「理菜さん」
「はい?」
相変わらずのドア越しの会話。
声だけが聞こえる。
これだけ近くにいても、顔を見ることは・・・ない。
「隆弘君・・・って知ってますか?」
「え・・・」
「どういう関係ですか?」
もう分かっている。
目の前にいる隆弘君とドアの向こうにいる理菜さんの関係は。
でも、直接聴かなくちゃいけない。
想像だけで、決めつけてはいけない。
「急になんですか?」
なるべく平常心を保とうとしている彼女。
でもわかる。
内心すごく焦っていることは。
「いいから。答えて」
「・・・まさか、隆弘がそこにいるんですか?」
僕は彼を見て、小声で聞く。
「言っていい?」
すると彼は黙ってうなずいた。
「いるよ。僕の目の前に」
「だから・・・ですか」
すべてを悟ったようなそんな返事。
それは虚しさと悲しさを両方混ぜたような・・・そんな切ないものだった。
「その通りです。理解できた?」
「はい。全部」
「鈍い理菜さんには珍しいことだね」
「褒め言葉ですか?」
「もちろん」
「ありがとうございます」
彼女のその言葉は苦笑気味の声のトーンだった。
「で・・・教えてもらっていいですか?」
「鋭い裕哉さんならもう分かってますよね?」
「もちろん」
「なら、何で聞くんですか?」
「確認のために」
「そうですか。じゃあ、言います。隆弘は、私の彼氏です」
ズキン・・・。
胸が痛むのは分かっていた。
嫌な気持ちになるのも分かっていた。
それでも驚いたんだ。
こんなにも感情が強く表れることに。
「そっか」
「はい」
「ねぇ。理菜」
重ねて、今度は隆弘が理奈を呼ぶ。
「な・・・に?」
すでに理菜さんの心はボロボロだった。
それはきっと隆弘君にも分かっていただろう。
それでも、彼には聞かなくちゃいけないことがあった。
逆の立場だったら間違いなく聞くであろうその質問。
「理菜とここにいる裕哉さんの関係って何・・・?ここの学校の生徒とかじゃないよね?」
「ん・・・と・・・」
理菜さんは言葉に詰まる。
きっと言いづらいのだろう。
今の僕らの関係は。
この複雑で絡み合った赤に近く遠い糸の正体は・・・。
「隆弘君は何だと思うの?」
僕は理菜さんにも聞こえるような声で聞いた。
「どう考えても、恋人にしか見えない」
「なんで?」
「名前で呼び合ってるし」
「でも、『さん』付けですよ?」
「それでもなんかおかしい・・・」
「じゃあ、恋人だったら?」
その言葉に彼の体がびくっと反応して、僕の方を睨みつけた。
「理菜に決めてもらう。俺を取るか、裕哉さんを取るか」
それは奇をてらった言葉だった。
「二股は咎めないの?」
「咎めますよ。でも、それで別れようなんて言わない」
「なんで?」
「俺は、昔からずっと理菜しか見てなかったから」
その言葉は深く重みのある言葉・・・。
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このシーン・・・。
意外に長く続きます。
いや~!!
隆弘君カッコいい!!
裕哉とは大違いだ!ww