悠太は窓から空を見上げる。
大粒の雨が降る空から星空は見えなかった。
それどころか、月さえも見えずに、ただ暗闇が一面を覆い尽くすだけ。
悠太はベランダのさくに肘を乗せて、これでよかったのかと少し悩み、後悔する。
菜穂のことを利用しただけじゃないかと。
自分の空っぽになった心の穴に、埋めたただの代用品なんじゃないかと。
眼を閉じて、頭の中を空にして、最初に出てくるのは綾音の顔。
菜穂ではない。
まだ一ヶ月も経っていないのだから当然といえば当然なのだが、これほどまでに女々しいのかと思うと、自分じゃないようにさえ感じてしまう。
自分はもっと冷静で、感情に流されるタイプではないはずなのに・・・これだ。
綾音の顔ばかりを浮かべて、落ち込んで。
恋愛には別れがつきものだ。
それは分かっていたし、いつかそうなるだろうなんてことも想像がついていた。
恋愛をする以上は。
それを理解している自分はそんなに悲しむこともなく、あっけなく、関係は終わって行くのだろうな。
そう思っていた。
基本的に、自分は冷めた人間で、感情的な部分はあまり見当たらない。
そんな、自分だから自分を客観的に見て、そういう結論に達したんだ。
けれど、実際は違った。
気づけば、一線を越えてしまっていた、例外を作ってしまっていたんだ。
「別れよう」
そう言われた時の胸の痛みは尋常じゃない。
思っていたより、はるかに痛くて辛い。
虚勢を張り続けて、食い下がることはしなかった。
勤めて冷静で。物わかりのいい男であり続けようと思った。
すべてを受け入れる、寛大でおおらかな自分。
それがいけなかったのだと思う。
それのせいで、今もこうして後悔をしているのだと思う。
綾音が言った理由は、分かりやすいものではあったのだけれど、納得はいかなかった。
それが別れるに直結することに値しないものだと思っていたんだ。
だから嫌なんだ。
いっそのこと、嫌いって言ってくれたらどれほど良かっただろう。
好きな人ができたって言ってくれたらどれほど良かっただろう。
もちろん、そんな言葉は嬉しくもないのだが、それでも、納得のいくものだったはずだ。
必要とされていない。その事実が何よりも辛いものだったんだ。
当たり前のように、キスをして。
当然のように、抱きしめて。
その当たり前で当然だと思っていることは、すぐ側にあるうちは大切だと気づかない。
それがなくなった時、手元から離れていってしまった時。
初めて、それの大切さに気付くんだ。
「綾音・・・」
呟いたその言葉は雨の音にかき消され、何もなかったかのような状態に戻る。
連絡手段もなにもなく、会うことができない相手。
それなのに・・・なんでこんなにも彼女のことを思い続けているのだろう・・・。
ドクン。
何の前触れもなく。
何の意味もなく。
彼女の顔が思い浮かんで、胸が締め付けられるように鼓動を上げた。
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この回は必要だったのかという・・・。
いや、必要なはずだ!!ww
文章的にかなり短いが・・・ww
次回は5話。
綾音の目線での話になります。
掲載日時は28日、午前7時です。
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