~side綾音~
指で器用にペンを回しながら、綾音は時計を見た。
もうすぐ鐘・・・鳴るかな。
そう思った直後、聞きなれたチャイムが鳴り響き、授業の終わりを知らせる。
同時に、クラスの生徒達は会話を始めて、さっきまでとは全く違った雰囲気が教室を包み込む。
喧騒の中、綾音はただただペンを回し続け、それを目で追う。
ずいぶん、上達したもんだ。自分でもそう思う。
と、同時に苦笑してしまう。
昔は、一切できなかったのだが、彼に教えてもらって、ここまでできるようになった。
綾音のテストが近いということもあり、二人ファミレスで勉強をしていた時のこと。
悠太のペン回しが、常人のそれとは違うようなスピードで、回転数で回っていたので綾音は驚いた。
「ねぇ、それどうやってるの?」
「どうって言っても・・・」
こうやってるだけだよ。言葉を紡ぎながら当たり前のようにペンを一回転させる。
「ん~・・・」
綾音もまねをして、同じように回そうとするがうまくいかない。
カラン。
床にペンが落ちて、小さな音が喧騒の中で微かに響く。
「会得してもいいことはないと思うよ。勉強に集中できなくなるから」
「回せない方がイライラする」
「今回のテストに響いたらどうするんだよ」
「そこまで疎かにするつもりはないから」
だから教えてよ、お願いだからと綾音は両手を合わせて小首を傾げ、悠太を見る。
「わかったよ」
悠太はため息をつきながら頷いた。
「ありがと」
悠太は優しい。基本的に綾音のことを優先してくれて、いつも気配りをしてくれる。
完璧な彼氏。
嫌いになる理由は見当たらなかった。
「難しいなぁ・・・」
ぶつぶつ、呟きながら練習をしていると
「持ち方違うから・・・。手さ・・・」
ごく自然に、当たり前のように、悠太は綾音の手に触れた。
冷たい彼の手。だからこそ、触れてるって感じやすい。
ドクン。心臓が鼓動を上げた。
デートの最中。分かりきっていて尚。
「私、悠太君のこと好きだよ」
恥ずかしいセリフを言ったと思い、顔が熱くなる。
けど、悠太はごく自然に笑みを浮かべて
「俺も好きだよ」
その悠太の言葉は嬉しかった。
すごく、幸せに思えた。・・・はずなのに。
カラン・・・。
不覚にも、ペンが手からすり抜け、机の上に落ちた。
「辛いなぁ・・・」
誰にも聞こえない大きさでそう呟いて、机に顔をうずめた。
失った恋は苦い。苦いのに、どこか甘い。
その甘さは妄想の中にいるときだけ。
現実に戻れば・・・どんな悲しみよりも深く、苦く、嫌なものでしかない。
ひどく後悔する。
なんで、あの笑顔を手放してしまったのだろう。
あの優しさを手放してしまったのだろう。
最大の過ちを犯したと気づいた後から、自己嫌悪が降りかかる。
痛み、悲しみ、寂しさ。
そして・・・愛しさ。
それらが、浮かびあがってはまた沈み。
繰り返すごとに、自分の心を締めつけていく。
いつか壊れてしまうのではないだろうか。
それほどに・・・強く。
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励みになるので
自分の文章を読み返していて思うんですが、暗い!!ww
すごくず~んとなる話ですよねww
テンション下がるわ~w
とは言っても、明るい話を自分は書けないので・・・
いたしかたない・・・。。
自分から切り出した別れ。
なのに、後悔してしまう。
みなさんはそんな経験ありますか?
次回は30日の午前7時です。
タイトルは「マフラー」
おたのしみに★
あ、次回までにはbgmとタイトル画面変えます!