女子高。
響きはすごく良いものではあるが、実際に入ってみればそこがいかによくないかがわかる。
男子たちにとっては花園であっても、女子たちにとってはそこは汚い枯れた花の集まる場所。
真逆の意味合いを持った場所なんだ。
帰りのHRが終わり、いつも通り騒がしくなる。
耳障りなノイズ音。
一刻も早く、この場から逃げ出したくて、帰り支度を手早く済ませる。
「さようなら」
先生にそう声をかけて、教室を出る。
早く帰んなくちゃ。今日はお母さん帰るの遅くなるって言ってたし・・・家事やんないとな。
綾音が高校に入り、母親も仕事を始め、両親が共働きになった。
それが、自分のせいであると綾音は自覚している。
公立の受験に失敗して、滑り止めの私立への入学。
綾音にとって、もちろん想定外の事態ではあったが、両親にとってもそれは同じであった。
綾音の家は貧乏といわけではないが、裕福であるという訳でもない。
お金のかかる私立へ行くには、当然それなりの金額が必要になる。
さらに、綾音が大学に行ったとしたら、尚のことだ。
それを考え、母親は仕事を始めたのである。
自分のせいで無駄な苦労をかけてしまっている。
それに負い目を感じた綾音は家事を手伝うようになった。
そして、自分のあるバイト代から毎月一定の額を親に渡している。
ほんと・・・高校生、全然楽しくないよなぁ・・・。
行きたくもない学校行って、親に迷惑かけて。
彼氏とも別れて・・・。
なにやってんだろ。
ため息をつきながら、俯いていると、綾音、と後ろから声をかけられた。
「一緒に帰ろ!」
振り向くまでもなく、それが麻衣だと分かった。
高校に入ってからの最初の友達。駅が隣ということもあり、よく一緒に帰る相手だ。
「いいよ」
毎日麻衣と一緒に帰ってる気がするよ、冗談混じりにそう言うと、麻衣は、お互いに友達が少ないのかもね。苦笑しながら言った。
「まあ、狭く深くが私のもっとうなんで気にしてないけどね」
「麻衣は友達多そうに見えるんだけどね」
「なんで?」
不思議そうな顔で麻衣は問う。
「明るいから。それに社交的だからね」
それは社交辞令なんかではなく、率直な感想だった。
麻衣は、誰とでも仲良く話すことができるし、普段も明るい。
とても、友達が少ない人には見えない。
「それは作ってるだけだよ。皆に嫌われない程度に、作ってるだけ」
「じゃあ、もっと普段は暗いの?」
「いや・・・どうだろ?まあ、少なくともあんなキャラじゃないよ、私は」
あれ、疲れるんだけどね。そう言う麻衣に、だったらやめれば?そう返すと
「今から変えたらいじめの標的にされそうで怖いからやめとくよ。女子高って怖いから」
・・・ごもっとも。
「ところでさ、この後って暇?」
麻衣は階段を一段飛ばしで降りて、綾音より先に、踊り場に着く。
そして、まだ階段を下りている綾音の方を振り返り、笑顔で聞いた。
綾音はこの後の予定を思い返す。
家事がある・・・が。でも、別にお母さんが帰ってくるまでに終わらせればいい話だからな。
「遅くならなければ」
「やった。じゃあ、買い物付き合ってよ」
「いいけど、なんで急に?」
「寒いから、マフラー欲しいなぁって思ってさ」
綾音が踊り場に着くと、また一歩先に麻衣が階段を降り始める。
「確かに。2月だからね。一番寒い時期だ」
「でしょ?綾音はマフラーいらないの?」
「別に、いいかなって」
「前持ってたよね?」
「う・・・」
綾音は言葉に詰まる。
去年の今頃はマフラーを巻いていた。
それは、とても気に入っていて、大事にしていた・・・彼からの贈り物。
別れてしまった今、それを巻くことははばかられる。
「彼からのだっけ?」
悪びれる様子もなく麻衣は聞いた。
「そうだよ」
「まだ、引きずってるんだ?」
麻衣のため息交じりのその言葉が、棘のようにチクリと胸に刺さった。
↑ ↑ ↑
押してください~!!
励みになるので
すいません、画面変えたんですが、めんどくさくてこうなりましたww
しかも、季節感のなさ・・・。
物語が今、冬なので許してください!!w
BGMも変えました~