それは突然に、何の前触れもなく訪れた。
図書館からの帰り道。行きと同じように、2人で自転車に乗って、来た時と同じ道を通る。
けれど、それはすべて同じという訳ではなく・・・。
「公園、寄っていかない?」
「いいよ」
2人は家の近くにある公園に行った。
「久しぶりじゃない?この公園」
「そうだね。懐かしい」
そこは小さい頃、2人がよく遊んでいた公園。近場にあるとはいえ、この歳になって公園に来ることなんてなかなかない。
辺りを見渡すと、遊具など何も変化はなく、あの頃にタイムスリップしたように感じる。
淳一はブランコに乗って、小さく漕ぎ始めた。
少しずつ力を加えていき、揺れる幅がどんどん大きくなっていく。
ブランコの鉄がしなる音があの時を思い起こさせる。
「危ないよ、淳一!」
「大丈夫だって」
無邪気に走り、ブランコに立ち乗りして、勢いよく力を加える。
「もー。少しは言うこと聞いてよ」
「やーだよ」
あの頃の淳一は弟のようで・・・。
「綾音」
淳一は綾音の名前を呼んだ。その声で現実世界に引き戻される。
ブランコにいる淳一は恋人としての今の淳一。
時の流れの大きな変化に苦笑する。
「何?」
綾音のその言葉の後、淳一は揺れているブランコから飛び降りて、好きだよ。
照れながら口にした。性格は変わらない。危なっかしいままだった。
「ありがと」
綾音は、好きとは言わなかった。ただ、相手の気持ちを受け入れるだけ。
付き合っているのは確かだけど、実感というものがあまりない。
幼馴染のころと何も変わらない。
『まだ』手も繋いでない。キスもしてない。
それはきっと淳一も同じだったのだろう。そっと、近づいてきて、綾音を抱きしめる。
恋人である。それを綾音にも自分にもわかるように強く。
綾音はそれを拒絶することなく受け入れる。
・・・嫌じゃない。
数秒で、淳一は綾音から離れる。
そして、今度は顔をゆっくりと近づけてくる。
キスをするんだ・・・。
綾音は目を閉じた。と、同時に淳一の唇が触れる。
刹那の反応だった。ズキン・・・胸が痛む。それと同時に悠太の顔がなぜか浮かんでくる。
触れたのはほんの一瞬。すぐに唇は離れる。
目を開けると、そこには恥ずかしそうに下を向く淳一。
そんな淳一に綾音は罪悪感を抱いて、泣きそうになる。
(ごめんね・・・)
心の中で綾音は呟いた。
淳一のことは嫌いじゃない。けれど、嫌だった。
キスは簡単なものじゃない。自分にとってそれは大好きな人としかできない大きなものだった。
失いたくない。それだけではできないほどの・・・。
家に帰り、綾音はベッドに寝転がる。
はぁ・・・。そうため息をつきながら。
そして、携帯を開いて・・・まだ消していない悠太のアドレスを呼び起こした。
送れるはずのないアドレスを。
↑ ↑ ↑
押してください~!!
励みになるので
・・・展開を急ぎました。
なんか、まとまってないですね><
ん~・・・だめだなぁ。
もうすぐ終わりを迎えます!
次回は月曜日です。