4話 一線 | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

悠太は窓から空を見上げる。


大粒の雨が降る空から星空は見えなかった。


それどころか、月さえも見えずに、ただ暗闇が一面を覆い尽くすだけ。


悠太はベランダのさくに肘を乗せて、これでよかったのかと少し悩み、後悔する。


菜穂のことを利用しただけじゃないかと。


自分の空っぽになった心の穴に、埋めたただの代用品なんじゃないかと。


眼を閉じて、頭の中を空にして、最初に出てくるのは綾音の顔。


菜穂ではない。


まだ一ヶ月も経っていないのだから当然といえば当然なのだが、これほどまでに女々しいのかと思うと、自分じゃないようにさえ感じてしまう。


自分はもっと冷静で、感情に流されるタイプではないはずなのに・・・これだ。


綾音の顔ばかりを浮かべて、落ち込んで。




恋愛には別れがつきものだ。


それは分かっていたし、いつかそうなるだろうなんてことも想像がついていた。


恋愛をする以上は。


それを理解している自分はそんなに悲しむこともなく、あっけなく、関係は終わって行くのだろうな。


そう思っていた。


基本的に、自分は冷めた人間で、感情的な部分はあまり見当たらない。


そんな、自分だから自分を客観的に見て、そういう結論に達したんだ。


けれど、実際は違った。


気づけば、一線を越えてしまっていた、例外を作ってしまっていたんだ。


「別れよう」


そう言われた時の胸の痛みは尋常じゃない。


思っていたより、はるかに痛くて辛い。


虚勢を張り続けて、食い下がることはしなかった。


勤めて冷静で。物わかりのいい男であり続けようと思った。


すべてを受け入れる、寛大でおおらかな自分。


それがいけなかったのだと思う。


それのせいで、今もこうして後悔をしているのだと思う。


綾音が言った理由は、分かりやすいものではあったのだけれど、納得はいかなかった。


それが別れるに直結することに値しないものだと思っていたんだ。


だから嫌なんだ。


いっそのこと、嫌いって言ってくれたらどれほど良かっただろう。


好きな人ができたって言ってくれたらどれほど良かっただろう。


もちろん、そんな言葉は嬉しくもないのだが、それでも、納得のいくものだったはずだ。


必要とされていない。その事実が何よりも辛いものだったんだ。




当たり前のように、キスをして。


当然のように、抱きしめて。


その当たり前で当然だと思っていることは、すぐ側にあるうちは大切だと気づかない。


それがなくなった時、手元から離れていってしまった時。


初めて、それの大切さに気付くんだ。


「綾音・・・」


呟いたその言葉は雨の音にかき消され、何もなかったかのような状態に戻る。


連絡手段もなにもなく、会うことができない相手。


それなのに・・・なんでこんなにも彼女のことを思い続けているのだろう・・・。


ドクン。


何の前触れもなく。


何の意味もなく。


彼女の顔が思い浮かんで、胸が締め付けられるように鼓動を上げた。




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いや、必要なはずだ!!ww


文章的にかなり短いが・・・ww


次回は5話。


綾音の目線での話になります。


掲載日時は28日、午前7時です。


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