9話 アヤマチ | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

そんな疑問が浮かんだ瞬間。


大好き。そんな彼への想いの形が不安定に歪む。


嫌いになったわけじゃない。


けれど・・・なにか。言葉では表せない何かが恋心を邪魔しているのがわかった。


彼への想いはそんなにも脆くてちっぽけなものだったのだろうか。


もっと単純に、彼だけを見ていられたと思っていた。


どんな障害でも乗り越えられて、この人のことをずっと好きだと言える自信があった。


彼にだって、きっと・・・。


彼への申し訳なさ、自分への苛立ち。両方がこみ上げてくる。


「ごめん・・・」


誰もいない。自分一人だけの部屋の中で呟く。


少しでも疑問を持ってしまえば、それは時が経つにつれてどんどん大きくなっていく。


そして、それは気付かぬうちに、当たり前の事実になっていく。


好きじゃないのかもしれない。そんな想いから、好きじゃないんだろう。そんな想いへと。


イブから日をまたいでクリスマスになって。


綾音の心の中にある悠太への気持ちは不確かなものへと完全に変化していた。


・・・これじゃあ、だめだよね。


華やかな街並みとは裏腹の気持ちで。


綾音は別れるという決意を決めた。


ずっと会えなくなる。そんな関係にするつもりはなかった。


少し離れてみて、悠太の大切さを知って。


自分が悠太のことが好きなんだと自分に対して思えるように・・・。


そうしたかっただけ。


なのに・・・。


「わかった。じゃあ、アドレス、消そうか」


悠太のその言葉は予想もしてなかったことだった。


嫌だ。そう言いたかった。


それと同時に、自分にはそんな資格があるはずないとも思った。


別れを切り出しているのは綾音の方なのだから。


悠太の悲しそうな顔に胸が痛む。


平静を装う悠太。けれども、今にも泣きそうで・・・。


こんな望んでもいない時を過ごさせて、そしていつかまた一緒に・・・


そんなムシがいいことを考えている自分。


「ごめんね・・・」


綾音は俯きながらそう言った。


浅はかな自分の考えに対するものと、別れを切り出した根本的なもの。


この言葉には二つの意味が含まれていた。


けれど、当然悠太には後者の意味しか届いていないのだが。


「うん」


悠太はアドレスを消し終えたのか、ケイタイをポケットにしまった。


そして、言葉を続ける。


「綾音も消しといてね?」


もう必要ないだろうからさ。微笑しながら言う悠太。


そんな悠太を見て涙がこぼれそうになる。


ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい・・・・・・。


「わかった」


涙を必死にこらえながら綾音は頷いた。


泣いちゃいけない。泣きたいのはきっと悠太の方なのだ。


「あ、ちょっと待ってて」


悠太は立ち上がり、綾音の返事も聞かず、その場からいなくなる。


直後、一条の風が吹いて、体が震える。


心と体。同時に来る寒さは棘のように痛い。


「はい」


すろと、後ろから悠太が現れて、缶を綾音に手渡した。


「寒いだろ?」


そう言いながら。


・・・覚えていてくれたんだ。


付き合って、間もないころ、悠太にドキッと来るシュチュエーションは?と聞かれたことがある。


その時に、寒い時、ふいにあったかいココアをくれた時かな。


そう答えたことを・・・。


「ありがとう・・・」


受け取った途端、全身が温かくなる。


優しさに、温もりに包まれたように。


けれども、それは一瞬のようにすぐの出来事で。


飲み終わって、終電が近づいてきて。


「帰ろうか?」


悠太が言った。もう少し一緒に・・・。そんなことを言う権利など自分にはない。


「うん」


「駅まで来なくて大丈夫だから。じゃあ・・・ばいばい」


・・・っ。


いつもなら『またね』なのに、『ばいばい』だった。


それは、もう会えないということを、再確認させるような・・・そんな言葉。


「うん・・・ばいばい」


彼の背中を見送った後、自然に涙がこぼれてた。


その時に思った。


まだ自分は悠太のことが好きであると。


彼に恋をしているということを。




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一応伏線ですww


それと、申し訳ありません。


更新する時間・・・。


次は九日の月曜日!


ちゃんと7時に更新します。