「もしもし」
「・・・淳一?どうしたの?」
電話の相手は淳一だった。
淳一とは最近、よく遊んだりするなかにまで発展・・・いや、昔に戻っていた。
恋愛に発展することはない。ただ、友達として遊んでいるだけの関係。
男女間の友情は成立は難しい。
けれど、淳一だけはそれさえも簡単に成り立ってしまうようなそんな気がした。
それとも・・・そう思いたいだけなのかもしれないけど。
新しい恋はしたいとは思う。悠太という存在を消し去りたいというためだけじゃなく、自分自身が前を向くためにも。
しかし、まだ怖い。付き合って幸せな気分になって。それをまた失うことになったら・・・。
そう考えると、誰かと付き合うことが怖くなってしまうんだ。
自分から失った恋なのにね。綾音は自嘲した。
「今何してるのかなって思ってさ」
「今は散歩中だよ」
綾音は空を仰いだ。悠然と流れる雲に太陽が覆われる。
あたりが少しだけ暗くなり、暑さが和らいだ。
けれど、風が強いのか、雲はすぐに流れて、また太陽が綾音を照らす。
そんな太陽を綾音は睨みつける。
そして、その意味のなさに、苦笑して、視線を落とした。
「勉強はしないのか?」
淳一が問う。
「休憩も必要でしょ?」
「まあ、確かに」
でも、綾音は休憩ばっかしてそうなイメージがあるな。からかうように淳一はそう続ける。
やっぱ悠太君とは違うな。そんなことを思う。
淳一と悠太は対照的ともいえるほどに違う。
いつでも優しい悠太に、からかってくる淳一。
どちらの方が付き合ってて楽しいのだろう?幸せなのだろう?
なんて考えてはみるが、答えは出ない。
どちらにせよ、気持ち次第。好きなら幸せなのだろう。
それが、綾音の出した答え。もっとも2人を比べること自体間違っているのだが。
元彼と友達と。どちらも恋人とは近く、遠い存在だ。
普通に考えたら、近い存在だ。
元彼は昔付き合っていたわけだし、友達だって、恋人に昇華するのはさして難しいことではない。
でも、綾音にとってそれは果てしなく遠いもののように思えた。
「けっこう勉強してますから。淳一はやってるの?」
「俺?まあまあ」
「やってないんだ?」
「今は休憩ってだけだよ」
「そっか」
彼女と別れたという淳一。けれど、声は明るい。
もう、半年近くたっているから当然と言えば当然なのだが、それでも、未練とかそういうものはないのかなと思う。
綾音はこんなにも引きずっているのに。まだ明るくなれないのに。
淳一は簡単に切り替えられるのだろうか。
もちろん自分が平均とは限らないことぐらい分かっている。
「ねぇ、淳一」
考えるより先に、思っていることが口を通して音として外に漏れていた。
「何?」
彼女のことはもう吹っ切れたの?
言葉を喉元で止めた。
聞いちゃいけない。もしも、まだ引きずってたら、傷を抉ることになるだけだ。
仲間がほしい。そんな安心感を求める自己満足は無意味で虚無なものだ。
勉強した?
テスト前に仲間がほしくてそんな事を聞いたって自分の点数が上がるわけじゃない。
勉強してない。そんな答えを望んでいる。
自分だけじゃない、そう思いたくて聞いているだけ。
それと同じだ。
聞いたことろで・・・何も変わらない。
「ごめん。なんでもないや」
今から、勉強するから切るね。そう続けて、綾音は電話を切った。
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ってことで、時間軸も八月ですww
いや、関係ないです。
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