9話 いつもと違う | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

花びらが舞うように、ひらひらと手紙は舞い落ちていく。


パサッ。


微かな音とともに地面に落ちた手紙を目で追うものは誰もいなかった。


拓海は不審そうに僕を見て、僕は、必死に言い訳を考えて。


愛理は不安そうに僕を見つめる。


「えと・・・誰って?」


僕はなにも言ってないように装う。


「今、誰かと話してなかった?」


「誰とも。だって、ほら、周りに誰もいなくない?」


「だから、おかしいと思って聞いてんじゃん」


「空耳だろ?」


少し苦しいのは分かっている。


けど、他になんていいのかさっぱりわからない。


こういう時、頭が回らない自分に自嘲してしまう。


「そんなこと・・・」


彼がそれを否定しようとした時、チャイムが鳴った。


学校中に響き渡るこのチャイムは遅刻を知らせるもの。


「やばっ・・・」


僕と拓海の声が重なる。


そして、2人目で合図をして、同時に走り出す。


チャイムが鳴り終わる前に教室に入らないと遅刻になる。


僕らのクラスは最上階の四階にある。


三階を通り過ぎたところで、チャイムが半分終了し、それと同時に、僕の息が切れ始める。


相変わらずの体力のなさだ。


対照的に、拓海は一切そういった様子がない。


・・・拓海も運動部とか入ってないのに。


色々なところで、自分との差を見せつけられるが、ここで見せられるとは。


学校の階段の踊り場ごときで。


階段を上りきり、教室のドアを開ける。


そして、中に入ったところでチャイムが鳴った。


ギリギリセーフ。


そんな言葉を心の中で呟きながら、僕は席に座った。


ハァハァハァ・・・。


息が切れているのを必死に抑えながら、椅子に凭れかかる。


「お疲れ様です」


前の席のに座る小林渚が僕の方を振り返り、ニコッと笑った。


「いきなり何?」


「走ってきて、疲れてそうだったからさ。違った?」


首をかしげながら、彼女は聞いてきた。


「ご名答です」


「やっぱり。たまにはもう少し早く来たら?」


「今日は早く来たんだよ。だけど昇降口で・・・」


あ・・・。


昇降口でのさっきの会話を振り返った時に思い出す。


ラブレター拾い忘れた。


「どうしたの?」


不思議そうな顔で彼女が僕を見る。


「いや、なんでもないよ」


まぁ・・・いいか。


僕のじゃないし。


無責任なことを考えていた時、教室の扉が開いて、先生が入ってきた。


それと一緒に愛理も入ってくる。


・・・物には干渉できてしまうから、むやみに扉とかは開けられないってことか。


不便だな。


彼女は置いてくな。とでも言いたいのだろうか。


ムスッとした表情をしていた。


僕は苦笑してから、視線を外す。


「なんか、今日の純也君、変」


「変?なにが?」


「なにかが」


渚はそう言って、前を向いた。


抽象的な言葉に僕は戸惑う。


渚の背中を見つめながら、何が変なのか。


少し考えてみるが・・・さっぱりだ。


何もわからない。


『青井~。飯川~』


出席の確認が始まった。


学校の始まりを感じるこの瞬間。


『沼原~』


「は~い」


僕は気だるそうに返事をした。




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