99話 近づけるために  | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

~side裕哉~


塞がった唇からは声は漏れない。


ただただ甘いキスを味わうだけのモノ。


理菜さんの体温が伝わるわけじゃない。


だけど、理菜さんの想いが・・・感情が。


僕の心の中に入ってくるような気がした。


理菜さんはけして舌を絡めようとはしてこない。


ただ、純粋なキスをしているだけ。


だから僕もそのまま。


・・・どれくらい経っただろうか。


多分、まだ20秒くらい。


それが長いのか短いのかは分からないけど、そこで彼女は僕から唇を離した。


彼女は一回僕を見つけた後に、顔を赤らめて視線を落とした。


そして「なんか照れるね」


そう言って笑う。


「うん。でも急だったな・・・」


「嫌だった?」


「ううん。ただ心の準備ができてなかった」


「必要なの?」


「そりゃぁ・・・好きな人相手だし」


「そっか」


彼女は嬉しそうに笑った後、周りを確認する。


そして、誰もいないと確信した後に


「キス・・・します」


そう宣言をした。


その目は妖艶で僕をからかううように。


まるで小悪魔のような・・・。


「え・・・うん」


彼女は僕のたまどった返事を聞いた後、目をゆっくりと閉じながら・・・キスをした。


今度は一瞬。


数える間もないほど短い時間のキス。


「理菜?」


「ん?」


「・・・なんでもない」


僕は彼女の手を握る。


すると彼女も握り返してくる。


「いつぶりだろうね」


彼女は嬉しそうに・・・昔を思い返すように・・・。


僕にそう聞いた。


「何が?」


「こうやって手を握ることができたの・・・」


「初めて会った時以来だね。もう半年ぐらい前」


「凄い昔」


「そうだね。会ったのも半年ぶりだし」


「お久しぶりです」


彼女は手を繋いだまま深々と頭を下げた。


「なにそれ?」


「久しぶりに会った人にする挨拶だよ」


「うん。そうですね」


「流すの!?」


「うん」


「ひどいなぁ」


上の歯で舌の唇をかむ彼女。


それがすごく可愛くて、思わず


「可愛い・・・」


そう口に出してしまう。


すると彼女はその言葉を耳に入れたと同時に顔を赤くして


「可愛くない!」


そう反論した。


そして、ぷいっとそっぽを向く。


「ごめんごめん」


「いいよ~」


すぐ彼女は笑顔を見せる。


そんな昔とは少し違ったやりとり。


敬語で話していた昔とは違う。


それが嬉しかった。


彼女と僕の距離が縮まったような気がして。


でも、まだ遠い。


いや・・・遠くないけど近いわけでもない。


もっと・・・近づけなくちゃ・・・。


そう思った僕は「ねぇ・・・」


彼女を呼んだ。


「ん?」


彼女は首をかしげながら僕を見る。


「好きだよ・・・『理菜』・・・」


僕は彼女を呼び捨てでそう呼んだ・・・。




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