところに置いた。
そして、ゆっくりとそのボタンを押す。
送信中。その表示が出た後、すぐに送信完了の表示が現れる。
「・・・送っちゃった」
綾音はゆっくりとケイタイを閉じて、枕に顔を伏せる。
「返信、怖いなぁ」
悠太からの返信は断りのメールなのか、もう一度。そんな意味を含めたメールなのか。
返信が来るまでの一秒一秒が長く感じる。
時計の秒針の音だけをただただ耳に入れる。
もう10分は経っただろうか。
悠太はメールの返信はけっこう早い方だ。
バイトはあの頃と同じなら深夜のバイト。この時間はメールを返せる時間のはず。
そう思っていた刹那。ケイタイのバイブ音が部屋中に響き渡った。
きた・・・。
綾音はゆっくりと開いて、宛先を確信する。
「悠太から・・・だ」
ドクン・・・ドクン・・・。
胸の鼓動が速くなる。
綾音は目を閉じて、開くボタンを押す。
そして、ゆっくりと目を開けた・・・。
↑ ↑ ↑
押してください~!!
励みになるので
短いですね。
長くできませんでした。
昨日更新、するはずだったのですが・・・疲労で・・・。
今日の更新になってしまいました。
次回は明後日の木曜日。
悠太編です。
悠太がどんな心境で、どんなメールを返すのか。
是非見てください!
木曜日絶対更新します。
もうすぐクライマックスです。